りんけーじ172 イフリートの処遇
りんけーじ172 イフリートの処遇
イフリートは体から、シュウシュウと音を立てながら水蒸気を噴出していた。
「どや?これで懲りたか?」マリスは俺に目配せすると、イフリートに話しかけた。
「はい、参りました」イフリートは肩でゼエゼエと息をしていた。
「ま、まさか、時空を繋いで水を持ってくるとは、思いもよりませんでした」イフリートは、ぽたぽたと髪から水を滴らせながら顔を上げた。
「剣でも傷つけられないこの私を、打ち倒したのはあなたたちが初めてです。凄い攻撃でした」イフリートの瞳は、羨望の眼差しでキラキラと輝いていた。
「お約束通り、下僕でも、眷族にでも、なります」イフリートはニコッと笑った。
俺はケルベロスの方を見た。
マーシュとあかねが手当をしていた。
怪我をしてはいたが、無事そうだった。
それを確認してから、皆でイフリートを処遇について話し合った。
話し合いが終わると、代表で部長の鈴乃が代表して口を開いた「じゃあ、あなたには…」
イフリートはゴクリと固唾をのんだ。
「わたしたちの仲間になってもらいましょう」鈴乃はウィンクした人差し指を示した。
「へ?」イフリートは肩空かしを喰らった様だった。
「敗れたわたしが隷属する訳でもなく…」
「そう、仲間よ」鈴乃はウインクしてみせた。
イフリートの瞳からは涙が溢れた。
イフリートは嬉しさのあまり、手から小さな炎のイフリートを何体も作り出して、小躍りさせた。
「へー、そんな事もできるのね」俺は感心して輪になって踊っている、可愛らしい小フリートたちを見た。
「それくらい、らわたしにもできます」今回炎対決で出番のなかったえるが、炎でできたミニドラゴンを出現させた。
「炎の扱いなら、地竜の私の方が上です」突然えるが言い出した。
どうやらえる的には欲求不満だったようだ。
「いいえ、火の悪魔の私の方が上です」イフリートも言い返した。
火の悪魔としてのプライドが許さなかったのだろう。
「まあまあ、二人も凄いと言うことで…」俺はお茶を濁した。
「さあ、じゃあ。青い花を求めて進むのじゃ」凜が事の顛末を見届けて、口を開いた。
「みなさん、わたしのためにすいません」ヴァールが気まずそうにつぶやく様に言った。
「何言ってるの!これは異世界探検部の活動の一環で、今回のクエストは、ヴィデ・ブルー・リリウムを探すことなんだから、ヴァールが気にすること無いわ」鈴乃はそう言うと俺たちは、上を目指すことにした。




