りんけーじ150 ベールゼバブ
りんけーじ150 ベールゼバブ
俺たちは何とか元の階段に戻った。
「さあ!上を目指しましょう!」鈴乃が階段を先頭に上って行く。
そろそろ最上階だった。
次の扉は開かれていた。
扉の所まで来ると髪の長い女性が立っていた。
「みんなよく来たな!」その女性はニコニコ笑っていた。
「ベールゼバブ!」とヴァールが叫んだ。
「うむ、久しぶりだな!」とベールゼバブは答えた。
「あかねちゃんを返してもらおうかしら!」鈴乃が腕を組んだ。
「まあ焦るな。あかねは元気だ!」ベールゼバブは手に水晶玉」を取り出すと目を閉じた。「映せ」と叫ぶとそこにはあかねの姿が現れた。
「あかねちゃんは、どこにいるの?」鈴乃は辺りを見回した。
「あかねはこの奥にいる」ベールゼバブは首を奥に向けた。
「じゃあそこをどいて。約束通り魔物を倒してここまで来たのだから、彼女を解放するから」鈴乃はベールゼバブの横を通り過ぎようとした。
「まあ、まて!あかねは返す。お前たちの戦いを見ていて、わたしも魔王軍幹部の者として久しぶりに腕が鳴ったのだ。是非とも手合わせ願いたい!」ベールゼバブは目を輝かせた。
「じゃあどうすればいいの?」鈴乃はやれやれと言った感じで両手を上げた。
「これから全力で闘おうではないか!」ベールゼバブは喜々とした。
「なれば、うちがでる!」マリスが一歩前に出た。
「悪魔には神や!」マリスは「相手に不足はあれへん」と杖を振り上げた。
「ふむ、それでは行くぞ!」ベールゼバブも手を振り上げた。「ディアボリ・プーエル!」
ベールゼバブが叫ぶと、どこからともなく影の小人が無数に現れ、マリスを囲んだ。
すると、踊りを踊る様に歌声と共に、マリスの周囲をクルクルと回り始めた。
踊りの輪は、小さくなったり、大きくなったりしながら次第にマリスとの距離をすぼめて行った。
やがて、踊りは早くなると、同時に影が深くかかる様になってきた。
「なんやこれは?」マリスは警戒して構えた。
「イルンド!」ベールゼバブが叫んだ
次の瞬間、影は球体になり、マリスを飲み込んだ。
シュオーンという音と共に、マリスは影と共に消え去った。
「ふふふ..これでマリスは暗黒のキャブンニーグロムの奈落の底に吸い込まれて、二度と這い上がることはできない」ベールゼバブは不敵に微笑んだ。
マリスは跡形もなく消え去った。




