役割
主な登場人物
・反町友香(ソリマチ ユウカ
中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。
ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。
茉莉花茶が好き。
・青山清花(アオヤマ サヤカ
神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。
英国人と日本人のハーフ。
灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。
愛車はナナマル(JZA-70)。
4
その頃、清花は捜査会議に参加するため、中華加賀町署へと戻っていた。
捜査員が、続々と会議室に入ってくる。
「えー、被害者の名前は周博然、37歳。中華街でペットクリニックを営む日系中国人です。被害者は、後頭部を鈍器のような物で殴られ、意識不明の重体。第一発見者の話によるとーー」
会議が始まった。
一人の捜査員が立ち上がり、事件の概要を述べる。その話に険しい顔をして、捜査一係長をはじめ代表の面々が耳を傾けていた。
「ーー以上です」
話し終えた捜査員が着席する。
「他、何か分かったことはあるか?」
何故ここにいるのかわからないが、物部署長が問いかけた。
彼がいるせいで、緊張して萎縮している捜査員もいる。正直、退席願いたい。
誰もが、お互いにチラチラと様子を伺うだけで発言しようとしなかった。その空気の中、清花が手を挙げ、立ち上がった。
「はい。周辺への聞き込み調査の結果、被害者は金銭トラブルを抱えていたようです。返金を迫られていたようで、貸していたと思われる男と、激しく口論しているところを付近の住民が目撃しています」
店を出た後、周囲への聞き込みで、清花たちは貴重な目撃情報を手に入れていた。
事件解決への足がかりとなることに、大きな期待ができる。
彼女が着席すると、係長が口を開いた。
「わかりました。では、その男の身元が判明次第、任意同行をお願いします。それからーー」
彼女が捜査員に指示を飛ばす。
自分の役割を心得た捜査員が、次々と会議室を飛び出して行く。
「よし、俺たちも行くか」
「はい」
清花たちも自分の役割を全うするため、男の身柄確保へと向かった。