にじファンが閉鎖してから早6年。そろそろあの頃の思い出を語りたい。
このエッセイには過去にあったにじファン内での作品を紹介していますが、タイトルは敢えてぼかしています。そのためタイトル名を訊ねられてもお答えしかねますので、あらかじめご了承ください(作者が単にタイトル名をど忘れしたせいもある)。
また、各作品がその後どうなったかは一切存じ上げませんので、それもあらかじめご了承ください。
さらに加えて、このエッセイには一部過激な表現が使用されています。そういったものが苦手な方は読む前にご注意ください。
以上を踏まえた上で、どうぞお楽しみくださいませ。
にじファンが開設したのが2010年8月。そして閉鎖したのが2012年7月。あれからもう早六年が過ぎた事になりますが、「小説家になろう」もすっかり様変わりしました。
にじファン時代には自由に好きな原作で二次創作できていたのが、今や権利者の了解無しでは使用できなくなり、またランキングにすら表示される事もなくなり、すっかりにじファン時代と比べて寂しいものとなってしまいました。しかしこれもまた、時代の流れというものなのでしょう。
そして「なろう」だけでなくこの世の中も、いよいよあと半年ほどで平成が終わろうとしています。
そこで今回は、平成もそろそろ終わりと迎えるという事で、にじファンでの思い出を酒を飲み交わすような軽いノリで語りたいと思います(自分、思いっきり下戸ですが)。
さて、そんなにじファン。
期間にして約二年ほどしかありませんでしたが、それでも開設したばかりの頃は色々な作品で溢れていました。
かく言う自分も元はにじファンで初めて作品を投稿した口で、当時はバカとテストと召喚獣の二次(葉月ちゃんが別の世界線で明久達と同じ高校に通う話)やけいおん!の二次(女装した男の娘が唯達と同じ学年で破茶滅茶する話)などを書いておりました。大した人気はありませんでしたけどね。
特に総合ランキング上位なんて雲の上のその先のような存在で、同一作品の上位に入る事すらままなりませんでした。まあ、にじファンが出来る前から競争率なんて元から高かったんですけれど。
しかも棲み分けされてランキングなどの表示も種類が増えた事により、以前と比べて二次創作物が賑わっていたように思います。おまけに好きなジャンルの作品を探しやすくなった事により、棲み分け前よりも読み専の方も多くなった印象があります。
そんな中、特に盛り上がっていたのが、
・Fateシリーズ
・魔法少女リリカルなのは
・魔法先生ネギま
・ゼロの使い魔
の四作品ではないかなあと個人的に思っています。
いや、恋姫無双(エロゲー原作)や東方プロジェクト(同人ゲーム原作)も非常に人気はあったし、ランキング上位にも何作か載ってはいたのですが、上記四作品に比べたらそうでもないような……? という気がしたので、あえて除外させていただきました(単純に原作もアニメも知らないだけという事情もありますが)。
さて、話は戻りまして。
ここからは上記の四作品の思い出を一つ一つ語っていきたいと思います。
それでは、まず最初はFateから。
元はエロゲーが原作で、今やマンガ、アニメ、スマホゲームと様々なメディア展開を広げるほどの大人気作品となっておりますが、にじファン内でも数多くのFate二次で溢れておりました。
特に当時一番人気だったのは、某黒い螺旋のアレ(ぼかしているようであんまりぼかされていないタイトル)ではないでしょうか。
総合ランキングで常にベスト3内に必ず入っていたので、にじファン好きなら知らない人も少なくないでしょう。
ただねえ。この作品、自分も読んだ事があるんですけれど、当時セイバールート(なんのこっちゃかわからない人に噛み砕いて説明すると、まあギャルゲーみたいな各ヒロインルートがあると思ってくだされ)のアニメ版しか知らずに読んだもので、プロローグを読んだ時点で「英霊エミヤってなんぞ???」という状態になってしまったんですよ。
