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引きずるモノ(前編)

〜怪異〜

1.あやしいこと、ふしぎなこと

2.ばけもの。変化

『広辞苑』より引用

令和が始まって初めての夏、東京郊外にある高校の校門前に一人の少年が立っていた。


「ここが俺がこれから通う真都高校か…ん?」


少年はそう言うと校門に目をやった。そこには体育ずわりをした男の子が座っていた。


少年は悲しそうな目でこちらを見ている。


(子供の霊か…成仏してくれると嬉しいが…一応やってみるか)


少年が手を合わせると、男の子の霊はうれしそうな顔をして消えていった。


「うまくいったみたいだな、よかった。」


するとそこに、セーラー服の少女が現れた。


『じょーくん、早く行こうよ』


「ああ、わかった。そうだつみれ校内では絶対に話しかけるなよ。お前は俺以外には見えないんだからな」


『わかってるって、まぁ見せようと思えば誰にでも見せられるんだけどね』

 

そして2人は校内へ入っていった。


その様子を一人の少女が見ていた。


(あの人、一人で喋ってるってことはもしかして…)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「水戸市から来ました神丘常ノ介(かみおかじょうのすけ)です。よろしくお願いします」


教室内を拍手の音が包み込む。


「じゃあ、席は宮下の隣だ。わからないことがあったらクラスのみんなに聞くといい。みんないいやつだからな、

それと宮下、昼休みにでも学校を案内してやってくれ。」


「わかりました。」


担任の小田先生が碧眼の少女の隣の席を指差しながら言った。


「ありがとうございます。」


そういうと常ノ介は宮下と呼ばれる少女の隣に座った。


「私は宮下・シルフィード、よろしくね」


「俺は神丘常ノ介、これからよろしくな。」


「シルフィード…」


「私のママがイギリス人だから…つまりミックスね」


「ミックス…ハーフじゃなくて?」


「ハーフって表現が差別的だとか言われているから最近はミックスとかダブルって表現するんだって。それより、神丘君は、オカルトとかって好き?」


シルフィードの問いに常ノ介は答える


「まぁ、好きですけど。(急に話変えてくる奴だな。多分その話がしたくなかったんだろうけど)」


「なら、良かった。じゃあ昼休みに食堂に来てくれる?紹介したい人いるから。」


「わかった。じゃあ食堂への道を教えてくれるか?」


「何言ってるの?私が一緒に行ってあげる。」 


「ありがとう(これから面白い学園生活になりそうだ…)」


常ノ介は苦笑いしながらお礼を言った。

ー昼休み、食堂ーーー

宮下が常ノ介のもとにやってきた。

「ごめんねー、時間かかっちゃって。」


「大丈夫だ、気にしなくていい…いいがその量全部食べられるのか?」


シルフィードの前には、山のように積まれたパンとおかずは数え切れないほどだった。

「平気よ、これくらい」


己が食べきれない量をぺろりと平らげるシルフィードの様子に常ノ介はおののいた。

「そういえば、紹介したい人がいるって言ってたけど…」 

常ノ介がシルフィードに質問する。

「教室を探したけどいなかったから…多分部活棟にいる思う。」


「紹介したい人はどういう人なんだ?」


「先輩なんだけどね、探偵みたいな人…」


「探偵みたいな人?」


「うん、よく言えば天才、悪く言えば変わり者って言う感じかしら、都市伝説などに新たな切り口で考察していくスタイルでwetubeでもチャンネル登録数が1万人もいるからオカルト好きなじょーくんも知ってると思うよ。」


