りんけーじ133 ヴァール気付かれる!
りんけーじ133 ヴァール気付かれる!
ヴァールがあかねから離れた時だった。
突然、部屋の扉がバーーン!と開いた。
「!?」ヴァールはたじろいだ。
「ほお、あかね殿の救出部隊のご登場というわけか?」ベールゼバブが腕組みして立っていた。
「チイッ!気づかれていたか!!」ヴァールは悔しそうに眉間にしわを寄せた。
「甘かったな、このベールゼバブ様が、貴様の様な低級幽霊のちんけな透過術を見破れないとでも思っていたか!」ベールゼバブは見下したような視線をヴァールに投げかけた。
「ベゼブさん!ヴァールさんにその態度は何ですか!」その瞬間あかねが叫んだ。
「…」ベールゼバブは一瞬怯んだ。
「あ、あかね殿、そう言っても、こヤツはわたしの、敵ですので!」ベールゼバブは、しょんぼりした顔で、両手の人差し指の先を顔の前でちょんちょんと当てた。
「ヴァールさんは、異世界探検部の先輩ですよ!その態度は、失礼じゃないですか!」あかねはぷんすか怒った。
「でも…」ベールゼバブの声が段々小さくなってきた。
「でも、もへったくれもありません!謝ってください!」あかねは、ベールゼバブにビシッと人差し指を向けた。
「ええっ!」ベールゼバブはシュンとすると涙目になって、右手の甲で口を押えた。
「あ、あかねちゃん!?ま、まあ反省してるみたいだし…」あかねの勢いにヴァールも押されていた。
「いいえ!ダメですこういう事はちゃんとしなきゃダメです!謝ってください!悪いのはベゼブさんでしょう!」あかねは、両手を腰に当てた「ベゼブさんなら、悪い事をしたらちゃんと謝れるでしょう???そうでしょう???」。
「ううう…」ベゼブはガクッと両ひざを床に付いた。
「さあ!!!」あかねは、尚もベゼブに促した。
「ご、ごめんなさいヴァール殿!別にそなたたちには何も恨みは無いのだが、魔王様の命令で、あかね殿を連れ去っただけなのだ。勢いでそなたを侮辱して申し訳なかったのだー」
ベゼブは両手両膝を点いたまま、わんわんと泣きながらヴァールに謝った。
しばらくするとベゼブはヒックヒックとしながら泣き止んだ。
あかねは、そのタイミングで口を開いた「ヴァールさんどうですか、ベゼブさんも心から謝っているみたいだし、許してあげますか!?」。
「えっ、あっ!?」ヴァールはどう反応してよいのか分からなかった。
しかし、なんだか、あかねに一方的に責められて、子猫の様に丸まっているベゼブがかわいそうにさえ思えてきた。
「は、はい許してあげましょう」ヴァールは、ぶんぶんと顔を縦に振った。
「ほ、ほんとうですか…」ベゼブは、ひれ伏したまま小さな声で呟いた。




