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引きずるモノ(後編)

~ひきこさん~

2004年ごろから広まった都市伝説。

雨の日に白いぼろぼろの着物を着た女が自分の姿を見た子供を捕らえて肉塊になるまで引きずり回し、決まった場所に連れて行き殺害する。彼女は自分が受けた酷いいじめに対する恨みから、子供を捕まえては肉塊と化すまで引きずり回しているのだ。

怪異研究同好会に入部を決めた翌日、常ノ介はつみれと共に登校していた。


「じょーくん、あれを見て」


つみれが指差した先には二人の男子生徒が気弱そうな男子生徒を取り囲んでいるのを見つけた。


「おい、何やってんだ?」


常ノ介が近づくと男子生徒達は走って逃げていった。


「大丈夫だったか。」


「大丈夫です。いつものことですから。だって今日で終わりますから。」


そう言いながら気弱そうな男子生徒はそそくさとその場を離れていった。


「つみれ、さっきの少年を追ってくれ、それとそれとこのメモを渡す。彼が心配だからな。」


「じょーくん、どうし…」


つみれが言いかけた時、常ノ介の真っ直ぐな目を見て察した。


「わかった。昼休みに戻ってくるから。」 


そう言うとつみれは男子生徒の方へ向かった。


「今日で終わる?どういう事だ…?」


何か嫌な予感を感じながら常ノ介は学校へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーー


常ノ介が学校に着くと、教室も騒がしい事に気付いた。


「全員揃ってるな」


「あれ、先生。まだ時間じゃないのに」


「何があったんだろうな。」


教室中がざわめき始めた。


「お静かに。」


担任の小田先生は生徒たちを静かにさせると話し始めた。


「昨日、真都中学校の生徒が何者かに襲われ大けがをする事件がありました。皆さんも登下校時には気をつける様に、それとこの件について何か知っている人がいたら、教えてください。先生は職員会議があるので次の時間は自習です。では」


そう言うと小田は教室を出て行った。


小田が立ち去るとまた教室内が騒がしくなった。


皆、中学生が殺された事に対して恐怖の声や憶測が飛び交う。


「なあ、シルフィード。この事件の犯人についてどう思うか?」


「どう思うってただの通り魔じゃないの?」


「そうだと思いたいが、これで終わりじゃない気がするんだ…」


「じゃあ早乙女先輩に聞けばいいんじゃない?」


「シルフィード、その手があったな。」


その時ちょうど授業が終わるチャイムが鳴った。


常ノ介とシルフィードは絵馬のいる教室に向かった。

 

「すいません、早乙女先輩いますか?」


シルフィードが教室前で呼ぶと絵馬が出てきた。


「あら、常ノ介君とシルフィードじゃない。もしかして今朝の事件のこと?」


「その通りです。絵馬さんならどう考えるかと思って」


「多分、今回の事件の犯人はまだ確証はないけどひきこさんだと思うの」

 

「都市伝説のひきこさんですか?」


「その通りよ。理由としてはこれよ」


絵馬はスマホを取り出すと常ノ介とシルフィードに見せた。


スマホに写っていたたのは〈真中正義の味方ネット〜悪者成敗最高〜〉と書かれたサイト

だった。


「これは…」


「学校裏サイトよ。どうやら体罰やいじめの加害者などに嫌がらせをするスレのようね。重要なのはここよ」


絵馬はスマホをスクロールしていたがとあるところで指を止めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

111 正義の名無しさん 2019/07/08(月) 01:22:54.46ID:???


  弱いものいじめをしているクズの主犯格達の名前をあげます。

  ・火口 英才

・生島 創也

  ・仁志瀧 斎賀

  コイツら見つけたら閉めてください。


112 正義の名無しさん 2019/07/08(月) 01:23:55.33ID:???

  

字間違ってんぞ。さてはオメーバカだなwww


113 正義の名無しさん 2019/07/08(月) 01:25:14.45.08ID:???

  

  なぁコイツらどう裁く?


114 正義の名無しさん 2019/07/08(月) 16:02:14.12ID:???

 

 ひきこさんがやっつけてくれるよ


115 正義の名無しさん 2019/07/08(月) 16:03:14.22ID:???

  

何言ってんだ?オカルト版に帰れw


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これって…」


「そう、このあと例の中学生が襲われる事件が起こった。つまり、考えられるのは2つ、一つ目はひきこさんの都市伝説を元に、事件を起こした。あるいは本物が現れたとも考えられる。」


ふと時計を見た時次の授業が始まるチャイムが鳴った。


「そうですか…では続きは昼休みにしましょう。つみれにも連絡しておきますから」


「わかったありがとう、私も調べておくからよろしくね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて昼休みになったし、シルフィード、先輩に会いに行くぞ。」


常ノ介とシルフィードが教室を出るとメモを持ったつみれがやってきた。


「じょーくん、調べてきた資料よ」


「つみれ、ありがとな。ちょっと場所変えようか」


常ノ介達は早乙女が待つ部活棟へ向かって行った。 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「早乙女さん、これ」


つみれは早乙女に自分がまとめたメモを見せた。


「ふむふむ、やはりそういうことね。」


早乙女は何かを確信したかのように呟く


「何かわかったんですか?早乙女先輩」


「このメモを見て」


つみれがまとめたメモには襲われた中学生の名前は掲示板に載っていた火口英才って人である事。あの掲示板に書いてあった三人は同じ中学校の隆という男子生徒に対し、いじめを行なっていたということも書いてあった。


