りんけーじ116 屋台を食べまくる
りんけーじ116 屋台を食べまくる
「おお、これは本物だな!?これで何でも食えるのだな?」リーヴァは、眼を星の様にキラキラと輝かせた。
「凜さんこいつをあまり甘やかさない方がいいっぽ!」ローリィはリーヴァをちらっと、見た。
「まあ、せっかくあっちの世界から3人で来たんじゃ、日本の祭りを存分に味わうがよいぞ」凜は帯から扇子を出すと口を隠してポーズを取った。
「そうか、じゃ、じゃあわらわもご相伴に預かります!」マリスはゴクッと唾を飲み込むと「わらわとローリィの分で2皿ずつ。おっちゃん、たこ焼き4皿頼むわ!」とたこ焼き屋の店主に注文した。
「あっ!2皿はズルいではないか!わたしも、もう1皿!」リーヴァも慌てて注文した。
えるは、何故か2皿を持っていた。どうやら混乱に紛れてもう1皿注文していたらしい。
「私も2皿下さい!幽霊だからって遠慮していたら食べられませんからね!」ヴァールも後ろから注文した。
「あいよっ!じゃあ順番にね!」店主は困った様な顔をしたが、焼きあがったたこ焼きを舟皿に盛り付けると、直ぐに鉄板にジュウジュウと生地を流し込んでいた。
異世界組はたこ焼きを食べ終わると、早くも次の屋台に目を移していた。いや正確には鼻だ。
「この甘そうなにおいはなんやろ?」マリスは鼻をヒクヒクさせながら、匂いのする方へ引き寄せられていった。甘いはちみつの焼けた匂いがふわりと漂っている。
屋台には、ベビーカステラと書かれていた。
焼きあがったベビーカステラがコロコロと山盛りになっているのを見て、マリスは「なんてうまそうなんやろ!次はこれじゃ!」と言って、50個入りのものを注文した。
それに続いて、リーヴァ、ローリィ、える、ヴァールも同じものを注文していた。
50個のベビーカステラをあっという間に平らげると、その後も、匂いと、見た目にフラフラと惹かれながら広島風お好み焼き、ラムネ、かき氷、と渡り歩き、次々と制覇していった。
「おお、これはなんでしょう!」ヴァールが、不思議そうにある屋台に足を止めた。
そこには、棒に刺さった、カラフルにトッピングされた茶色やピンクや青い細長いものが綺麗に付き立てられていた。
そう、そこはチョコバナナの屋台だ。
「へい!お嬢ちゃんたち、いらっしゃい!オジサンとジャンケンして、買ったらもう1本サービスだけど、カワイイからおまけで、オジサンに勝ったら2本サービスね!」と、店主が愛想よく話しかけてきた。
「へえ、ジャンケンに勝ったらもう2本もらえるんですか?」とヴァールは、瞳を輝かした。
.「おうょ!」店主は頷いた。
「へー、3本もらえるっぽ!」ローリィも興味深々だった。
「ちょっと、あんたたち、ズルはダメよ!」と鈴乃が釘を刺した。
「おじさん!ジャンケンは強いよ!」店主は、ウィンクした。
みんな次々と並んだ。
「じゃあ、1本ください!」ヴァールが、そう言うと、「じゃあ、じゃんけんぽん!」
と店主が掛け声をかけた。
―――結局、全員じゃんけんに勝って、3本ずつチョコバナナをせしめた。
「っかしーなー?ジャンケンつよいんだけどなー?」店主は頭を掻いた。
まさか、異世界の力は使っていないだろうとは思ったが、やはり、特別な能力が備わっているのかと、俺は考えた。
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