表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/63

組合長

続きです。

少し時間が空いてしまいました。


よろしくお願いします。


説明回。

もう少し分かり易く書ければよかったのですが……


力量不足を思い知らされている今日この頃です。


「ふう」


ロビーには、制服の警備兵の他に国の機関の者達が、私服で潜んでいた様だが

ここまで追って来る気配は無く、一般者が立ち入れない場所まで来て

安堵のため息が漏れた。


船員組合や冒険者組合などは、

多数の国を跨いで活動する独立した国際機関であり、

国家間とは相互に不可侵であることが定められている。


従って一般に開放されている区域以外、許可がない限り、

一般の組合員はもちろんの事、

国の警備兵も犯罪捜査などの正当な理由を持ち、

それを組合が承認しなければ立ち入ることすらできない。



思わずため息を漏らした俺を見てセティは


「あ、あのっ、さっきはすみません」


と俯いてしまった。


困ったな、

目立ってしまったのは

セティのせいじゃない。


「セティの可憐さは凄い威力だなあ」


咄嗟にそんな事を口にする。


「勝手に動いたから怒っていないのですか? 」


「いや、あの場所であんな風になるのは仕方ない、

 まあ、あれほど目立つと思っていなかったから少し驚いただけさ」


「そう、なん、ですか」


「ああ、そうだ。

 絵を見ようとしてひっくり返る観光客はわりと多いが、

 ロビー中の人間を黙らせられる者はそうそういないだろうよ。

 まあ、絵は後からゆっくり見ような」


と頭を撫でると

セティはホッとした表情を浮かべた。



守衛の案内で、長い廊下を歩き

階段を何度か折り返し登った後

俺たちは組合長の部屋に到着した。


豪華で派手なホールや廊下と違い

組合長室は一目で高級品だと印象を受けつつも

落ち着いた雰囲気の調度品で統一されており

部屋の持ち主の人柄をそのまま表している様だった。



「久しぶりだな、アンドリュー、忙しい所すまん」


秘書の案内で

部屋に入り開口一番、謝意を述べると

モノクルを掛け、書類を睨んでいた初老の男が

飛び上がる様に立ち上がったと思うと

素早く駆け寄り私の手を握りしめる。


「エイロー様、いつこちらに? 」


「ああ、今朝着いたところだ

 少々厄介ごとを頼みたくてな、お願いできるか? 」


「はい、エイロー様あっての私です

 お役に立てるのであれば、これほど幸いなことはありません」


「すまんな、今回はちゃんと諸々の費用は請求してくれよ」


「いいえ、それは結構です。

 私だけではなく、母のバーバラや姉のエルミナが、今この国、この街にいられるのは

 貴方様のお陰なのですから、ご恩は一生かかってもお返しします」


「あれは俺が勝手にやった事だよ、気にしなくても良いのだがなあ」


「いえ、それでは私の気持ちが済みませんので、こちらに全部お任せを。

 それで今回は何をご入り用で? 」


「ああ、ここにいる孫の、フォルセティの組合登録をお願いしたい。

 下の受付じゃ邪魔が入りそうだからここでお願いできないか? 

 あと、ラビリンスシードの発生と

 警備兵……この国が探しているという『黒髪の少女』について

 詳しい情報が欲しいのだが教えてもらえるかな」


「かしこまりました。

 ご挨拶が遅れ、大変失礼しました。

 初めましてフォルセティ様、私の名前はアンドリュー・ワイルズと申します。

 サン・レノールの各組合を纏める総合組合長を任されております。

 以後お見知り置きを」


「あ、え、フォルセティと申します

 祖父がお世話になっております。」


流れる様に、淑女に対する礼をしたアンドリューに対し、

セティは若干戸惑った様な表情を浮かべた後ぎこちなく頭を下げる。

アンドリューは

そんな彼女を微笑みながら優しげな眼差しで見てから

秘書に登録手続の準備を指示した。


私もセティのパスポートを秘書に渡しておく。


秘書が部屋から退出し、

三人きりになったところで

アンドリューから今回の騒ぎについて聞いたのだが

その内容は酷いものだった。


本日早朝、というより夜明け前の真っ暗な時間に

アンドリューは他の組合の長達と共に、緊急事態を理由に副領主の館に呼び出された。


副領主の代理という人物より、昨日、国内でラビリンスシードが発生し

その事件に関わっていると思われる人物がいる事を告げられたのだが


『ラビリンスシードは発芽前に無事討伐されたが国内に残っている可能性も考え、

 発見した場合は直ちに通報せよ。

 また、冒険者組合は、再びラビリンスシードが現れた場合、討伐に協力せよ。

 なお、併せて事件に関係あると推察される『黒髪の少女』を見かけた場合

 直ちに警備隊へ通報、可能であれば身柄の確保も行う事。

 国を揺るがす緊急事態である、民を守るためこの依頼に拒否は許されない。

 他の組合も協力するように』


と一方的に言われたそうだ。


怒りを隠そうともしないアンドリューから

その際に渡された人相書きを見せてもらったが、セティと酷似、いや、セティそのものだった。


本来、非常事態であっても組合には無茶な依頼に対する拒否権を有するはずであり

自前の兵を持って対処可能な国が、独立した機関である組合に対し

自国の兵と同様に拒否権のない依頼……

いや、命令を行うことは非常識極まりないことなのだ。



 そこまでしてもセティの身柄を確保したいと推察されるのだが、その話は後回しにして、

私はアンドリューに続きを促す。

 

「組合としては、確固たる理由もなく個人の人権を無視して保護する事は出来ないため、

 ラビリンスシード討伐の際の状況や、少女とラビリンスシードとの関係、

 なぜ少女を保護しなければならないのか説明を求めましたが、

 『機密のため』『今後の対応に問題が生じる』として一切の回答はありませんでした」


「……」


アンドリューの言葉に私も絶句する。



あまりにも酷い態度に、早朝、突然呼び出された各組合の長たちは、副領主館から戻ってから、

改めて関係者だけで会議を行い、納得ができる説明があるまでラビリンスシードの発生は通報するが、

それ以外は応じない事で話が纏まり、その回答と抗議はすでに国に対して行ったそうだ。


「組合をなんだと思っているんでしょうね? 

