りんけーじ169 火の悪魔
りんけーじ169 火の悪魔
「イフリートは、火を使う悪魔。対するには大量の水が必要になります」マーシュは説明を続ける「こう見えて私は世界樹ユグドラシルの精霊、その葉から水蒸気を発生させ雨雲を作ることができます」
「マーシュはんは、ユグドラシルの精霊やったんやなー」説明を聞いてマリスは驚いた。
「あ、あそこ!」あかねが叫んだ。
俺たちの乗っている雲が下に向うにつれ、徐々に状況が分かってきた。
炎の渦が下から沸き上がって来る。
ケルベロス達は懸命に戦っていたが、ヤケドして負傷していた。
そこには、火の粉が燻ぶる黒い雲に乗った、羽根の生えた長髪の女が立っていた。
その女の両手から猛火が繰り出されていた。
ケルベロス達はそれを懸命に避けていたが、怪我を負っているせいか、動きは鈍かった。
「ギャウーン」ケルベロスが叫び声を上げた。
女が繰り出した猛火の一つがケロベロスに当たったのだった。
「待ちなさい、イフリート!それ以上はやらせません!」マーシュは叫んだ。
その瞬間、イフリートと呼ばれた女はマーシュの方を見た。
振り向いた女の耳はとんがっており、眼は銀色に輝いていた。
「ふふふ。誰かと思ったらマーシュ様か!」
イフリートと呼ばれた女は不敵な笑みを浮かべた。
「なあに今日は、青い花ヴィデ・ブルー・リリウムとやらを頂戴に上がっただけだ。素直にここを通せばよいものを、このイヌコロ共が邪魔をするからだ」イフリートは楽しそうに説明した。
「邪悪な者たちに神聖な花ヴィデ・ブルー・リリウムは渡せません」マーシュは右手を斜めに振り下ろした。
「ほお、お前が私の相手をすると言うのか?」イフリートの唇がニヤッと笑った。
マリスは身構えて頷いた。
「面白いッ!」イフリートはそう言うと、両手から火の玉を繰り出した「ゲーナ・ニーミス!」
「そうは、させません」マーシュは叫んだ「マグナ・アルバ・グットゥリス!」と呪文を唱えると大きな水球が頭上に沸き上がった。そしてそれを火の玉にぶつけた。
バアァンと凄い音がして、火の玉が消し飛んだ。
「ふん、なかなかやるな」火の玉を消されたにも関わらずイフリートは尚も不敵に笑い続けた「それ慣れこれはどうかな?」。
「デッシェンデーレ」そう言うとイフリートは自分の乗っている火の子に囲まれた黒雲を降下させていった。
「何をするつもりです!?」マーシュは叫んだ。