あとでUBW──俗にいう凛ルートで出てくる単語というのが判明したのですが、先述の通り自分はセイバールートしか知らなかったため、それ以上読み進める事ができなかったんですよ。なんせ状況も何もわからなかったので。
まあその後に劇場版アニメの凛ルートを観たには観たんですけど、それでもやはり内容を完全には理解できず、
「ああ、これはいつかUBWを完全に描写したアニメが放映されるのを待つか、もしくはHF(桜ルート)をアニメ制作されるまで待つしかないな」
と思い、その時まで楽しみにしていたんですけれど、にじファンがUBWやHFを公開する前に閉鎖してしまい、結局この作品に関しては最後まで読めずじまいになってしまいました。
今なら読んでみたかもしれないのになあ。まさかたったの二年くらいで閉鎖するとは思わなかったしなあ。いやほんと残念至極。
あ、そういえば上記で一番人気とは書きましたが、最後までトップを走っていたかと言われるとそうでもなく。
実は後期の方で同じFate作品ながらもその前日譚(諸説ありますが)にあたり、元はあのまどマギで知られる虚淵先生が小説として発表したzeroルートの二次創作が、にじファンが閉鎖されるまで独走していました。
その内容が、バーサーカーに憑依してしまったオリジナル主人公、通称オリ主が原作で不遇な目に遭う雁夜おじさん(まあ自業自得とも言えなくもありませんが)を救うというものなんですけれど、まあこれが非常にコミカルで面白くてねぇ。若干キャラ崩壊も起こしているんですけれど、出てくるキャラがみんな愛嬌があって、特に憑依バーサーカーがお茶目やら愛らしいやらで良い味出してたんですよねえ。
しかも原作だと憎らしかったり腹黒だったりするキャラをその憑依バーサーカーが次々に救っちゃうものだから、
「やだ素敵! 抱いて!」
と胸をトゥンクと高鳴らせながら当時読んでいました。
いや正直な話、タイトルやあらすじを読んだ時点で特に読もうとは思わなかったんですよ。それに感想欄を覗いてみると顔文字を多用されているようだったので、最初少し敬遠していたくらいなんです。
でもある時ちょっと暇な時間が出ふふふ来てしまいまして、ランキングトップにいるくらいだし、物は試しに読んでみるかと軽い気持ちで読んでみましたならば、まんまとハマってしまいまして。顔文字もいつしか普通に受け入れるようになっていました。顔文字も書き方と作品の雰囲気次第という事なんでしょうね。大変勉強になりました。
と、話は少しだけ変わりまして。
原作が人気だと、クロスオーバーと言われる別の原作同士を掛け合わせた作品も流行ったりするわけで、当然の事ながらFateにも色んなクロスオーバー作品がありました。
中でも個人的に好きだったのがドラえもんとのクロスオーバーで、のび太達がFateの世界に迷い込み、Fateキャラの士郎らと一緒に聖杯戦争に挑むというお話でした。
こちらは総合ランキングの上位に入るほどポイントが高かったわけではないんですが、それでも人気そのものは結構あって、感想欄もよく賑わっていました。
特に印象的だったのが、アーチャーにタケコプターを装着させる場面で、感想欄のあちこちで「アチャコプター」と連呼されていました(笑)。
各キャラクターも比較的原作通りで、なんだかドラえもんの劇場版を観ているかのようで、いつも最新話を心待ちにしていました。
と、まあ、ここまで三つくらい作品を上げましたが、実はFate作品で一番好きだったのは別にありまして。
それがセイバールートで、ヒロインでもあるセイバーがもう一度同じ世界をループするというものでして。
もちろん単にループするだけでなく、前の世界とは別の出来事が起きたり、原作Fateにはいなかった英霊が出てきたりと色々アレンジが加わっていて、しかも洗練された文章と緻密な構成で、すぐに物語の中に引き込まれてしまったのを今でもよく覚えています。
特に素晴らしかったのは何と言っても原作に対するリスペクト! それに文章の節々から感じられる原作キャラへの深い愛情ですね!
