りんけーじ175 リアの正体
りんけーじ175 リアの正体
「あれこの子は?」その時マーシュが近づいてきた。
「この子が一人でいて一緒に親を探していたところ、偶然にも野生のヴィデ・ブルー・リリウムを見つけたの。
マーシュはヴァールが握っている青い花をまじまじと見た。
「どうやら、自生しているヴィデ・ブルー・リリウムに間違いないわ」マーシュは答えた。
「それよりこの子…」マーシュは、ヴァールの隣に立っている女の子を観察した。
「あなたどこから来たの?」マーシュは女の子に話しかけたが、女の子はさっとヴァールの後ろに隠れて首を振るだけだった。
「お名前は」再びマーシュが訪ねた。
女の子はもじもじしているだけだった。
「リアよ」ヴァールが代わりに答えた。
「なんでここにいるの?」マーシュはさらに続けた。
リアはわからないと言った風に首を横に振るだけだった。
「ふぅん」マーシュは自分の顎に指を当てた。
しばらく間をおいてマーシュはしゃべり始めた「どうやらこの子は幽霊ね」
「えっ!?」とヴァールは驚いた。
だってどう考えても変でしょう、こんな高い鉄塔の上に女の子が一人で、いるなんて。とても一人じゃ上ってこれないわ」
マーシュは続けた「この塔に関する古い言い伝えで、死者の霊がヴィデ・ブルー・リリウムを求めて、さ迷って来るらしいの」
「じゃあリアは私と同じ幽霊だって言うの?」ヴァールは目を見張った。
ヴァールはリアの頭を撫でると顔をまじまじと見た。
かわいい大きなつぶらな瞳、可愛くてちっちゃな鼻、かわいい薄いピンクの唇…
リアはヴァールが見つめるとにっこりとほほ笑んだ。
こんな子が幽霊だなんて、と思いながらもリアの手を握った時の冷たい感触がヴァールの脳裏をよぎった。
ヴァールは恐る恐るリアの頸動脈にそっと手を当ててみた。
―――やはり、脈動がない…
「リア、あなた、幽霊…なの?」ヴァールは胸のモヤモヤを払拭すべく思い切ってリアに聞いてみた。
「うん。そうだよ!ヴァールと同じだよ!」リアは満面の笑みを浮かべていたが、瞳に涙をためつつヴァールに抱き着いた。
「この子はなぜの若さで亡くならなければならなかったのだろう?」
「この子を助ける手立てはないのだろうか?」
ヴァールの頭の中で考えがぐるぐる回っていた。