シルフィードはスマホの動画を見せながら言った。

「あぁ、この人の動画ならみたことがある。あれ、男性がいなかった?」


「兄ね、でも3か月前にいなくなったって。だから妹が継ぐことにしたって」


「そうか、ありがとう。それとシルフィード…」


「ん?」


「まだ会って数時間しか経っていないのにじょーくんって…」


「イヤだった?」


「そうじゃないけど、馴れ馴れしくないか?まぁ別にいいけど…」


「じゃあこれからも呼ばせてもらうね。じょーくん」


「あっ、はい。」


常ノ介がふと横を見ると、つみれが頬を膨らましている。


その時、シルフィードが時計を見て、


「あっ、昼休みもあと10分しかない。急いで食べなくちゃ。次の生物、理科室だから早く移動しなきゃ」


そして2人は急いで授業に向かった。


一方その頃、とある中学校では1人の気弱そうな男子生徒を三人の男子生徒が取り囲んでいた。


囲まれていた少年はすがるように言った。


「もうやめてよ」


「うっせーんだよ ゴミの分際で生意気言いやがって、殴られたくなきゃお前は金だけ持ってくればいいんだよ。」


真ん中にいたリーダー格とおぼしき少年はそう言い放った。


「で、でも。もうお金はないんだ」


「お前が持ってないなら親から盗んでこいよ」


「そんなの無理だよ。」


「じゃあ何だ、殴って欲しいのか?」


その言葉を聞いた瞬間、彼の顔から血の気が引いていく。


「おい!こいつ震えてるぜw」「ビビッてんじゃねぇぞ!」


彼らはさらに詰め寄っていく。


「もし出来ないって言うなら、こうだ。」


そう言うとリーダー格の火口(ひぐち)(たかし)の腹を殴った。


「ぐぇえ……げほっごほ……痛いよぉ」


「明日だからな。忘れたら承知しないぞ。」


 火口たちは念を押しながら立ち去っていった。


「どうしよう。すぐにお金なんて用意できないし…。親から盗むなんて…」


隆が考え込んでいると


「かわいそうに、かわいそうに」と声がした。


隆が声のする方向を見ると般若の面に黒いフードを被った人物がいた。


「だ、誰?」


「私は、天仇(あまがたき)なつめ。都市伝説(フォークロア)の使者。私は貴方を救うことができる。」


名前と声からして女性だろうか。隆は天仇なつめに言い放った。


「あなたに何ができるんですか!誰も僕を助けてくれない。だって火口は市長の息子だから先生も見てみぬふり…」


それを聞いていた天仇なつめは、


「なら、復讐をしませんか?」


「復讐?どうやるんですか!あなたがやってくれるんですか!」


「復讐するのは私ではありません、あなたの心です。」


天仇なつめはフードのポケットから青い宝石をとりだし、隆に近づけると隆の体から黒いもやの様なものが出てきた。


(何だ…?これは…く、苦しい…)


そう思った瞬間、隆は意識を失った。


「さあ復讐劇の始まりですよ。」


天仇なつめはそう呟くと去っていった。


ー放課後、部活棟ーーー


「ここよ」


シルフィードは〈怪異研究同好会〉と書かれた部室を指差した。


「早乙女先輩いますか〜?」


シルフィードは部室を開けると

 

部屋の奥で本を読んでた少女が出てきた。


「あらシルちゃん今日は早く来たのね。もしかして隣にいるのは紹介したいって言っていた人?」


「神丘常ノ介です。よろしくお願いします。」


「ようこそ真都市高等学校怪奇現象研究会へ、私はこの部の部長をしている早乙女絵馬よ。よろしくね。ところで常ノ介君、あなた幽霊連れてるでしょ。」 


「いきなり何を言うんですか?」


唐突な質問に、常ノ介は平常を装いながらも動揺していた。


「図星ね、その幽霊は女の子のかしら?関係は、朝の会話からして幼馴染か彼女ね」


常ノ介とつみれの関係をことこまかく当てていく絵馬の様子に常ノ介は驚きを隠せない。

 

「どうして、わかったんですか?」


常ノ介は絵馬に質問する。


「そうね、朝、校門の前にいたとき、霊に手を合わせていたでしょ。そしてそこの幽霊さんと会話していたでしょ?」


「見てたんですか…」


「見てたというより見えたの方が正しいかしら、私もあなたと同じ霊感があるからね」


「見える?何を言っているのかしら?」


シルフィードは不思議そうに首を傾げる。


「あ、あの、一体なんの話をしてるの?」


「ああ、悪い悪い。つまり、俺には早乙女先輩と同じ昔から幽霊が見えるんだよ。」


「そうなの!?」


「ああ、今朝も校門の前に霊がいたから、手を合わせたら成仏したんだよ。」


「それってすごいんじゃないの?」


「ところで常ノ介君は入部したいかしら?」


「今の話で入ってみたいと思いました。」


「決まりね。これで部員が私含めて4人になったわ」


「「4人?」」


常之助とシルフィードは首を傾げた。



「今の話で入ってみたいと思いました。」


「じゃあ決まりね。これでシルフィード、二人入部したわね」


「「どういうこと?」」


常ノ介とシルフィードは首をかしげた。


「そこの幽霊さんも部員よ。幽霊さんっていうのはしっくりこないわね。名前は?」


すると今まで姿を隠していたつみれが姿を現した。


『星船つみれです。よろしくお願いします。』


「つみれね。いい名前だわ。」


『ありがとうございます。』


つみれは嬉しそうに浮いている。


「遅くなってきたから今日はお開きね。次の活動は3日後だから忘れないでね。私とシルフィードは少し資料整理してから帰るから、先帰ってていいよ。」


「「はい、わかりました早乙女先輩」」


常ノ介とつみれは返事し、帰ろうとした


「そうそう、シルフィードにも言ってる事だけど、ここでは、先輩呼びしなくていいからね。普通に早乙女さんでいいから」


「わかりました。ではさようなら」


常ノ介とつみれは怪異研究同好会を後にした。

ーーーーーー


「夕立かよ、ついてねーな」


夕立に打たれながら火口は走っていた。


「たち…さない…」


突然後ろから声が聞こえた。


「おい、誰だよ」


火口が振り返るとそこには隆が立っていた。


「お、ようやく自分から殴られに来るようになったか。」


「たち…さない…す…てやる」


「何言ってんだよ。殴られすぎて頭でも壊れたか?」


「殺してやる!!」


隆がそう言うとボロボロの着物を着た女の姿になった。


「ドッキリか、つまんねーの。俺を驚かんすんなら…」


火口がそう言いかけた時、ボロボロの着物を着た女は火口の足首を掴み、転ばせた。


「うわぁぁぁあああぁぁぁあ」


女は火口を引きずりながら何処かへ向かって行った


















皆さん、お待たせしました!

シンワの小説第二弾〈怪滅逢魔奇譚〉です。

この小説は本来CARD COLLECTORS が人気になってきたので、1000アクセスになったら出す予定でしたが、気がついたら1100アクセスになっていました。(^_^)

これからもよろしくお願いします。

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