りんけーじ115 たこ焼き美味しい!
りんけーじ115 たこ焼き美味しい!
「はい」鈴乃はリーヴァとえるに、店主から受け取った、たこ焼きを渡した。
「く、くれるのか?」リーヴァは手に乗った出来立てのたこ焼きから漂う美味しそうな匂いをくんくんと嗅ぎながら、うるうるした瞳になった。
「だってタコ焼きが食べたいんでしょ?喧嘩しないの!」鈴乃は、リーヴァに言った。
「す、鈴乃…あ、ありがとなのだ!美味しく頂くのだ!」リーヴァは、コックリと頷くと涙と鼻水を垂らしながら、真っ赤な顔になって、喜んだ。
「わ、わたしにまで、鈴乃さんいいのですか?」えるは頬を赤らめ、ジト目で鈴乃を見つめた。
「お祭り行きたかったんでしょ?これは私からのプレゼント」と鈴乃はえるにウインクした。
「…あ、ありがとうございます」えるは、たこ焼きをじっと見て、鈴乃に視線を移すと愛おしそうにみつめた。
「出来立てでかなり熱いからね」鈴乃は注意した。
「わかったのだ!」と言うとリーヴァはたこ焼きにフーフーと息を当てた。
そして大振りのたこ焼きを一気に頬張った。
最初にカリッとした食感がし、トロッとしたクリーミーな中味が出てきた。
「アツイ!」その瞬間、りーヴァは、少し涙目になりながら、口をハフハフさせ、浴衣の裾から白い足をのぞかせながら、ジタバタさせた。
「ほら、言わんこっちゃない」鈴乃は、その様子をほほえましく見つめた。
口の中の熱さが和らぐと共にソースやマヨネーズ、青のり、鰹節、紅ショウガ、出汁の効いた生地、タコの複雑の絡み合った風味が広がった。
「ん、まい」リーヴァは、体をキュッと縮こませ美味しさを表現した。
「わたしも!」と言うと、えるもたこ焼を楊枝で取るとポイっと口に放り込んだ。
えるもタコ焼きをモグモグと咀嚼すると、眼を閉じゴクッと飲み込んだ。
「ああ、美味しい」えるは瞳を閉じて、余韻を楽しんだ。
その様子を見ていた人々が、いつの間にか、俺たちの後ろに、タコ焼きを買い求める長い行列になっていた。
「わらわも食べたい…」マリスは指を咥えた。
「…」ローリィは何も言わなかったが、お腹がギュルル…と鳴っていた。
「ご、ゴメンみんなの分も買ってあげたいけど、高校生だとお小遣いが…」鈴乃は頭を掻いた。
「仕方ないのう!われの出番じゃ!」その時、凜がツインテールをなびかせながら前に出た。
そして、たこ焼き屋の店主に「店主殿よ!たこ焼き2舟頼む!」と言うと、巾着袋から分厚い財布を取り出し、1万円札をビシッと差し出した。




