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発現

本日、二度目の投稿です。


描写どうしようか考えましたが

そのままで。


血とか

苦手な方はごめんなさい。




そこは

広場になっていて

井戸と、大きな台や水を貯められる流し台があり

獲物を吊すための支え技が建っていて

先ほど別れた冒険者の人たちが

丁度、鹿を狩って帰って来た所だった。


さすが

優秀な冒険者だ

仕事が早い。


「おー、お疲れ

 オリバー達が呼ばれったってことは

 これの解体係か?」


と、一番体格のいい男性が

ルナという子の頭を撫でると

オリバー君達はコクリと頷いた。


「これ、今狩ったんですか」


「ああ、領主館の裏手は森が広がっていて

 鹿が放し飼いにされてるんだ

 魔獣と違って狩るのは簡単だよ」


「血抜きも終わっていますね、これ生きたままやってますよね」


「ああ、よく分かったな

 狩る時は昏倒させて

 心臓が動いている間に血を抜けば

 生臭くなくて、美味しい肉になる」


「えっと、じゃあ……解体しましょうか

 いつもはどうやっているんですか? 」


オリバー達がぽかんとした顔をしている。

なんか変なこと言ったかな?


「……嬢ちゃん、すげえな

 普通、慣れないと

 こう言うの嫌がる子も多いんだけどな」


「あー、ま、色々あって

 僕、こう言うの大丈夫なんです」


「そうか、じゃあ、解体は任せた

 俺らはもう少し何か狩って来るから」


コンビニあたりに

唐揚げでも買いに行く様な気安い様子で

彼らは再び森へ入っていった。


それを見送って振り返ると

オリバー達はすでに作業用のエプロンをつけて

何処からともなく

ロープを出して鹿を支え木に吊るす準備をしていた。


僕も

ヴィーという子からエプロンを渡され

作業に参加する。


「手伝うよ」


「……うん」


五人で鹿を吊るし固定してから

解体を始める。


五人で同時に刃物を使うと危ないので

最初にオリバー君が毛皮を剥ぐ係で

僕とユリウスは剥ぎやすい様に皮を引っ張る係、

女の子達は脂で切れなくなった

ナイフの洗浄を担当してくれた。


女の子二人の態度が妙によそよそしいのが気になる。


「解体はいつもやっているの? 」


「……たまに」


ユリウス君が答えてくれた。


オリバー君の手際は

かなりのもので

ナイフがサクサクと進む。


「解体できるのはこの四人だけ? 」


「いや、何人かはできる、でもまだ下手だから

 オリバーがやることが多いよ」


「解体は誰から習ったの? 」


「エイローさんと、院長、あと先輩達」


「へえ、院長って、ヘレンさん?」


「そう、ここの子供達の命の恩人

 エイローさんも同じだよ」


「そうなんだ……じゃあ、僕と同じだね」



え? と彼らは驚いた表情で振り向くと

オリバー君の

解体に使っていたナイフが

僕の手のを切りつけそうになり

加護の力で跳ね返される。


その様を見て

彼らはさらに驚いた表情を浮かべる。


「そ、それは……」



「僕、加護か、呪いか、そうの

 かかっているらしいんだけど

 よくわからないんだ。

 誰にも言わないでくれるかな」


戸惑う彼らに

意識して微笑みながら

お願いする。



「「「「「……うん……」」」」」


大丈夫そうかな?



「皮は綺麗に剥げたね、じゃあ内臓とか切り分けは

 僕がするよ」


と、ナイフを借りて

お腹を開き内臓を出し

前足と後ろ足を切り離す。


その間、男の子二人は皮を仕舞いに行った。

後でなめして売りに出すらしい。



「セティは、お貴族様じゃないの?

 何処に住んでいるの?」


切り分けた肉を手渡していた

ルナという子が

ちょっと

警戒した感じで

聞いて来る。


「えっと、貴族じゃないよ。

 僕、ここ一週間くらいの記憶しか無いんだ。

 今朝、この街でエイローさんに助けてもらって……

 フォルセティって名前もその時に付けてもらって。

 これ、内緒だよ」



流石に転生のことを話すわけにはいかないので

記憶喪失ってことで出自は曖昧にごまかす。



「……そう、なんだ……」



僕の話に女の子二人は絶句する。


しまった

少し話が重かったかな?


「二人はここでどんなお仕事しているの? 」


無理やり

話を変えようと

ここの暮らしを聞きながら

作業を進めると

あっという間に終わってしまった。


久しぶりの解体だったけれど

体は覚えていた様で


戻って作業を見ていた

オリバー君が


『すごく上手い』


と褒めてくれ自然に頬が緩んでしまう。


そんな僕を見て

今度は男の子だけではなく

女の子も耳まで赤くなって

目をそらしてしまう。


なんで?


「さ、さあ、お皿に分けてしまうぞ」


オリバー君が気まずそうにそう言うと

ユリウス君が、女の子二人を連れて逃げる様に

お皿を取りに行った。


僕の話で

気を遣わせちゃったかな……



ユリウス君達が戻って来て

皆で

部位ごとに食べやすい大きさに切り分けて

大きなお皿に並べていると

護衛の人たちが

鳥を何羽かぶら下げて

森から戻って来るのが見えた。


一番体格の良い男の人が

鹿の頭部だけ残った支え木と

机の上の

お皿に山になった肉を見て目を丸くしている。



「……早いな、まだ、三十分も経っていないだろ

 これ、本当にさっきの鹿か?」


いや

あなた達こそ

獲物を狩ってくるの早過ぎです。



女性二人が


「賭けはうちらの勝ちね」


ニマニマしながら言う。





「賭け? 何?」


訳がわからず

聞くと


「五人で賭けをしたんだ

 俺らが獲物を狩ってくるのと

 解体のどっちが早いかって」


「で、私たちの勝ち〜」


「……子供達の力を見誤ったな

 後で一杯ずつな」


「”各々で”一杯ね、三倍飲めるわね」


「くっ」


「早すぎるよお」


「もう少しゆっくりやれよおお〜」


男性三人がガックリと膝を落とした。


ええ、これ

僕たちが悪いの?



