りんけーじ183 シネコン
りんけーじ183 シネコン
その後、俺たちは映画を見ることにした。
シネコンに行くと色々な映画がやっていた。
「これが、映画館というものか!」マリスは、あたりを見回して叫んでいた。
「ママ、これが見たい」リアはいろいろな作品の広告を見て一つの作品の前で止まった。
それは所謂ホラー映画だった。
「リア、その映画とっても怖いのよ」ヴァールが言った。
「りあ、これが見たいの」リアは頷いた。
「それでいいんじゃないの?」俺がヴァールに言うと、「わたしも見たいです」とあかねも乗ってきた。
「凜さんどうですか?」あかねが凜に言った。
「お、おうホラー映画か、どうせ作り物なんじゃろ、望むところじゃ!」と凛は答えた。
「えるちゃんはどう?」あかねが尋ねると「わたしは、ますたーが、いいというのであれば」と凛の方を見た。
「マリスさんはどうですか?」あかねはマリスにも尋ねた。
「わらわは映画というものを見るのがはじめてじゃから、何でもよい早く見たいぞ」マリスはうれしそうだった。
「鈴乃さんは―?」あかねが鈴乃に尋ねたが鈴乃が近くにいない。
辺りを見回すと、鈴乃は柱の影で縮こまっていた。
「鈴乃さん、大丈夫ですか?みんなで見る映画を決めていたんですが、ホラー映画がいいんじゃないかと?」
あかねが話かけると、すっくと鈴乃は立ち上がり「ホラー映画!?べ、別にいいんじゃない?」と返答した。
鈴乃の声は多少震えていた。
「どうしたんですか?震えているみたいですけど?」あかねは鈴乃を心配した。
「ちょっとエアコンが効きすぎて寒いだけよ」鈴乃は目を閉じた。
「じゃあみんな一致と言うことでホラー映画にしましょう」あかねはみんなに言った。
リアはキャラメルポップコーンと飲み物を買った。
俺のシートは通路側で隣に鈴乃が座った。
すると突然耳もとに「ちょっと、あんた席換わってくれない?」という囁き声に入ってきた。
あわてて横を見ると鈴乃が必死の形相でこちらを見つめていた。
俺はその顔を見て、映画を見る前から驚いてしまった。
鈴乃は尚も話し続けた「わたし、ホラー映画は苦手なの、通路側ならみんなに姿は見られないし、いざというとき、通路から出口に逃げれるでしょ」
俺は、少し考えシートを交換することにした。




