よくじょう、せんじょう1(仮)
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有難うございました。
大変、力になります。
隊長
今、なんつった?
命令?
‥‥‥
どどどどどどうしよう?
落ち着け、落ち着け俺。
いかに命令とは言え
腕の中でスヤスヤと、寝息をたてて眠っている
美しい少女の体を洗い、着替えまで
行っても良いのだろうか?
‥‥‥
いや、これは命令だ。
命令は絶対だ。
命令は絶対なのだ。
心を鬼にして任務をこなさなければと
気合を入れ直し
深呼吸をした後
改めて
少女の顔をじっくりと見る。
白くキメの細かい肌
黒く長い睫毛
鼻筋は彫り物の様で
大きくも、小さくもなく丁度よい高さで
小さめの口に形のいい桜色の唇に
徐々に鼓動は高まり
煩いくらいに心臓がドキドキして
呼吸が乱れるのを感じる。
しかし
細く白い首から鎖骨と形のいい
小さく形の良い胸が見えた辺りで
視線が凍りつく。
顎から首筋を通り胸にかけて
血の跡が見えた。
途端に
冷水を浴びた様に背中に冷たいものが走り
胸の高まりと乱れた呼吸は
ピタリと静かになる。
慌てるな、この血は
蘇生の時
吐き出したものが
固まり始めているもの。
大丈夫
大丈夫だ。
生きているから。
そうだ、早く綺麗にしてあげないと。
やましい事を考えていた自分を殴りたい気持ちで
隊長から受け取った鍵を使い
カレン女史の私室に入り
魔道具の照明を灯し
浴室に向かう。
備え付けの魔石を使用する暖房を起動させ
部屋全体を温めながら
浴槽に少しぬるめのお湯を張っていく。
その際、体を洗うための泡の元も忘れず入れる。
少女の体には
保温のため一応大きいタオルを巻きつけた。
浴槽のお湯張りを終える間
自分の腕の中にいる少女の体温と鼓動を感じながら
また、手の届かない所へ行ってしまうのではという不安と
今、ここに確かに生きているという気持ちとが
ぐちゃぐちゃに混ざり合い
わけのわからない感情がこみ上げて来て
思わず強くて抱きしめてしまう。
すると
「……んん」と
少し苦しそうに少女は身を捩り
薄く目を開けた。
慌てて力を緩めると
長いまつ毛の間から
深いガーネットの赤が見え
俺はその色に引き込まれ動けなくなる。
すると確認する様に俺の顔を見てから
ふっと微笑みを浮かべると
すぐ目を閉じてしまった。
「お、おい、大丈夫か?」
と声をかけるが
「眠い……」
と呟きそのまま深い眠りに落ちてしまった。
これから行う
洗浄と着替えに付いて
同意が欲しかったのだが
この状態では無理そうだ。
ここは
いた仕方ないが
眠りを妨げない様に
淡々と任務をこなさなければ。
だが
お湯張りが終わり、浴槽を確認して
驚愕の事実に気がつく。
現在
少女はすでに服を身に着けていないから、
タオルを外せば
そのまま、問題なくお湯に入れることはできる。
しかし
浴槽は深めで大きく、そのままだと
溺れてしまう。
さらに
俺が腕を伸ばした状態で入れるのは、体勢的にかなり困難なのだ。
一緒に入るしか無いのか
誰が?
俺が?
隊長が言っていた
手伝いの者は未だに来ない。
どうしよう
早くしないと体が冷えてしまう。
風呂に入るということは
服を脱がなきゃならないという事であり
裸で抱き抱えることはすなわち
肌と肌が触れあう事で……
だ、だめだ
この任務
俺には重すぎる。
援軍はまだ来ない。
もしもーし?
おーい?
お願い
誰か……
早く……
お願いだから
早く来てくれ。
シャワーの存在を
完全に忘れてしまっている
ウラキさん。
頑張れ。