いや、原作を知らない身分なので、原作愛とか自分が語ったところで本物の原作ファンからしたら失笑ものなんでしょうけど、でもそう感想を口にしたいほど非常にクオリティの高い作品でした。ぶっちゃけ、にじファンの中では個人的に1、2位を争うほど好きな作品だったと言ってもいいくらいです。
ただもうにじファン閉鎖と同時に作者さん共々行方知れずになってしまったので、それ以降どうなったかは何もわからないんですよねえ。個人サイトでもいいから、また一度読んでみたいものです。
はてさて、お次は魔法少女リリカルなのは。
元はとらいあんぐるハートというゲームのファンディスクから派生したアニメで、アニメは四期とそのスピンオフ、それからアニメ一期と二期をそれぞれリメイクした劇場版と、最近では劇場版最新作の後編が上映されたりと、アニメ放送から十四年経った今でも根強い人気のある作品となっております。
ちなみにこの作品、実はにじファンが開設されるまでタイトルすら知らなくて、ちょうどにじファンが開設された頃にテレビで再放送されまして、その時初めてリリカルなのはにハマった口だったりします。原作というか、元になったゲームまではプレイしておりませんが(やってみたいんですけどね。「リリカルおもちゃ箱」だけでも)。
で、このリリカルなのは。
にじファンでもかなり人気があって、作品数だけなら一番とまでは言わずともその次くらいには多かったんじゃないかというくらいに数多くの作者さんが二次の題材に扱っておりました。
もっとも自分はもっぱら読む方で、リリカルなのは関連は一度も執筆した事はないのですが、実は一時期読むのも嫌になるくらいの悪印象を植え付けられた事がありまして。
その発端にもなったのが、
『クロノ君KY(空気読めないの略)扱いされ過ぎ問題』
で、ございます。
さて、ここでリリカルなのはに詳しくない方にざっくり説明しますと。
まず原作キャラになのはという主人公の少女、主人公であるなのはと対立する事になるフェイトという少女、そしてクロノという時空管理局(一種の警察みたいなものとでも思ってください)に所属する少年、その他諸々のキャラがとあるアニメの回にて一堂に会するシーンがありまして。
で、主人公のなのははジュエルシードという危険物(かなりの魔力を秘めた石で、周囲にいる生物の願望を勝手かつ暴走状態で叶えてしまう上に、下手に衝撃を与えるととんでもないエネルギーを放つヤバい代物)をユーノという異次元から来た少年と一緒に、周囲に被害が出ないよう収集しているのですが、一方のフェイトはかなり危険な真似をしようとしている母親の命令でジュエルシードを集めており、とある日に二人がジュエルシードを巡って衝突寸前の雰囲気になってしまいます。
しかもどうにか封印までは成功したものの、まだジュエルシードがそばにある状態なのにも関わらず。
で、そんな時に別次元でジュエルシードの行方を捜していた時空管理局が、なのはとフェイトの騒ぎに気付いてクロノ君を急遽向かわせて、ジュエルシードの回収と詳しい事情を聞くべく、間一髪のところで二人の衝突を止めるわけなんです。
さて。
実際にアニメを見たらまた違うかもしれませんが、ここまで読んでもらったところで、おそらく大半の人がクロノ君の行動に何ら疑問を抱いていない事と思いますけれど(というか、そう信じたい)、これがまあ、当時にじファンがあった頃は「クロノはKYだ!」だと散々二次創作の中で罵られたわけなんですわ。
しかもその理由が「二人の神聖な戦いに第三者が割って入るなんて無粋だ!」だの「ここで二人が戦えば絆を深められるチャンスだったのに!」だの、もはや呆れを通り越して正気を疑うレベルでした。
例えるなら、超強力な爆弾の近くで今にも互いの拳銃で発砲しかねないくらい剣呑な雰囲気の二人を警察官が止めに入ったようなものなのに、人によってはそれがKY行為に見えたようで、大抵の作品でクロノ君のこの行為を批判しておりました。
で!