 百数十年ぶりにラビリンスシードが現れた事は非常事態とは思いますし、冒険者組合の

 方が経験豊富で対応には慣れているのでしょうが、我々は国の下請け企業じゃないんですよ。

 協力要請ならまだしも、ほとんど命令じゃないですか。

 人に物を頼む態度じゃない

 それに、詳細な情報を伏せているって怪しすぎます」


素の口調に戻ったアンドリューが憤りを抑えもせずに怒りを顕にする。



「現在の、ここの副領主は誰だ? 」


「民衆議会選挙で当選し、中央から派遣されたジョージ・ヘイルです」


「むう、黒い噂の絶えない民意野郎か」


この国の統治体制は少し変わっていて、王民半々で政治を行なっているのだが

地方領主である貴族の助言者という形で選挙により選ばれた副領主が派遣されている。


ただし本来の副領主は単なるお目付役であり、強権を発動できる立場ではないため、

今回組合に対する『依頼』については不審な点が多すぎた。


「『民意』を振りかざし、中央でのし上がるため色々動いている奴らしいな」



「そうですね、当選後に公約を翻し、領主様が反対していた増税を行い、

 この街で吸い取った利益を軍閥や派閥に資金供与をする見返りに、

 国の意思決定機関に食い込もうと躍起になっているとか、悪い噂が絶えません。

 今では街の多くの者に嫌われていますよ」


「領主様は今どちらに? こんな無茶は止められなかったのか? 

 組合を敵に回すような事をするとは思えんが・・・・・・・・」


ここの領主は『レイモンド・ドゥーガン』と言い穏健派の

住民に寄り添った政治をする名君であり

ジョージとは正反対の常識人だ。


「領主様は諸用で現在王都におられます。

 組合の会議でも『民意』を盾にジョージが先走ったのでは? との意見が大半でした。

 現在、私の持てるルートを使って真相を確認中です」


主人の留守を狙い無茶な命令を出したのか。


「そうか、何かわかったら教えてくれ」


そこで部屋のドアがノックされたので会話を中断する。


「どうぞ」


とアンドリューが答えると

秘書はキーボードと透明な板が線で繋がれた装置を抱えて入ってきた。


私には見慣れたそれは、組合員の登録証を発行するためのもので、普段は組合の窓口にある。

キーボードで名前や出身地などを入力してから、透明な板の部分で登録者の魔力の波長と種族を読み取らせ、

組合のデータベースへ記録したのちに、それらの情報が記録されたカードが出てくる仕組みになっている。


また、カードは持ち本人と同じ波長の微弱な魔力を帯びており、

組合にある装置で持ち主の情報を読み取ることができる。


魔力の波長は誰一人として同じものはなく、それが記録されたカードは組合印証であり、

国家間を跨いだ活動をする場合、パスポートよりも重要な身分証明書となるのである。


活動実績を報告する場合は、組合で本人の魔力とカードを照合し、

その内容が一致しなければ手続きは出来ないため、他人のカードを使用しての悪用は出来ない。


また、再発行する場合は、必ず本人が組合で魔力を読み取らせてから、

紛失したカード情報を停止する必要があるため、同じものを複数枚持つ事も出来ないのである。


「そこへ置いてくれ、あとは私がやる」


と、秘書を部屋から退出させたのち

アンドリュー自ら機械を起動させた。


「フォルセティ様、申し訳ありませんが、右手をこちらへ置いてください」


装置を興味津々で観察していたフォルセティが

恐る恐る透明な板に手を置くと淡い光を放ち始める。

すぐにアンドリューが怪訝そうな表情を浮かべ呟く。


「人族? 」


その言葉に私も違和感を覚える。


「どうしたアンドリュー? 」


「あ、いえ、フォルセティ様は人族でしたか

 私はてっきりエイロー様と同じであると……」


「あ、ああ、俺に似なくてな」


なんとか誤魔化すが

心の中では激しく動揺してしまう。

人族? セティは淫魔族じゃなかったのか? 


隣を見るとセティも装置の意外な反応に驚いている様だった。


このことについて、一つの可能性に思い当たるがそれは後回しだ。


「すまん、他の組合の分も登録してくれたのだな」


「お孫さんはまだ成人前でしょう? 

 今後のため色々選択できた方がよろしいでしょうから」


手渡されたカードを見ると

船員組合や冒険者組合のほか、商業、魔術、薬師等の文字も見えた。


「このカードだと登録料が馬鹿にならんだろう」


魔力を帯びているカードは、大量の情報を記録させる場合

あらかじめ大量の魔石を消費して

容量を大きくしなければならず値段も高くつくのだ。



「いえ、必要経費です、

 お孫さんにはお爺様以上に頑張っていただいて我々に還元していただければと」


相変わらず抜け目がないと半ば呆れつつも

その言い様は嫌味ではなく、セティの成長を願うものであり

私はアンドリューに感謝するのであった。


組合ギルドカード=大容量のICカードのイメージです。



表現方法を

試行錯誤しながら

じわじわと進んでいる感じです。


体調を崩してからは

脳の装置がおかしくなり

情景が頭に浮かんでも

文章に変換する速度が

極端に落ちてしまいました。


週一回投稿できれば良いのですが

少しペースが落ちそうです。


申し訳ありません。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