りんけーじ166 二人のマーシュ
りんけーじ166 二人のマーシュ
「誰ですか?私を騙る者は?」マーシュは怒って言った。
「ご、ごめんなさい!実はかくかくしかじかで…」鈴乃はマーシュに説明した。
「ふーん」マーシュは黙って聞いていた。
「それなら仕方ないですね」マーシュはやれやれと言った顔をした。
「本当にごめんなさい」鈴乃は再度謝った。
「ふふふふふ」突然マーシュは笑い出した。
「!?」俺たちはあっけに取られた。
「いえ、それにしても、よくケロベロスたちをなつかせたものね。感心していました」
「いくら、見た目が私そっくりでも、心に邪悪なものを持って接していたら、決してケロベロスたちは、あなたに心を開かなかったでしょう。鈴乃さん。あなたが友を人間に戻したいという一心で、ケロベロスたちに接したから心が通じたのでしょう」マーシュはそう言うと改めてケロベロスたちを撫でてやった。
「ケロベロスたちよ、この人たちは悪い人ではありません。道を開いてあげなさい」マーシュが命じるとケロベロスたちは、おとなしく従った。
「ここで、あなたたちに会ったのも何かの縁でしょう。私のとっておきの場所に案内しましょう」そう言うと、マーシュは金色の雲に乗を動かした。
「凄い、この雲って動かせるんですね」あかねが感心したように言った。
「はい。慣れれば簡単に動かせますよ」そう言ってマーシュは自分の乗った雲をくるりと宙返りして見せた。
そして、自分の雲を、俺たちの乗った雲にくっつけた。
すると、雲は意志を持ったようにマーシュの命じるままに動き出した。
マーシュが上に向かって指差すと俺たちの乗った金色の雲はゆっくりと上に向かった。
ケロベロスは嬉しそうに雲の周りをくるくると飛び回っていた。
「不思議な世界やな」マリスはが言う方をみると巨大な虹がバウムクーヘンの欠片の様に雲間から聳え立っていた。
「あっちにも、何でしょう?」ヴァールが言った方を見ると、竜巻が何個も暴れ狂っている場所があった。
「あそこは、竜の巣窟と言って、近づいた者はあっという間に竜巻に巻き込まれてしまいます」マーシュは説明した。
「り、竜の巣窟...」えるが微妙な表情を浮かべた。
「あ!あそこは、何かピカピカ光っとるな」マリスの言う方を見ると、雲が絶えず光っていた。
「あそこは、雷神の怒りと言って、一年中雷が光っている不思議な場所です」マリスは説明した。
「あっ!あれはなんじゃ?」凜が上空を指差した。
「ようこそ、秘密の楽園「雲の上亭」へ」マーシュはニコリと笑い掌を見せた。




