りんけーじ140 詠唱魔法
りんけーじ140 詠唱魔法
「マヌス・マレフィカルムっ!」鈴乃の叫び声が辺りに反響した。
鈴乃の振った魔法の杖からあふれ出したエネルギー波が、残ったガーゴイルたちを直撃した。
今度の攻撃は先ほどのものより数倍強い光を放っていた。詠唱魔法の方が強力らしい。
「うぎゃあああ!」ガーゴイルたちは悲鳴を上げた
光を浴びたガーゴイルたちはサラサラと砂塵になっていった。
鈴乃の魔法攻撃が終わると、そこには砂の山だけが残った。
ガーゴイルたちが消えると、その支配から解放され、人間の姿に戻ったえると凜が、ポカーンとしていた。
正気に戻ったえるを見て、マリスは「あーん!親分ハグしよっ!ちゅちゅっ!」と迫って行った。
「マリス!やめなさい!」というと、えるはグワシっとマリスの顔を鷲掴みにした。
「ふうぇ-ん、親分のイケズー!」とマリスはジタバタした。
「我らは、どうしていたのじゃ?ガーゴイルたちは?」凜は頭の中が????になっていた。
「あなたたちは、ガーゴイルに支配されていたのよ」鈴乃が説明すると
「野獣の様なガーゴイルたちに正気を失った幼気なわれは、あんな目やこんな目に合わされていたのじゃな…」と顔を赤らめ、腰をクネクネした。
「そんなこと、ないわよっ!!」真っ赤になった鈴乃が凜に叫んだ。
「鈴乃、慰めてくれるのじゃな。この超絶魅力的でSo cuteな意識のない我を前に、あの欲望の塊の様な魔獣どもが我慢できるわけなかろうて」凜が左手で顔を押えて寂し気な笑みを浮かべた。
「だから、そんなこと無かったって言ってるでしょ!」鈴乃が再度否定し、ローリィもうんうんと頷いた。
「ローリィお主も我を慰めてくれるか」凜はローリィの手を取った。
「そうかお主は、ガーゴイル共に穢されてしまった我を、見捨てないでくれるか…」凜はバックに薔薇を抱えた悲劇のヒロインになっていた。いや、なりきっていた。
ローリィは首を縦に振りかけ、慌てて横に振った。
「めんどくさい!先に進もう」中二病全開になった凜を尻目に、俺たちは階段をスタスタと昇って行った。
「これ、待つのじゃ!心と体に深い傷を負った我を見捨てるのか」凜が何かを言っていた。
「おい、置いて行くな!」慌てて凜は追っかけてきた。
螺旋階段を昇って行くと、次の扉の横に出た。
「誰だ俺様の部屋の前でガタゴトとウルサイ音を立てる奴は?」雷の様なガラガラな声が響き渡った。
バタンと扉が開き、中から、全身毛むくじゃらで、ずた袋の様な服に鎖のベルトをした、
顔も毛むくじゃらの中にギラギラとした大きな目玉に高い鼻、牙の生えた大きな口の大男が現れた。
今週は日曜日に予定があるので、土曜日の更新となりました。




