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りんけーじ124 囚われたあかね

りんけーじ124 囚われたあかね


ベールゼバブとあかねが囚われている西の尖塔は、常に紫色の濃霧に覆われ、カビ臭く、周囲は人食いワニがいる堀が巡っており、堀から反り返った城の城壁が聳え立ち、不気味な灯りが城の窓から漏れ、それが霧に照り返り、空は血の様な赤い色をして、いかにも魔王軍幹部の拠点らしく、堅ろうな外観と不気味な雰囲気を漂わせていた。

ベールゼバブは、紫色に輝く長髪の瞳の大きな美少女であるが、コスチュームはいわゆるボンデージファッションの様な際どい格好で、その顔立ちとはアンバランスな印象であった。

「どうだ!人質!このベールゼバブ様が怖いか!恐怖に慄くか!泣け!叫べ!フハハハハ」ベールゼバブは赤い液体に入ったグラスを手に取り、あかねの方を見た。

あかねはほの暗い蝋燭の灯りに照らされていた。

「何を言っているんですかっ!」あかねはベールゼバブに向かってビシッと言い放った。

「えぇ~」ベールゼバブはたじろいだ。

「私を脅迫するつもりですかっ?」それを見たあかねは畳みかけた。

「い、いや」さらにベールゼバブは怯んだ。

「そんな脅迫、怖くも何ともありませんよっ」あかねはスッと立ち上がると、両手を腰に当てた。

「大体なんですかっ!この衣装は?あなたたちが、人質らしく、どうかこれを着てくれー、足に鎖を付けてくれーだの懇願するから渋々つけてあげてるんじゃないですか」あかねは右手の人差し指をぶんぶん振りながらベールゼバブに叫んだ。

「ほら、何と言うかつまり、何だ」ベールゼバブはあたふたしだした。

「何ですか?」あかねは腕組みして、トントンと人差し指で自分の右腕を叩いた。

「だから、ほら」ベールゼバブは目を回して、たじたじになっていた。

「だから、ほら。じゃないでしょ」あかねは強気である。

「だからー、お願いだから、おとなしくしててくれないか」ベールゼバブは、だんだんトーンダウンしていく。

「しててくれないか。じゃないでしょ!それが人にものを頼む態度ですか!」あかねは語気を強めた。

「す、すみません。どうかおとなしくしていて、いただけないでしょうか?」べールゼバブは涙声になった。

「あなたに勝手に連れて来られたうえ、こんな格好までしてあげてる、わたしの立場にもなったらどうですか!」あかねは続けた。

「うわーん」遂にベールゼバブは泣き出した。

「あー!泣き出しましたね!何でも泣けば済むと思っているでしょう!」あかねはぶんぶんと手を振る。

「そ、そんなぁ~、もう勘弁してください、ゆるしてください」ベールゼバブは土下座しながら言った。

「何かわたしが悪いみたいじゃないですか」あかねはベールゼバブをチラリと見た。

「いいえ、あかね様は悪くございません。勝手に連れ去った私が悪いです。申し訳ありませんでした~」

尖塔にベールゼバブの泣き声が響き渡った。


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