りんけーじ108 だれがいちばん…???
りんけーじ108 だれがいちばん…???
俺は、3人を認めると、そっちを向いた。
「!!!」その瞬間3人は言葉を失った。
「ん!どうした?」俺は、ツインテールを驚いた猫の尻尾の様に、逆立てている凜に尋ねた。
凜は下を向くと拳を作った両手を下に伸ばし、わなわなと震えた「くっっ!」
「どした~?凜??」俺は凜の顔を覗き込んだ。
俺と目が合った凜は、一瞬ハッ!としたが、視線をそらした。
「たかが…」凜が俯きながら呟いた。
「えっ?何?良く聞こえないな~??」俺は耳をそばだてた。
凜は下を向いたまま歯ぎしりした「たかが、女子化しただけの男に…、われが可愛らしさで負けるとは!!」
「えっ!?」俺は驚いた。俺ってそんなに可愛いのか…な???
「認めん!われは認めんぞ!!!」そう言うと凜はえるの胸の中に、むんずと飛び込み、わんわんと泣き始めた。
えるはよしよしと凜の、頭を撫でていた。
ヴァールはと言うと瞳がハートマークになっていて「はぁはぁ…」と荒い息を立てながら、俺にジワジワと、にじり寄ってきた。
「ええっ!!!ど、どうしたのヴァールさん???」と、俺は身の危険を感じ、後退りした。
ヴァールは相変わらず、はぁはぁと、荒い息を立てながら「え、円正寺さん…、わ、わたし、男性の円正寺さんがいいと思っていましたが、い、今の姿を見てもう男でも女でもどちらでも良くなりました!じゅるり」と涎を出していた。
「た、助けてー!ヴァールに襲われるーっ!!!」俺は、その場から逃げようとした。
「ちょっと!待ってください!!」その時、場の雰囲気を一変させる声が響いた。
みんなが声のした方に注目すると、それは俺の前に腕を組んで仁王立ちになった英美里だった。
英美里は、はーっ!と息を吐くと、続けた「確かに、うちのおに..、お姉ちゃんは可愛いとは思いますが、皆さんもカワイイです!もっと自信を持って下さい!」そう言うと、バッと、右手を広げた。
その一言で、みんな「はっ!」と我に返った。
凜とえるとヴァールを改めて見ると、3人共、可愛らしい浴衣を着ていた。
凜は紫地に銀河系柄のいかにも凜らしい浴衣に、宇宙飛行士が描かれた帯を身に着け、ツィンテールをなびかせていた。
えるは、黒地にドラゴンの描かれた浴衣に、白帯を身に着け、ピンクの髪を後ろに結い、大きな青い花飾りを付けていた。
ヴァールは、白地に丸っこい青色の西洋の幽霊が描かれた浴衣に、黄色い帯を締めて、ブロンドの髪を後ろでまとめ、耳の横にピンクの花飾りを付けていた。
「お恥ずかしい所を、お・び・ぜ・じ・ま・じ・だ!!!」ヴァールは、浴衣の袖を噛んで涙目になっていた。
やや間を置いて、通常モードに戻ったヴァールが「どうですか?」と、くるっとその場で回って見せた。
「はあ~」まるでその場で花がくるくると回っている様で、俺は思わず見とれてしまった。
「とっても可愛い!」素直にヴァールに答えると、ヴァールはちょっと、はにかんだ。
それを見ていた、えるも「わ、わたしも見てください!」と、後ろを向くと見返りポーズを取った。
束ねた髪と襟の間から、うなじが見えて、ドラゴンの瞳が燃える様に輝き、ちょっとドキッとしてしまう、妖艶な美しさが漂っていた。
「うう、すっごい綺麗!」俺が思っていた事と同じ感想を英美里が、瞳に星を作って答えた。
「ふふふ」えるは、満足そうに微笑んだ。
凜も、「むむむ…われも、われも見るのじゃ!」と言うと右手でV字を作り、左目に横から当てて、左手は腰に添えてツィンテールを鞭の様にはためかせキメポーズを作って見せた。
「おお!中2病っぽいポーズ!」と、俺は叫んだ。
可愛らしさの中に、小悪魔的な色っぽさを秘めた、雰囲気を醸し出していた。
「ふっふーん!!!」凜は満足そうに鼻を鳴らした。
「そうです!みなさんも、カワイイんですっ」英美里がビシッと人差し指を前方に伸ばした。
「ふふふ、そう言っている、英美里ちゃんもカワイイゾ」凜が英美里をツンツンと突くと、英美里はかああっと、真っ赤になり「わ、わたしはどうでもいいんですっ><!!!」と言って、凜の頭をぽかぽか叩いた。
「いたい、いたい」と笑いながら、凜は頭を押さえた。




