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りんけーじ174 リア

りんけーじ174 リア


「この草原のどこかにヴィデ・ブルー・リリウムが…」俺はサワサワと風にそよぐ草を眺めていた。

「さあ、みんなで、青い花を探しましょう」鈴乃がみんなに声をかけた。

「ええっと、青い花、青い花っと」あかねがきょろきょろとあたりを見回した。

「皆で同じところを探していても仕方あるまい。手分けして探すのじゃ」凛が指示を出した。

「ついに、わたしは人間に戻る」ヴァールは心臓に手を当てた。―——鼓動はしていない。

 ヴァールに人間だった頃の記憶は残っていない。なぜこの若さ他界したのかも謎だ。

「生きているって、どんな感じなんだろう。きっと素晴らしいに決まっている」何百年も忘れていた記憶にヴァールの胸がときめいた。

心臓が脈打ち、血液が体全体を駆け巡る。生きるために呼吸もする。「呼吸ってどんな風にするんだっけ?」「体も熱を持ち、この掌からも温かいぬくもりが感じられる」ヴァールはきゅっと手を握った。

「さあ花を探さなければ」そういうとヴァールも花を探し始めた。

その時だった。ヴァールは誰かに手をつかまれた。

「お姉ちゃん…」声のしたほうを見ると、小さな女の子がこちらを見ていた。

「どうして、こんなところに女の子が?」ヴァールは不思議に思いあたりを見回した。

しかし周囲には少女以外には人は見当たらなかった。

「ねえ、あなたお名前は?おかあさんは?」ヴァールはしゃがみこんで訊ねた。

少女はヴァールの質問に寂しそうに首を振るだけだった。

と、少女はギュッとヴァールにしがみついた。

「リア」女の子はつぶやいた。

「あなた、リアって言うの?」ヴァールは聞き直した。

女の子は黙って頷いた。

「迷子かな?」ヴァールは少女の手を取ると「お姉ちゃんと一緒にお母さんを探そう」と声を掛けた。

少女は黙って頷いた。

ヴァールは必死に女の子の母親を探した。

しかし、自分たち以外の人は見つけられなかった。

「あっ!」女の子は突然叫ぶとヴァールの手を振りほどき駆け出した。

「待ってリア!」ヴァールはリアを追いかけた。

リアは急にしゃがむと、何かを取って立ち上がった。

そして、ヴァールの方へかけてきた。

「はい、あげる!」リアは手に持ったものをヴァールの前に差し出した。

「えっ!?ヴィデ・ブルー・リリウム?」ヴァールは目を見張った。


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