りんけーじ117 射的で勝負
りんけーじ117 射的で勝負
「な、何だあれは!面白そうなのだ!」 ひととおり、食べ物を食べ、わたあめをまるで雲の様だと、パクパクと食べ、買ってもらったお面を頭に付けていたリーヴァが、パンパンと言う音と共に、カラカラと下駄を鳴らしながら、次の屋台に引き込まれて行った。
それは、射的に屋台だった。
「…」リーヴァは、お客が、空気銃を構えて打っている様子を眺めていた「ほお、あの穴の開いた棒のようなものに、この丸い粒を詰めて、向こうの的に当てればよいのか」。
「よし!やって見ようではないか!」リーヴァは楽しそうに手を上げた。
「ヘエ、なんか面白そうやね」マリスも興味を持ったようだ。
「お、おらもやりたいっぽ!」マリスの後ろに隠れていたローリィも、恥ずかしそうにつぶやいた。
「へい、いらしゃい!一人1回5発で500円」店主に代金を渡し、小皿に入ったコルクを渡された。
リーヴァは台に置いてあるコルク銃を持った。それはズッシリと重かった。
次に引き金をカチッと引き、コルクを銃口にキュキュっと詰めると、両手で抱え銃を構えた。
リーヴァは「よし!一番良いのをとるのだっ!」と言うと、片目を閉じて一番大きなクマのぬいぐるみに、見様見真似で照準器を合わせた。
「…」パシュッ!と音がして、コルクはクマに当たった!コテッとクマのぬいぐるみは後ろに倒れた。
「やったのだ!」リーヴァはうれしそうに飛び跳ねた。
「お嬢ちゃん、それじゃだめだ。ちゃんと下に落ちないと」店主はニヤッと笑った。
「ええー!ズルいのだ!」リーヴァは抗議したが、「これが、大人のルールってもんよ!嫌なら帰った帰った!」と店主は手のひらを上下振った。
どうやら、小さい商品は簡単に落ちるが、大きな商品は絶対落ちない様だ。
「…落とせば、良いのだな」リーヴァも不正に気付いた様だ。
「そうそう!落とせばいいよ!好きなもの持って行きな!」店主はどうせ高額商品は落とせまいと心の中で呟いた。
「その言葉に二言は無いな!」リーヴァは店主の方を見た。
「ああ、落とせるもんなら落としてみな!」店主は自信有り気にリーヴァを見返した。
リーヴァは鈴乃の方を見た。鈴乃の店の不正に気付いており、はぁーっと息を吐くとコクリと頷いた。
それを、確認したリーヴァは改めて銃にコルクを詰めると、店主が元に戻したクマのぬいぐるみに照準を合わせた。
店主は様子を見守りつつ「どうせ、落ちやしないのに、しょうがねーガキだ!まあこれで、景品は無しだな」と、思った。
その瞬間リーヴァはギロリと冷酷な視線を店主に向けた。まるで店主の心の声が聞こえたかの様に。
一瞬店主はビクっとし、何だこのガキ、考えていることが分かるのか?まさかな!と考えた。
リーヴァは視線を戻すと、瞳が紫色に変わり、猫の眼の様に細長くなった。そう、それは海の魔王の瞳だった。
リーヴァの瞳がギラリと光った瞬間パシュっと、音を立てて、コルクが発射された。
そして、コルクは再びクマのぬいぐるみにぱぁぁんと当たると、クマのぬいぐるみは勢いよく後ろに弾け飛んだ!そして、ドサッと落下した。
「そ、そんな!バカな!」店主は思わず声を上げた。




