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りんけーじ107 マツーリ☆

りんけーじ107 マツーリ☆


こちらに戻ってから暫くすると、ある日ニコニコとヴァールがビラを持って部室に現れた。

「コレヲ、ミテクダサーイ」と妙な発音でヴァールは俺たちにビラを俺たちに見せた「ツギノドヨウビニ、オマツーリト、ハナービタイカイ、ヒラカレマース、ワタシイキタイデース!」

「ヴァール変な発音はやめなさい」鈴乃が言った。

ヴァールは首を振った「ノンノン、ワターシ、ガイコクジンネ!マエニ、オマツーリニ、ツレテイッテクレルッテ、ヤクソクシタネ!」

「はぁー」と鈴乃は頭を抱えた。

「そうですねー、確かに、そう言う約束してましたねー」あかねが、ニコニコと言った。

「そうじゃ!えるもお祭りに行ったことがないのう」凜もえるの方を見るとえるは「はい!」と行きたそうに目を輝かせた。

「それじゃあ、みんなで見に行きましょう」鈴乃の方もヤレヤレと言った様子だったが、「ヤッタネー!!」ヴァールとえるが嬉しそうに、ジャンプしながらハイタッチしているのを見て、ちょっと嬉しそうだった。

 お祭り当日、俺は、康太で行くか紗那で行くか迷ったが、女性物の浴衣の可愛らしさに惹かれ、紗那の姿で行く事にした。

妹の英美里も一緒に行きたいと言うので、今日は姉妹として行く事になった。

女性として、クロークを見てみると、ちゃんと女性物のかわいらしいクリーム地に大きな柘榴の花模様が入った浴衣があった。

世界観は今の俺、いやわたしは女だ!

女性物の浴衣の着付けがよくわからないので、母と妹に手伝ってもらいながら、何とか着こなすことができた。

「まったく!紗那は!」と嬉しそうに母が、不器用な俺に、浴衣の袖を通し、掛け襟の先を右前に入れながら、着付けをしてくれた。

帯を結ぶと「じゃあ、お姉ちゃん、髪の毛をセットするからね」と、英美里が俺の髪をサラサラと束ね始めた。

「はい、できたよ!もう!」英美里がふくれているので、理由を尋ねてみると、「だって、お姉ちゃん可愛すぎるもん」とプイっと横を向いてしまった。

鏡の前に立ってみると、目の前には髪を結い、鏡の前に立ってみると、「あばばば!!」思わずクラっとしてしまった。

まじまじと観察すると、目の前には、長い睫毛のキラキラと輝く大きな瞳に、スッと鼻筋が通った、健康そうな淡い桜色のチーク、ピンクの程よい厚みのリップをした、透き通る様な白い肌で、明るい茶色の前髪を眉毛に懸るくらい薄く垂らし、その両端をちょっと伸ばし、トップをちょっと盛り上げ、ゆるふわな感じで、後ろに花柄のシュシュで束ね、肩甲骨辺りまで伸ばした、スタイルの良い浴衣の似合う美少女が佇んでいた。

―――正に理想の女性の姿であった。

しばし見とれていると、重大な事に気づき、ハッと、我に帰った。

そうだ、これは自分なのである。この少女とは出会うことは不可能なのである。

俺は妹の方を見た「英美里もカワイイよ!」と言って英美里の頭を撫でた。

英美里は「..ホント!?」と俺の方をチラッと見たので、ウンウンとほほ笑んだ。

「どう?」と言うと、機嫌を直した英美里はくるっと回って見せた。

確かに英美里の浴衣姿は、髪の毛をトップで束ね、束ねきれない長さの前髪がちょこちょ飛び出し、紺地に花火の様な花柄の浴衣にピンク色の帯が似合って本当に可愛らしかった!

準備ができたので、下駄を履いてカラコロと鳴らしながら家を出た。

午後3時の待ち合わせ時間より少し前に、待ち合わせ場所の南浦浪駅に着いたので、駅前で初夏のちょっと蒸し暑い空気の中、待っていると、「おう、来ておったのか」「こんにちはー、英美里ちゃんも」「あら、円正寺さん早いですね」と言って、凜とえるとヴァールが現れた。


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