りんけーじ122 どうすれば
りんけーじ122 どうすれば
花火大会はフィナーレを飾る連続する花火が打ち上げられ、大輪の花が色とりどりに夜空に開いたが、観客の歓声をよそに、俺たちは、今起こった事実に呆然とするしかなかった。
「お兄ちゃん…」俯いて英美里は呟いた。
俺は、何も答えられなかった。
「ねえ!お兄ちゃん!」英美里は語気を強めて再度問いかけてきた。
「あ、あかねちゃんは…」
俺は妹の方を振り返った。
英美里は今にも泣きだしそうな瞳をして、訴えかける様に俺を見つめていた。
「あかねちゃんは、どうなっちゃったの?今のは何?全く意味が分からない。今のは夢だったの?だったら、なぜあかねちゃんは今ここにいないの?ねえ、どうして?」英美里はあたまを抱えてうつむいた。
「…」英美里の矢継ぎ早の質問に、俺はどう答えてよいのか戸惑った。
何故指輪を保持していない英美里に時間も止まらずこの状況を見届けられたのか?
しばし沈黙の時が流れた。時間にすれば数秒だったのかも知れないが俺には数時間の様にひどく長く感じた。
「べー….」 リーヴァは口ごもって躊躇いがちに何かを言いかけた。
「えっ!?何?」鈴乃はリーヴァに対して聞き直した。
リーヴァは、すうっと深呼吸した。
「魔王軍幹部、ベールゼバブ」リーヴァは言った。
「ベールゼバブ!名前は聞いたことあるわね」鈴乃はリーヴァの方を見た。
「あかねをさらって行ったのはアイツだ!」リーヴァは続けた。
「魔王軍幹部って言うことは、相当強いの?」鈴乃が尋ねると、リーヴァは首を縦に振った。
「そんな奴と戦って私たちは勝てるのかしら」鈴乃は不安気に眉をひそめた。
「鈴乃何を弱気になっておるのじゃ!」珍しく凜が気勢を上げた。
「みんな、それぞれ力を習得しておる!それに、こちらにはマリスやリーヴァ、ローリィという見方もおるではないか!今こそ我々の力を示す時じゃ!」凜はふんと鼻息を荒げた。
「せやな」マリスもニコッと答えた。
「あっ!ネコちゃんだ!」 その時、小さな女の子の声が、聞こえてきた。
はっと、俺は我に返り辺りを見渡したが、その声がどこからしたのか、花火を見つめる群衆の中で見つけることはできなかった。
「黒い猫!」再び幼女の声が耳に入った。
すると、群衆の間から、スルスルとまるで、他の人々には目に入っていない、いや、猫は直進してくる!人々は無意識のうちに猫に避けさせられている!
「ミーだ!間違いない!こんな能力を使えるヤツは!」俺は、目の前に現れた黒猫の怪しく光る緑色の瞳に目を合わせた。




