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異世界FA

作者: 川里隼生

 ある日、男が郵便受けを見ると不思議な手紙が入っているのを発見した。

『世界間フリーエージェント権取得について』

 県からの通知だった。二週間後の日曜日に県庁で説明があるらしい。


 その日に男が県庁へ行くと、担当者が書類を持って部屋に通してくれた。

「住民課の菅野すがのです。先日、あなたは世界間フリーエージェント権を取得しました。ですので、ここではない別の世界へ移籍することができます。記憶や身体能力はそのままで、人間関係がリセットされるわけです。すぐに決断する必要はありませんし、権利を行使しないという選択肢もあります」


 担当者は五つのファイルを男に渡した。

「現在、これらの世界があなたの獲得調査を行なっています。世界の概要をまとめていますのでご確認ください。権利行使を宣言すれば、他の世界と本格的に移籍交渉が始まります。この世界は宣言残留を認めていないので、そこだけは注意してください」


 一連の説明を受け、男は県庁を辞した。その後、県庁の応接室に課長が入ってきた。

「お疲れさん」

「いえ、仕事ですから」

「しかし、これも大変な通知だよな。フリーエージェントって言ったら聞こえはいいけど、実際は自由契約みたいなものなんだから」


 男が権利を行使するか否か決める期限は半年後だ。もし権利を行使しなかった場合、男はそのまま生活できる。しかし、権利行使を宣言した場合はウェイバー公示にかけられ、下位の世界から優先的に契約交渉を行うことになる。上位の世界に移籍することはほとんどなく、現に獲得調査を表明した五世界もこの世界より文明レベルがいくつか低いところばかりだ。だが、それを知らない男は夢中になってファイルのページをめくっていた。

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