転生
連続で投稿です。
よろしくおねがいします。
気が付くと深い深い、緑に覆われた
森の中に佇んでいた。
森は、落葉高木が多く、松や杉が少し
植生は地球の、日本の物に似ている感じがする。
あまり人の手が入っている様子は無い。
僕は森の中の中央にぽっかり空いた
窪地になった草原に立っている。
むせかえるような緑の臭いと
うるさいくらいの春ゼミの声
飛び交う羽虫。
ここは何処だろう?
現状把握を試みる。
死亡時の自分。
18歳、男性、高校3年生
小さい頃から田舎の施設で育ち
貧乏であったのと、特別勉強が出来た訳ではないため
大学へ行けず就職活動中の身だった。
名前を思い出そうと頑張るが
確か、姓が『た』で
名が『せ』で始まるんだったかな
と浮かぶだけで
全く出て来ない。
僕が
三歳の頃から暮らしていた
施設の名前も思い出せない。
施設の先生、職員も同じ。
自身に関わる、
固有名詞が付くものは
記憶に制限がかかっている模様だ。
現在の自分の体。
服や剣、防具を初め装備の一切もなく
下着すら身に付けていない。
異世界物の小説によくある
念じれば
目の前に操作画面が出たり
アイテムボックというなんでも入る
亜空間の収納も使えなかった。
神様、これはあんまりだ。
裸で山中に放置プレイ
どんな試練だよ。
試練というより
死刑の執行じゃないのか。
本気で達成させる気は全くないのだろう。
むしろリタイヤさせる気満々で
悪意すら感じる。
神様のことは置いておいて
体を確認することにした。
恐る恐る
顔を下に向けてみると
白い肌と
控えめな胸の谷間が見える。
その下に綺麗なおへそと・・・・・・
見慣れたものがついてないお股。
さらにその下に
形のいい太ももと、膝小僧からふくらはぎのラインが見える。
大人な雑誌の写真でしか見たことがないその光景に
自分の体だという事も忘れ
ドキドキしてしまう。
そして
その下は当然裸足。
足を見たくて屈んだら、
ふわりと
視界の両端に黒い髪が降りて来た。
髪、
結構、長いんだな。
上体を起こし、髪を手に取ると
腰くらいあるのが判る。
当然、鏡など持っていないので
自分がどんな顔をしているのか
知る術は無い。
現在の時間。
恐らく午前中だと推定する。
まだ、すっかり昇りきらない
太陽からの木漏れ日が、木々の間を通して
差し込んでいる。
木漏れ日を通した光が
直接肌に当たる場所はほんのり暖かく心地いい。
季節は、日本で言えば丁度5月の初め頃の陽気で
鳥のさえずりも聞こえてきて
お昼寝がしたくなる。
一通り自分の体を確認してから
草地に座り込み
「はあ・・・・・・」と
つい漏らしたため息に、
びくっとしてしまう。
元の自分の声からも想像できない、可愛い声。
改めて
体中を触り、感触を確かめる
肌のから伝わる手の冷たさで
本当に
自分が女の人の体になったのだと実感した。
自分を生まれ変わらせたのは・・・・・・誰だ?
身に覚えも無い罪で重い罰を与えたのは本当に神か?
神様は全てを見ているのではないのか?
そんな考えが浮かんで来て、
怒りと悲しみが沸き上がり
目から涙が溢れて止まらなくなる。
しばらく蹲り、泣いていた。
泣いて、泣いて・・・・・・
そのまま
眠ってしまった。