オリバー君達が

肉を運ぶための手伝いを呼ぶため

表へ行っている間

護衛の冒険者さん達と少しお話をする。


「改めまして、フォルセティです。

 皆さんここの出身って聞きましたけれど……」


「ああ、全員、この孤児院出身で

 冒険者でチームを組んでいる。

 全員Bランクで、俺がリーダーのハリー、ほぼ人族、熊少しの混血で前衛、盾役だ

 こっちのヒョロイのがフレディ、エルフの血が入っていて魔術全般

 こっちのちっこいのはアルフ、ハーフフットで盗人……じゃなかったスカウトだ」


「ぬすっと違うし、ちっこい言うな」


アルフさんが素早くハリーさんのすねを蹴る。


「痛って!

 あと、猫と犬な」


「猫て、説明雑! 」


「私、犬? え? 犬なの? 」


でっかい戦斧を首に突きつけられて

ハリーさんが改めて女性二人を紹介する。


「すまん、ノアは猫族と人族のハーフ、弓の達人だ

 で、ワンコはルカ、犬族と人族のハーフで戦斧を使わせたら右に出るものはいない」

 

「むう、ハリーはゴリラ入ってるじゃん! 」


「いや、ほぼ熊!」



逆に二人に反撃され

目を白黒させた

ハリーさんは『おお、恐っ』と言う感じで

肩を竦めた。


皆、なんかすごく仲間っぽい。

ぼっちだった僕には

ワイワイ言いながらジャレ合う五人は眩しく見え

羨ましい光景だった。



ハリーさん達が狩って来た

大きな鳥の解体を始めたので

手伝おうとしたら


「ここはもういいから、綺麗にしてきな」


と言われて全身を見る。


服の方は解体前に

体をすっぽり覆う前掛けを

していたので

大丈夫そうだけれど

両腕がスプラッター状態になっていた。


「こっち」


とヴィーちゃんに案内され

洗い場に行くと

先に道具を片付けていた

ルナが

腕から血を流して

うずくまっていた。


「ルナ、大丈夫?」


青い顔をしてヴィーが駆け寄ると

洗い場の脇には解体用の鋭いナイフが転がっていた。


出血の様子から

結構深く切った様で

僕は反射的にエプロンを脱ぐと

大急ぎで手を洗い、服の裾を破り

ルナの傷に巻きつけ押さえる。


「心臓より傷口を高くして、クラクラしない?」



傷の応急処置をしながら

状況を確認する。


「だ、大丈夫、

 片付けようとしたら手が滑って……」


ナイフは洗い終わった後だから

感染の恐れは少ないだろう

傷の状態だが……


「傷はどのくらいの深さ? 」



「結構ざっくり行った」


まずいな

動脈まで切れたのだろう

押さえた手の間からの出血が止まらない。


僕にできる事

何か?

何かないか?


と、自分の

サキュバス姿と、その尻尾が頭に浮かぶと

唐突に魔力が溢れ

背中に黒い羽

お尻には尻尾が生えた。


僕は蹲み込んで

驚いて目を見開いている

二人を見てから

できるだけ静かな声で


「大丈夫、今、治すからね

 怖がらないで」


と尻尾を

ルナの腕に巻きつけた。


「ちょっと、ちくっとするけど

 大丈夫だから」


尾の先端を皮膚に差し込むと


「うっ」


とルナは

少しだけ痛そうする。


自分の体で何かが渦巻き、尾の先端から

温かいものが流れ出て

ルナの体を巡っているのを感じる。


「ふわああああ、温かい

 セティちゃん……」


さっきまで

苦痛に表情を歪めていたルナだったけれど

今は

恍惚とした表情で

僕にしがみついている。


腕を見ると

流れていた血は止まり

傷口はみるみるうちに塞がって

綺麗な肌に戻っていた。


それを見届け

腕から尻尾を外したけれど

元の姿に戻る方法がわからない。


どうしようかと迷っていると

誰かが

走ってくる気配がする。


この姿を見られるのはまずいと感じた僕は

とりあえず目を閉じて

人間になった自分の姿を思い浮かべてみると

背中の羽とお尻の尾は消え

周囲に溢れていた魔力は霧散していた。


その直後


「おい、どうした!」


とハリーさんの声。



よかった

淫魔の姿を見られる前に

無事人間に戻れたみたいだ。


実は作者は

動物の解体を経験した事があって

初めてやったときは

本当に大変でした。


でも

命をいただいて

自分が生かされていることを

学んだので

すごく貴重な経験をしました。


肉を切っていると

脂でナイフの切れ味が鈍ってくるんです。


だから

ナイフは複数本準備して

切れ味の鈍っているものは

新しいのと取り替えて

脂のついたものは

お湯で洗いながら

解体を進めて行きました。



※某、北海道の農業高校を舞台にした

 少年漫画の主人公と同じ様な状態で……

 わかるかなあ?





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