りんけーじ13 二人目の仲間
りんけーじ13 二人目の仲間
店を出て、通りを歩いていると、鈴乃が満足そうに杖を眺め、「ふっふーん、これでわたしも大魔法少女ね!」と言うと、得意げに、えいっ!と杖をぶんぶん振った。
「ああ!やめ…!」俺は言いかけた。
その瞬間杖から、電光が迸った。光は物凄い勢いで、放たれて行った。
「あっ!」と、俺は叫んでしまった。
光の通た先を見ると、ゴゴゴ…!と爆音が響き、遠くの廃城の尖塔が、崩れて行くのが見えた。
崩れ落ちる尖塔を眺めつつ、鈴乃は引き攣った顔をし、「わ、わたしのせいじゃないわよ、じ、事故よ事故!」と、言って、ふ、ふーと音のでない口笛で、胡麻化そうとした。
「好き勝手に杖を振るのは禁止だ!この世界を滅ぼす気か!」と、俺は鈴乃に言いゲンコツを食らわした。
「いったーい何すんのよ!」と鈴乃は、頭を擦りながら、涙目を浮かべ「わ、わかったわよー」と答えた。
「まあ、とりあえず、武器も入手できたから、元の世界一度に戻ろう」と俺は鈴乃に言った。この世界にいても、碌な事をしそうにない。
「そうね!」返事があり、お互い指輪を地面に投げようとした時だった。
まばゆい緑の光に包まれ―って未だ指輪は、手の中だ、これは?また?嫌な予感が…。
どさっと、俺の上に再び何かが、落ちてきた。
「ふぎゃ…」と、俺は叫んでしまった。上に圧し掛かっているものを見ると、女の子だった。
「ご、ごめんなさいっ!今どきますっ」と、その子は言った。
ショートボブで頭に黄色リボンをうさ耳の様に付け、うるうるした瞳の幼い感じの女の子で、照桜高校の制服を着ているが、とても高校生には見えない。
俺は、意識しない様にしてはいるが、その女の子の柔らかい体が心地よ…、って我ながら何を考えているんだっ!心の中で自戒した。
殺気を感じたので、そっちの方を見ると、鈴乃だった。何となく、俺の考えていることが伝わったのか、鈴乃は冷めた視線を俺に向けていた。
「わたし、照桜高校1年F組の小谷場あかねって言います。ネコにもらった指輪を、試してみたらこんなことになってしまいました」あかねは、立ち上がりながら言った。
「俺は、2年B組の円正寺康太。こっちは..」俺は、あかねに自己紹介し、鈴乃の方に目を遣った。
「私は、2年α組の大谷鈴乃よ。よろしくね!あなたも、ミーに指輪をもらった1人ね。これでまた1人見つかった」と鈴乃が答えた。
あかねは頷いた。
鈴乃はあかねを見ていたが「小谷場さん…私たちの、異世界探検部に入らない?」と、あかねに言った。
「いせかいたんけんぶ…って何ですか?」あかねが質問した。
「黒猫ミーに指輪を貰った者で結成した、この世界を探検する部活動よ!ちゃんと、先生から許可を、もらってるわ!」と自慢げに、鈴乃は答えた。
「えぇっと、ど、どうしようかなっ…」あかねは、気弱そうに答えた。
「小谷場さんもこの世界のこと知りたいでしょ。1人で活動するのは危険!」鈴乃は力説した。
「そ、そうですねよねっ…」あかねは少し間を置いた後「.じゃあ、加入します!よろしくお願いしますっ!」と、ペコっと頭を下げた。
「よしっ!これで3人っ!!小谷場さんもこの世界を見て回りたいでしょうけど、私たちは帰るところだから、次回改めて3人で行動しましょう。今日は取り敢えず部室に帰りましょう」と、鈴乃は説明すると「そうですね、一人で回るのも怖いし…」と、あかねは同意した。
「あ、そうそう小谷場さんは、ここに来た時間と場所に戻るから、戻ったら、西側校舎3階の一番奥にある教室に来て」と鈴乃は付け加えた。
「はい、わかりました」あかねは頷いた。
「じゃあ、行くわよ!」鈴乃は、指輪を地面に投げた。
いろいろな、表現を試しています!