批判するだけならまだしも、一時期転生オリ主がクロノ君を登場したと同時に即ぶっ飛ばす作風が様式美のように流行りまして。
しかもぶっ飛ばしたまま一切クロノ君から話も聞かずに放置し、その後なのはとフェイトの戦いを見て、
「これで二人の絆が深まる」
「この戦いで二人の物語がようやく始まる」
とか、したり顏でほざくんですわ。
一応、大体の作品でジュエルシードを回収した上で安全な場所まで移動してはいるんですけれど、でもそれ自体は結局クロノ君がやろうとしていた事で、ろくに話もせずにぶっ飛ばす必要がどこにあったのかと疑問でなりませんでした。
まあ彼ら転生オリ主にしてみたら、クロノ君が介入するとなのはとフェイトの仲が深まらないと考えての行動だったんでしょうけど、フェイトが危険な行為に加担していたのは紛れもない事実で、それで二人の戦いを止めて詳しい事情を聞こうとしたクロノ君に何も落ち度は無かったと思うんですけどねぇ。
しかしながら、そんなクロノ君が許せなくて仕方がなかった人がいたようで、たまたま見つけた作品だったのですが、クロノ君をただひたすらボコボコにするだけという、思わず顏を顰めたくなるような二次創作があったんですよ(実際に読んだ事はありませんが)。
しかも怖いもの見たさで感想欄を覗いてみたら、誰もが絶賛するばかりで、あれを見た時は思わず寒気がしましたがね! そんじょそこらのオカルト番組よりよっぽどホラーでしたわ!
ただ、やはりこういったクロノ君の不条理な扱いに疑問視する人もちゃんといたようで、後に出たクロノ君擁護派小説──クロノ君が双子の姉弟になったという設定で、独りよがりの転生オリ主を論破する話──が出てきてくれたおかげで、やたらクロノ君を敵視する作品もずいぶんと少なくなってくれたんですが、この時にはすっかり転生オリ主物が嫌いになり、よほど内容に惹かれない限りは一切転生物は読まなくなりました。
まあ、転生オリ主が嫌いになった理由はこれだけじゃなくて、他にも「闇の書問題」とか「少し頭を冷やそうか問題」とかもあるんですけれど、この二つまで説明するとさすがに長くなるので、今回は割愛します(何かしら機会があれば、別のところで書くかも?)。
つーか。
ほとんどの転生オリ主作品に共通して言えるんですけど、好きなアニメ作品を選べて、好きな時代設定も選べて、好きな容姿や色んな能力を神様に授けてもらえるという時点で事前にいくらでも対策なんて取れたはずだろうに、結局さんざん好き勝手暴れたあげく、上から目線で原作キャラに「覚悟」だの「責任」だの説いたところで説得力もクソもないっちゅーねん! それ以前に、本当に原作での問題を解決したいと思ってるのなら、そもそも問題が発生する前になんとかせんかい!
あ、でも一つだけありましたわ。転生オリ主ではあるんですけど、そのへんのろくでもない有象無象と違ってちゃんと天寿を全うしたおばあちゃんが、「リリカルなのは」の世界でしか転生できない話を神様にされて、おばあちゃんなので「リリカルなのは」がどういった物語なのかを聞いた上で、時代設定を原作での各問題が起きる前より早く転生できるよう頼んで、その後特殊な能力を使うわけでもなく自分の力だけで「リリカルなのは」シリーズでの問題をすべて事前に解決して、再び穏やかに天寿を全うしたスーパー有能なおばあちゃんが。
ここまでやってくれたら本当に清々しくていいんですけれどね。自分が読んできた中でここまで徹底してトラブルを未然に防いだ二次創作なんて、このスーパーおばあちゃんくらいしかいなかったなあ。
と。
ここまで読んでもらって、「そんなにリリなの二次が嫌いやったん?」と思っている読書様もいるかもしれませんが、決してそんな事はなく。
むしろブックマーク(昔風に言うところのお気に入りリストです)に入れた数なら一番リリカルなのはが多かったんじゃないかなあというぐらい好きでした。あくまでも凡百なイキリ転生オリ主作品以外ですけどね。
その中でもかなり好き(にじファンを読んできた中でも1、2位を争うくらいの)だったのが、存在感が薄くてコンビニの自動ドアにですら認識されないくらいの地味めオリジナル主人公の話でした。
ただ地味とは言ってもあくまでもそれは主人公の主観と関係性の薄い第三者が口にしているだけで、主人公本人はとても魅力的なんですよ。
生い立ちのせいもあって少し自虐的ではあるんですが、内面はとても温かくて、自分のためだけの理由では積極的にはなれなくても、他の誰かのためなら、たとえ非力でも必死になれるところが本当に素敵で、こんなにも報われてほしいとか心の底から応援したいと思えたのは後にも先にも二次創作の中ではこのオリジナル主人公だけでした。