「その男子生徒なら多分朝に会った子かな」


「何か心当たりあるのね」


早乙女に聞かれた常ノ介は今朝、絡まれていた男子生徒を助けた話をした。


「その男子生徒が隆くんとすると、動機は復讐になるわね。」


「じゃあ、次に狙われるのは、生島創也か仁志瀧斎賀のどちらかっていうこと?」


「そう考えて行った方がいいわね、つみれちゃんその男子生徒を調べてきてくれる?」


そう言うとつみれは窓からふわふわと飛び立っていった。その姿を見て絵馬はあることが気になった。


「そういえば常ノ介君はどうやってつみれちゃんと連絡を取っているの?」


「なんとなく通じるんだよ」


「えー、なにその適当な感じ」


常ノ介の言葉に絵馬は納得がいかないと言う顔をしていた。


「そんなこと言われたも…」


と常ノ介思わず呟いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


放課後常ノ介達はつみれの報告を聞いていた。


「それでつみれどうだったんだ?」


「うん、じょーくん見に行ったら丁度次は仁志瀧だっていってたよ」


その言葉を聞き、常ノ介は納得していた。


「やっぱり隆君が犯人だったか」


「取り敢えず仁志瀧って人を探しましょ」


「シルフィードの言う通りです。先輩、つみれも協力してくれ」


「そうしましょう!」


「うん、じょーくん!」


そして常ノ介達は仁志瀧を探し始めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うわー」


暫く街中を歩いていると悲鳴が聞こえた。その声の元に行くと一人の少年が謎の女に引きずられもう一人の少年が恐怖のあまり身動きが取れないでいた。


「オマエデ、オワリダ」


謎の女がもう一人の少年に手をのばしたとき


「そんなことはさせないよ!ひきこさん、いや隆君」


常ノ介は、ひきこと化した隆の腕をつかんだ。


「そんなことをしても、何の解決にもならない。もっと被害者が出るだけだ」


「ウう…」


「そうよ、だからこんなことはやめて」


常ノ介に続いてシルフィードが説得する。


「うう…ことはコトㇵしタくないモドリタイ戻りたい・・・」


ひきこの姿は徐々に隆の姿に戻っていく。


「うう…」


「これでうまくいったの?」


その様子を見て絵馬が質問する。


「いや、待て、様子がおかしい」


常ノ介がそう言いかけた時


隆は頭を抑え苦しみだし、ひきこさんの姿にもどってしまった。


「オマエらニナニガワカルンダアァァァアァアァッァァアアアアアアアァッァァァア、ショウジマ、オマエモコロス」


ひきこさんはショウジマと呼ばれた少年の首をつかみブロック塀にたたきつけた。


叩きつけられたショウジマは頭から血を流し気を失った。


「早く救急車を!」


急いでスマホを取り出そうとした絵馬をひきこさんははたき倒した。


「キャッ」


絵馬は地面に倒れこみ、スマホを落としてしまった。


「しかたない。これで止めるしかない。青龍」


常ノ介は印を組むと手のひらを前に突き出しすと手のひらから水流が飛び出し、ひきこさんの体を包み込んだ。


そして常ノ介がもう一度印を組むと水は消滅し、ひきこさんは隆の姿に戻った。


「僕は今まで、なんてことを…ごめんなさいごめんなさい・・・」


隆はうずくまったまま、謝り続けた。


それと同じくして雨が降り始めた。まるで彼の心の淀みを洗い流すかのように。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3日後、常ノ介たちは食堂で事件について話していた。


「結局、事件については何もわからないままだったようね」


シルフィードはパンを口に運びながら常ノ介に聞いた


「まあひきこさんがやったといっても誰も信じないだろうしな」


「でも、隆君に対するいじめが判明して学校側も動き始めたようだし、これで一件落着ね。まぁあの加害者たちはこれからが地獄だろうと思うけど。まぁ因果応報ね」


絵馬は野菜ジュースを片手に事件のその後について話した。


「それにしても常ノ介君の手から水流出たのはすごかったわね。まるで水の龍が舞い踊っていたみたいに。あの能力って何なの?超能力?」


絵馬は無邪気な子供の様に興味深々に常ノ介に質問した。


「実は、つみれ以外には秘密にしているんですが、これです。」


常ノ介は青い龍のカードを取り出し、絵馬とシルフィードに見せた。


「へー、この世にはこんな不思議なものがあるのね。こんど動画に出していい?」


「それはやめてくださいよ。絵馬さん」


「冗談よ、でも、出すときはきちんと都市伝説風にするから。」


「なら良いですけど。」


それを聞いていたシルフィードが質問した。


「この能力に名前つけたらどう?ただ青龍だけじゃインパクトも薄いし」


その話を聞いて絵馬が割り込んだ。


「霊眠とか、いいじゃないそれから霊滅術とか」


「霊眠なんて知ってる人少ないでしょ、それに昔のアニメのパクリになりそうだからダメ」


シルフィードにたしなめられ、絵馬はしょんぼりした。


「霊滅から考えたんだけど、怪異を滅ぼすから怪滅でどう?」


シルフィードと絵馬の話を聞いていたつみれが提案した。


「「いいわね、それ!」」


「というわけで、常ノ介君、これから怪滅でお願いね。」


「えっまあ、分かりました…」


こうして常ノ介の活動が始まった。





















半年ぶりの更新ですいません!!

いろいろとリアルが忙しかったのと、この作品を書いてる途中でスランプになってしまい書き上げるのに時間がかかってしまいました。楽しんでいただければ嬉しい限りです。

これからもよろしくお願いします。

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