帰路1
書きあがりました。
今回は短めです。
魔獣のイノシシと遭遇し、
少女を守れず死なせてしまった我々は
少女の死体を収容し、
イノシシの胴体と頭を回収した後、
少女が暮らしていたと思われる川原周辺の搜索を行い
基地への帰路に着いた。
隊員達の空気は非常に重く暗い。
本来であれば隊長の私が何か声をかけるべきなのだが
言葉が見つからない。
搜索で判明したのは
死亡した少女は、驚くべき事に
一週間以上大きな楠木がある川原付近で
自力で生活していたこと。
魔獣のイノシシは、森に入ってしばらく群れで暮らしていたが、
魔石不足のため共食いをしたと思われること。
その後、さらなる魔石を求めて森をさ迷い、
女の子と遭遇したらしい事であった。
イノシシについては
十日程前に、驚異度DからEランクの群れ5頭が森に入り込んだのを確認されていた。
しかし、我々と遭遇したイノシシは
驚異度Cランクまで進化していた。
本来、魔獣は自然界に存在する魔力を吸収し、強くなっていくのだが、
我々の警備する森には、ほとんど魔力が無く、吸収し成長できる余裕がない。
魔獣が湧いても驚異度Fクラスのウサギ位である。
そういった環境では、魔力が濃いイノシシは、他から魔力を吸収しなければ
体内の魔石が減り最後には死んでしまう事すらある。
魔力の薄い土地で
驚異度が上がる要因としては、多くの魔獣を食べ、魔石を吸収するしかなく
今回も、魔力不足に陥ったイノシシ同士で共食いの果て、最後に残った1頭が
驚異度Cランクまで進化したものと推察された。
これはイノシシを解剖すれば後々解るはず。
切り落とされた頭だけで動いたということは
本来あるべき場所以外にも魔石が蓄積されている可能性がある。
今回の事故は
共食いの可能性を失念していた自分のミスだ。
魔獣は驚異度が上がれば自ずと対処が難しくなることは
理解していたはずなのに。
隊長としての自分の未熟さに腹が立つ。
一歩下がった場所にいる
ウラキの腕の中に抱かれた少女の亡骸を見やり
己の油断に歯噛みするも、失ったものは戻らない。
ウラキの顔に目をやると口から血が出ているのに気がつく
全く・・・・・・
彼の心も恐らく
荒れ狂う暴風と雷雨に翻弄される
小舟の様になっているのだろう。
よろしくお願いします。