しかもシリアスとコメディーとの調和が非常に良く、また文章も上手いため、テンポ良く読めました。感想欄でのやり取りも面白くて、本当に好きだったなあ。
そしてこの作品以外で同じオリジナル主人公だと、語り口調が関西弁で、基本的に傍観者の立場で物語を面白おかしく俯瞰する話とか好きでしたねー。いやほんと、重要なシーンに立ち会う事なく、あくまでもなのは達の友人という立ち位置を崩さないまま日々の何気ないシーンを語っているだけなんですけれど、この主人公の語り口調が本当にすっとぼけていて、これがまあ面白い面白い。しかもしれっと三期のラスボスと知り合っていたり、本当に内容も含めて愉快なキャラクターでした。
あとは、転生オリ主ではあるんですけれど、少し変わり種で、最初こそよくある転生物みたく中二病全開の容姿と性格で、しかも「おっぱいチート」というかなり痛い能力まで持っているんですけれど、そのせいでなのは達に思いっきりドン引きされて、それから慎ましく地味に生きるようになるという話なんですが、主人公が内面的に成長していく描写が良くてねぇ。すっかり対人恐怖症になってしまった主人公がビクつきながらも原作キャラと徐々に親交を深めていく描写もなんだか微笑ましくて、見守りたいと言うか、親にでもなったような気分で読んでいました。
まあなんだかんだ言って、吐き気を催すような作品も多々あれど、良作もそれなりにあったなあと印象でしたね。今にしてリリなの二次を振り返ってみると。
さて、続いては魔法先生ネギま。
原作は既に完結した漫画で、某超有名少年誌で九年間連載されていた作品。過去にアニメ化もされており、にじファンでも相当な数の二次作品で賑わっていた。
ただ、非常に申し上げにくい事に、実は一度も原作もアニメも見た事がなかったため、ネギまの二次創作も一度も読んだ事がないんですよ、これが。
一応ネギまの続編に当たる「ユーキューホルダー」ならアニメで見た事があるんですけれど、まだ去年に放映されたアニメだったので、当然ながらにじファンには「ユーキューホルダー」関連の作品はなかったんですよねえ。なんとなく大まかなあらすじは把握できたので、もしもまだにじファンがあったら読んでいたかもしれませんね。
え? 実写ドラマはどうしたって? そんなものは微塵も知らないなあ(すっとぼけ)。
閑話休題。
そんなわけなので、ネギまの思い出はほとんど無いのですが、ただ気まぐれに感想欄を読んでいた時に、原作主人公であるネギ君──それも少年時代に対するアンチが何気に多かったような……? 確かそのせいで「精通もしていないネギ君に女子と偶然風呂に入ったくらいで辛く当たるなんておかしい」なんていう批判もよく見受けられたような気がします。
なにぶん原作も件の二次創作も読んでいないので深くは突っ込みませんけれど、どれも転生オリ主の言動が端を発しているので、まあ、うん。つまりはそういう事なのでしょう。敢えて何も言うまい……。
さて、ラストはゼロの使い魔。
原作はライトノベルで、残念ながら連載中に原作者さんがお亡くなりになってしまったんですが、近年とある作家さんが原作者さんが遺したプロットを頼りに代筆してくれた事により、無事完結した大人気小説であります。
で、このゼロ魔。
過去に何度かアニメ化されたほどの人気作品(ちなみに自分はアニメしか知らないです)で、にじファンでも数多くのゼロ魔二次作品が連載されておりました。
で、自分もよくゼロ魔の二次創作を読んでいたんですけれど、多分にじファン内でもゼロ魔だけだったんじゃないかなあ。こんなにも個性が強く出ていた二次作品は。
中でも個人的に一番好きだったのが、ゼロ魔と封神演義とのクロスオーバー作品。
封神演義と言っても古典の方ではなく某大手出版社で連載されていた漫画で、最近リメイク版のアニメ化も放映された大人気作品なのですが、件のクロスオーバー作品では、漫画版の方の封神演義で主人公として登場する太公望がゼロ魔のヒロインであるルイズではなくサブヒロインのタバサに召喚されるという内容の二次創作でした。
これがまた、すごい作品でしてねぇ。文章も構成力も各キャラの心理描写も「ひょっとしてプロの方が書いてる?」と思ってしまうほど洗練されていて、最初に読んだ時はただただ圧倒されるばかりでした。
中でも感心したのが、太公望とタバサ達とのやり取りで、まさに理想的な師弟関係と言った感じなんですよ。太公望の説得力がすごいと言うか、単に上から物を言うだけじゃなくて、ちゃんと理論立ててタバサ達にわかりやすく教えを説くので、めちゃくちゃカッコいいんですよこれが!
