りんけーじ163 世界樹の先へ
りんけーじ163 世界樹の先へ
俺たちは、カカポの道案内で世界樹の先端を目指した。
エレベーターホールから四方八方に分かれるている通路を、カカポを先頭に進んで行った。
とてもカカポの案内なしでは迷ってしまいそうな迷路だ。
「ここから、外に出る」カカポは木の扉を指差した。
扉を開けると、そこには、世界樹の幹が広がっていた。
今更ながらに巨大な木だ。
雲が下からモクモクと沸き上がって来るのが見える。
「しっかり木にしがみついて落ちない様に」カカポは注意した。
俺たちは一歩一歩慎重に、上を目指して行った。
「あそこだ!」やがてカカポは一本の枝を指差した。
確かに世界樹のてっぺんに離れ小島の様に、枝が一本突き出ていた。
その先に枝は無く、鉄塔が先に延びているだけだった。
俺たちは、その枝を目指した。
枝の先に到着すると、上昇していく雲を眺めた。
雲が自分たちの周りを通過していくと水の匂いがした。
しかしどれも、白い雲ばかりだった。
「金色の雲はなかなか来ないわね」鈴乃は下を見てしまった。
かなりの高さがある。途端に足がすくみ、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「や、やっぱりわたしダメ」鈴乃は頭を抱えた、
「す、鈴乃さん?」俺は鈴乃に語りかけた。
鈴乃は目を瞑り、小刻みに震えていた。
「ひょっとして、高所恐怖症?」おれは訊ねた。
「…うん」鈴乃は小さく頷いた。
俺は、鈴乃の思わずカワイイ一面が見れて、ぽっとしてしまった。
「大丈夫!」俺は、今女性だ!それを確かめる様に自分の体を見回してから、勇気を持って鈴乃をそっと背中から抱きしめた。
「…あ、ありがと」しばらくすると、鈴乃の震えは収まった。
「鈴乃さん大丈夫ですか?」あかねが鈴乃に言った。
「うん、大丈夫」鈴乃は微笑んだ。
「さあ、ヴィデ・ブルー・リリウム目指して行くのじゃ!」凜が拳を掲げた。
「そうですね金色の雲を探しましょう」ヴァールは辺りを見回した。
「おお、あれか?」その時、マリスが遠くを指差した。
俺は確認するため枝の先の方に移って見た。
マリスの指差した方を見ると、確かに金色の雲が沸き上がっている
「危ない!」誰かが叫んだ。
バキバキと言う音と共に俺は、枝と落下していった。
「死ぬのかな?」一瞬心を過った。




