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謝罪

続きです

書きあがりました。

評価、ポイント

ありがとうございました。

顔に涙の雨が降り注いでいる。

金髪の男の人が僕を抱きしめて

泣いている。


ボタボタと

顔に落ちる涙の感触に

結構熱いものだなと思いながら

彼が無事であった事にホッとする。


「ぶじでよかった」


と言おうとするが

息ができず声にならない。


視界が急に狭くなり焦点が合わなくなる。

耳鳴りのようにぐわんぐわんと音が聞こえていたが

急に静かになり何も見えなくなった。


とても寒い。

もう体の痛みも感じない。


どこか暗い場所へ引き込まれて行く

深い沼へ沈み込むような感覚と共に

僕は意識を失った。




気がついた時には

白い霧の中を歩いていた。


どこだろう、ここは?


周囲には何も見えず

行き先もわからない。

現状把握をと思いながら

立ち止まり、座り込む。

地面の感触も曖昧だ。


静かな場所だな。


ああ、そういえば、また死んだんだ。


今回はイノシシに轢かれた

・・・・・・前回は列車だった。


『轢かれてばかりだなあ』

なんとなく、つぶやいていた。


自分の人生を思い返して見る。


前世は、まだ大分記憶に残っているけれど

物心ついた時から暮らしていた施設に

あまりいい思い出は無い。


望んでも満たされることは無く

ひとりぼっちで、

居ても、居なくてもいい存在

それが僕だった。


それが嫌で、誰かに必要とされたくて

施設で暮らす時間を出来るだけ短くしようと

アルバイトを沢山やった。


未成年だったから

出来ることは限られていて

キツイこともあったけど

いろいろな人と出逢え

必要とされていることを感じ

楽しい時間だった。


転生後は

生き残る事に精一杯で

そんな事を考える暇はなかった。


面倒だったけど精一杯生きていて

それはそれで楽しかったかもしれない。


僕、神さまが不死って言ってたよな。

・・・・・・本当に再生するのかな。


このまま生き返ったらどうなるんだろう。


また、傷を受けたり飢えたりするのだろうか。


いわれのない罪でかけられた

呪いのような

試練なんか受ける気は全くない。

痛いのも辛いのももう嫌だ。


と、考えたら

生きているのが面倒くさいと思えてきた。


このまま消えた方が楽かな。

考えを巡らせるけれど答えは出ない。


白い地面に

倒れ込んで丸くなり

目をつぶる。


どの位、時間が経ったのだろう

それは一分かもしれないし

何時間かもしれない。

時間すらも曖昧な中、

どこからともなく声が聞こえてきた。


『あー、あー、やっと繋がった。

聞こえるか?そこのモノよ

儂の話を聞いてはくれぬか』


ふわりと風を感じたので

上半身だけ起き上がり、周囲を見回すと

目の前に白い着物を着た、白い髪の幼女が立っていた。


「どなた?」

僕が問う。


幼女はいきなり目の前に正座すると

『名乗りが遅くなり申し訳ない、儂は幾万もいる神の中の一柱である。

我々の同族が貴殿に対し、大変な過ちを犯してしまった。

死亡時の判定、転生時の処理、試練の付与、全て我々の誤りであった。

此の度、貴殿に対する失態、心より謝罪申し上げる。』


と頭を下げて来た。


おおっ

これって土下座だよ

初めて見たよ。


「え・・・・・・っと」


神様ですか

そうですか。

状況について行けない。


「部下の不始末は上司の責任だ。どうか私に後始末をさせて欲しい」


「はあ、後始末?」


「そう、貴殿に課した試練は、この世界にとってもかなりの負担となるのだ」


「お話がよく見えませんが、貴方は裁定神と転生神の上司の方ですか?」


「そのとおり、役職的にはかなり上の管理職である」


「どうして裁定神と転生神は来ないのですか?」


「それは・・・・・・その、事情があって・・・・・・な」


「こういった場合、失敗した本人達が来るのが筋では?」


この件っでは少し腹が立っていたのでこう言ってやると

気まずそうな、複雑な表情を浮かべ、目を逸らした神は

言いにくそうに


「奴らは再研修と教育中でな、今は抜けられない

それより時間がない、話を聞いてくれまいか?」


「はあ」

間抜けな声が出る。

それを同意と取ったのか幼女神は早口で喋り出す。


人類の思念エネルギーシステムのこと、

僕はそのシステムから外れて生まれ、死んだこと。

そのせいで二つの世界がいずれは滅亡する可能性が高いこと。

それを回避するためには取り敢えず試練を全うしなければならないこと。


を早口で身振り手振りを交え説明し、

へたり込んで肩でハアハア息をしている。


動きがコミカルだ。

幼稚園児が一生懸命お遊戯で、踊っているみたいで

なんだか面白い。


幼女神が落ち着いたところで質問する。

「そもそも、どうして僕は殺されなきゃいけなかったのですか?」


幼女神はふうー、と息を吐き出したあと、

「お主にはショックな話かもしれないが・・・・・・」


と、前置きしてから語り出す。


「お主には双子の兄がおる。そ奴が悪逆非道の限りを尽くし、

多くの人間に恨みをもたれておったのだ。

そして、あの踏切で殺される運命であったのだが

なぜか兄は来ず、お主が来てしまいあのような結果に・・・・・・」


そこまで語った後、再び幼女神は土下座をした。


「誠勝手な事だとは重々承知しておる、しかし、世界を護るためには

早急にお主が試練を終わらせ、お主の協力の下、

地球に残ったエネルギー散らす事が必要なのじゃ」


要は、僕が甘んじて試練を受ければ事はすべて丸く収まると言うことか。


どうしていいのかわからなくなる。

僕が試練を受けなければ二つの世界は滅びる。

でも、自分が必要とされなかった世界になんの価値があるのだろう。

このまま生きていてもどうせ苦しみだけ

苦しいのや痛いのも嫌だ。面倒くさい。


であるならば答えは・・・・・・

と思ったところで

なぜか頭の中に

僕をイノシシから助けてくれ、

死にかけていたときに

顔をぐしゃぐしゃにして、

涙を流して

僕に何か叫んでいた金髪の人の顔が浮かんだ。


何故だろう。


なんで

あんなに泣いていたんだ。


なんで

あんなに悲しそうな顔をしたんだろう。


あの顔が、涙が心に残って離れない。


不意に視界がブレて、霧が濃くなって来たように感じる。


「ああ〜、まずい、時間切れじゃ、再生が始まる。

お主の答えは後回しじゃ。

取り敢えず淫魔の全能力の開放と、ワシの加護だけでも付与しておく、

試練の内容を、上手く改変できないか方法を探ってからまた来る。

決して自暴自棄になるんじゃないぞ。

自分を大切にするんじゃぞ」


最後の言葉にはエコーがかかっていて

現実味もなかったけれど

神様も自分のことを心配してくれているという事実と

金髪の人の涙が気になり、

もう少しだけ試練とやらに付き合ってみようか

と、思っている自分がいた。


ぼちぼち続きます。

やっと責任者出てきた。

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