それにタバサ達もアニメで見る通りのキャラで、無条件に太公望を心酔するわけではなく、あくまでも有能な戦略家として信頼関係を築いていて、まるで嫌味も違和感もないんですよ。本当に読んでいてワクワクする作品でした。
他にはSF色の強いもので、現在よりもっと文明の進んだ地球から宇宙船に乗って才人(原作主人公)がルイズ達のいるハルケギニアに不時着(もしくは宇宙船ごと召喚されたんだっけかな? どっちか忘れてしまいましたが)するという話なんですが、才人がすでに成人して科学者の卵になっているという設定で、またアプローチがまたSFチックで面白いんですよ。
もう記憶がかなりおぼろげではあるんですけれど、確かこの作品では原作通り最初にルイズと関わるようになるんですけれど、なぜルイズの魔法がいつも爆発してしまうのかを科学的に解明しようとしたりして、なんだか小学校の実験を思い出すようでなかなか探究心をくすぐる良作でしたねー。
あとは自分は読んだ事はありませんが(何せ最初に見つけた時の話数がハンパなくて、読む前に気が引けてしもうたんです……)、確かパンティーはあるのにブラという概念がないハルケギニアで、転生オリ主がブラを作って流行らそうとする一風変わった小説もありましたねー。
ちなみにこの作品、にじファンがあった時代はすでに完結しており、人気も相当なものでした。多分ここまで読んで、
「あー! あれかー! 読んだ事あるわー!」
と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とまあ、ここまで紹介すれば、いかににじファン内でのゼロ魔がバラエティに富んでいたかというのは十分にわかってもらえたのではないでしょうか。
自分もまだまだ読んでみたいゼロ魔二次があったんだけどなあ。こんな事ならたとえ話数が長くても試しに読んでみるべきだったと後悔するばかりです。残念無念。
と。
ここまでにじファン内でかなり盛り上がっていた原作とその二次創作物を紹介しましたが、個人的に好きだった作品もいくつかありまして。
その一つがとある科学の超電磁砲の二次創作物で、レベル0(無能力者)ではあるけども、幼少の頃から身に付けていた武術で能力者に対抗するという、オリ主(転生ではない)作品でした。
この主人公がまた武術バカというか、とてもひたむきな少年でして。そうなったのは色々理由があるんですが、レベル5相手にもボロボロになりながら真っ向に挑む姿がカッコ良くて、いつも楽しみにしていました。特に敵の魔術で洗脳状態に陥ったオリ主と、それを止めようとする上条さんとのバトルは本当に熱くて燃えました。
あとは同じとある科学が元の二次で、上条さんとあの美琴お姉様絶対至上主義である黒子が恋人関係になるお話ですかね。
一見はなかなか想像しづらい関係性ですが、そこは完全とは言わなくともそこそこ納得のいく展開で黒子が上条さんに惚れるので、「なるほどー」と感心させられたものです。あと、その初々しさとラブラブっぷりに「お前ら、早く結婚しちまえよ〜」とニマニマしまくったのは今でも良い思い出です(笑)。
それと個人的には、化物語の二次作品を推したいですね。
原作を書いてらっしゃるのが私的にも尊敬している西尾維新先生というのもあって、その独特な世界観と文章に気が引けたのか、オリ主を放り込むという真似をする方は一切見られませんでしたが、その代わりオリジナルの怪異で阿良々木君に絡ませるという二次は多かったですね〜。
その中で特に好きだったのが、亀の怪異が出てくるお話。
この二次作品の何がすごいかって、完璧とまでは言わなくともほぼほぼ西尾維新先生をトレースしたような書き方(ちょっと言い回しが独特だったり、雑談が絶妙だったり)や亀に関する雑学や考察などが本当に目を瞠るものがあって、まるで化物語のちょっとした番外編を読んでいるような、そんな気分を味わせてくれる作品でした。
