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華ノ探偵少女・反町友香  作者: 空波宥氷
18/27

イレギュラー

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車はナナマル(JZA-70)。



・足利孝之(アシカガ タカユキ

ベテラン刑事。清花の教育係。

中年太りの男性警部。

高校生の娘がいる。

18


 一方その頃、清花は仕事場である中華加賀町署へ出勤していた。


 署内にある駐車場に車を止め、建物内へ入ろうとしたとき首輪が着信を伝えた。画面が照射され、『足利孝之あしかが たかゆき警部』の文字が躍る。

 通信をオンにして回線を繋ぐ。



「はい、青山です」

『青山、俺だ』



 努めて平静を装っているようだったが、清花には、彼の声が少し焦っているように感じられた。



「おはようございます、足利警部。どうされました?」



 その異変を感じ取った彼女が、彼に問いかける。



『ああ、実は娘が熱を出してしまってな。すまないが、今日は俺以外の誰かと組んでくれ』

「それは大変ですね……娘さんは大丈夫なんですか?」

『ああ……本人は、1日寝てれば治るとは言ってはいるんだが心配でな……これから病院なんだ』



 彼の声の背景に、呼び出しのアナウンスが聞こえた。

 おそらく待合所に入ったのだろう。



「そうですか……お大事になさってください」

『ありがとよ。このことは係長には伝えてあるから、上に指示を仰いでくれ。頼んだ』

「はい、失礼します」



 通信を切り、署内へ向かおうとしたときだった。



「青山君」



 背後から、清花を呼ぶ声が聞こえた。

 振り返ると、そこには中華加賀町署署長、物部もののべ警視正の姿があった。



「も、物部署長……おはようございます」



 意外な人物に出くわし、彼女は少し驚いていた。

 そんな彼女とは反対に、自然にフランクに話しかける物部。



「ああ、おはよう。今日は足利は休みだそうだな」

「あ、はい。その件なのですが……」

「刑事係長から聞いた。相方を探しているんだろう?」

「ええ」



 世間話をするのも悪くはないが、早く捜査に向かいたい。

 清花は、話を切り上げ、指示を仰ぎに向かおうとしたのであるが、



「そのことなら安心しろ。今日は私と組んでもらう」

「は?」



 あまりに想定外な発言に、清花は素っ頓狂な声を上げた。



「さぁ、仕事だ。車を出してくれ」



 ポカンとする彼女にお構い無しに、車に歩み寄る物部。

 ハッとして、慌てて追いかける清花。



「い、いえ、署長……お仕事は……?」

「心配するな。今はこの仕事がなによりも大事なことなんだ」

「は、はぁ……」



 彼は、表情ひとつ変えず言ってのけた。

 仮にも一警察署のトップである。自由が過ぎると思いつつも、上司であるため清花は何も言えなかった。

 しかし、まぁ、わざわざ指示を仰ぐ必要も無くなったため、楽といえば楽なのだが。



「一度、君のスープラに乗ってみたかったんだ。よろしく頼む」

「え、えぇ……わかりました」



 清花が困惑気味に了承し、車のキーロックを解除する。



「君たちがどんな捜査をしているのかは、首輪からの情報でおおよその検討はついている。今日はどうするんだ?青山君」



 助手席に乗り込み、シートベルトを締めながら物部が問いかけた。

 清花が、車のエンジンをかけながら返答する。



「被害者と直近で交流のあった3人を当たります。まずは、街外に住むルイス・ローランから行くつもりです」

「異論はない。了解した」



 清花は、前を向いたまま頷いた。



「ありがとうございます。では、今日一日、ご指導のほどよろしくお願いいたします」



 そう言って彼女は、ナナマルのサイドブレーキレバーをゆっくりと下ろした。


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