帰路2
すみません
寝ぼけて
一部分飛ばして投稿していました。
こっちが先です。
「ウラキ、力を抜け、口から血が出ているぞ」
隊長が肘で私をつつき、小声で言ってくる。
噛み締めすぎていた口から血が出ていた様だ。
よほど酷い顔をしていたのだろう
他の隊員は遠巻きに見ているだけだ。
沈み込み、自分の不甲斐なさに荒れ狂う、
心の中を表に出さないよう、
無表情を装っているのだが
どうしても、目の前で溢れた命の事を思ってしまう。
彼女は、自分の命が付きかけた状態で
「無事で良かった」
と言っていた。
それが彼女の最後の言葉になった。
現在、私の腕の中に、顔だけ表に出して
白い布にくるまれた亡骸。
『砦までお連れする』
冗談で言った事とはいえ、これは俺の仕事だ。
最後まで送って、
天に還してあげなければならない。
暗い、冷たい死体袋の中に入れ、運ぶ事なんか出来ない。
俺がもっとしっかりしていれば
彼女が無事であれば、
見られたであろう雄大な風景の中、船は進む。
夜が忍び寄り、星が瞬き始め、
西の空、遠くに残っていた夕日の赤い残渣が消える頃
大地にのたうつ龍にも似た砦の影が見えてきた。
所々に赤や青の誘導灯や夜間照明が灯っていて
暖かさと人の気配を感じる。
「降下開始、係留準備」
の掛け声で砦の中腹に大きく出っ張った
照明で照らされ、ひときわ明るい、石づくりの広い発着場へ船は降下する。
ゆっくりと降り立ち、小さな振動と共に台車に固定されると、
そのまま、レールの上を砦の中へ引き込まれ停止する。
船の四隅をロープでボラードと呼ばれる鉄柱に固定し、係留は終了した。
船の前部左舷側にある貨物室のドアを開放する。
重量に制限はあるが、貨物室には小さな馬車や荷物を搭載することが出来る。
砦に残っていた警備兵が、
回収したイノシシの搬出作業を行なっているのが見える。
俺は隊長と一緒に医療区画に向かう。
この砦には、大きな病院並みの医療施設がある。
砦自体が
周辺部で魔獣暴走や戦乱、疫病など、有事が発生した際に、
街の人間を避難させる場所であり、医療設備はかなり整っている
戦乱の影の見えない平和な現在は
街で扱えない重い病気やけが人、
手術が必要な人の緊急の受け入れが主な業務になっており、
救急外来の様な扱いになっている。
今回、救出活動中に事故があり
遺体を搬入することは連絡済みで、死亡した女の子は
予備の手術室で検死を行う事になっている。
ちなみに、魔獣であるイノシシの検分は
頭だけで動いたため、万が一に備え、砦の地下
かなり頑丈に防御された部屋で行われる。
イノシシは小隊の皆に任せ
隊長と二人
重い足取りのまま
医務室へ向かった。
大変失礼しました。
よろしくお願いします。




