りんけーじ187 更衣室
りんけーじ187 更衣室
プールのバス停を降りるとむせ返るような暑さだった。
「ふぅ」と、りあは息を吐き額の汗を右手でぬぐった.
蝉の合唱で意識が遠くなりそうだ。
「あっついなぁ」マリスが太陽を恨めしそうに見上げた。
「溶けそうです」あかねが、しおれて言った。
「みんなプールはもうすぐよ、頑張りましょう!」鈴乃がみんなを奮い立たせた。
陽炎でユラユラ揺れるアスファルトをトボトボと歩くとプールの入り口が見えてきた。
入場チケットを買って中に入ると、更衣室の矢印が目に入った。
俺は当然のように男子更衣室に入ろうとした。
周囲の男性が驚いたように俺を見た。
「ちょっと、あんた待ちなさい!」と鈴乃に止められた。
鈴乃は小声で「あんた今、女の子でしょう!」と俺に耳打ちした。
「はっ!そうだった!」と思い出し、女子更衣室を目指した。
「あんたちょっと、待ちなさい!」と再び鈴乃に止められた。
「今度は何か」と思っていると突然目の前が真っ暗になった。
「???」俺はなんだかわからなかった。
どうやらタオルで目隠しされたらしい。
「いい、私を含め、周囲の女の子を見たら殺すからね!」鈴乃が鋭い眼光を飛ばした。
「み、見ないよ」俺は慌てて答えた。
「はい!こっちですよ」俺は、あかねに手を引かれるままに、歩き出した。
どこをどう歩いているんだか見当もつかないまま進むと、やがて「ここで、少し待ってなさい」と鈴乃の声がした。
目が塞がれているので、聴覚に意識が集中すると、シュルシュルと衣擦れの音がした。
どうやらみんな着替えているらしい。
聴覚が鋭くなると、頭の中で着替えているところが妄想として浮かび上がってしまう。
その途端、鼓動が早くなり、顔が火照ってきたのを感じた。
俺は、のぼせ上って、クラクラとしてきた。
「ヤバイ」と思った瞬間、目が塞がれているので平衡感覚を失い、遂にドタッとその場に倒れてしまった。
「痛ツツツ」俺は慌てて立ち上がろうとした。
その瞬間、顔に巻いたタオルがはらりと落ちた。
「あっ…」俺は声を上げた。
「あっ…」鈴乃も声を上げた。
そこには一糸まとわぬ女子たちの姿が目に飛び込んできた。
「いやーーーっつ!!!」鈴乃の悲鳴が耳をつんざいた。