同じく化物語の二次で馬の怪異を扱った作品もあったんですが、こちらはもう記憶が薄らぼんやりとしていて、あまり内容が思い出せないという……。でも面白かったのは確か! それとラストシーンも最高だった!(やや強引)
それと同じ西尾維新先生繋がりで、刀語の二次創作で、四巻で端折られた七花と錆白兵との一騎打ちを描かれた作品がありまして、評価もそこそこ良かったんですよ。
それで自分もお気に入り登録だけしておいて、あとでじっくり読もうと思ってそのままにしていたら、うっかりにじファンが閉鎖する時まで読むのを忘れてしまうという……。なんで読まんかったや! なんで読まんかったや!(地面に拳を打ち付けながら)
他だとけっこうマイナーな作品になりますが、CLANNADアフターストーリーのその後を描いた二次ですかね。
アフターストーリーのその後……主に中学生くらいまで成長した汐を語り手とした作品という事もあって、終始一貫してほのぼのとした話が展開されていくんですが、これがまたどれも良い話でねぇ。原作で辛い思いをした各キャラが幸せそうに日々を暮らしているのが本当に微笑ましくて、いつも癒されていました。
それと、こちらもかなりマイナーな作品になってしまいますが、ドラゴンボールのフリーザさまが名探偵コナンの世界に行ってしまう話も好きでしたねー。しかも哀ちゃんの家(というより博士の家?)に居候するという、設定からしてとんでもないお話でして(笑)。
設定が設定だけ内容がギャグ一辺倒になっているのですが、アニメやマンガといったサブカルチャーに染まっていくフリーザさまが面白くて面白くて。それを冷めた目でツッコミを入れる哀ちゃんもなんだか可笑しくて、いつも笑いながら読んでいました。特に服部が登場した回は、中の人がベジータと同じ人という事もあって、フリーザさまにベジータが変装した姿に違いないと疑われた時の話は最高でした(笑)。
まだまだ上記で紹介した作品以外にもまだまだ語りたい二次作品があるんですが、さすがにこれ以上は長くなりそうなので(というか、ここまででも十分長いという事実)、そろそろ締めに入ろうかと(苦笑)。
と、まあ、ここまで色んな作品を紹介して語りましたが、ひとまず言えるのは、にじファンがあった時代はめちゃくちゃ面白かったんやで! という事です。
今でこそ自分もこうして「なろう」の本家で活動していますが、にじファンがあった時代は全然本家には興味ありませんでした。お気に入りリストもすべて二次作品で埋まっていたくらいに(笑)。
本音を言えば、また昔みたいに色んな二次創作物を「なろう」で読んでみたいんですけどね。なんだかんだ言っても他のサイトより「なろう」の方が読みやすいし。
だからというか何というか、これまで紹介した作品も探せばどこかのサイトに掲載されているのかもしれませんが、めちゃくちゃ好きだった作品以外は、わざわざ探そうという気にはならないんですよねー。「なろう」にまだあったら読んでいたのかもしれませんが。
これはあれですね。一度裕福な生活をエンジョイすると元の平均的な生活にはなかなか戻れないっていうやつなのかもしれませんね。「なろう」様の恩恵を受けてブクブクと肥え太った卑しい豚にございます。
贅沢を言えば、またにじファンみたいなものが出来てほしいんですけど、過去色々あって閉鎖状態になってしまったわけだし、もう無理なんだろうなあ。昔と違って今は原作サイドの許可を貰えないと「なろう」本家では掲載できない縛りになっていますし(逆に言えば突然削除されるリスクも減るわけですが)。
でも、総合ランキングはさすがに無理だとしても、せめて別ジャンルランキングで二次創作の枠ぐらいはあってええと思うんや……。というかそれ以前に、二次創作関連を探すのが以外と手間なんですよねー。検索するにもジャンル別にも検索ワードにも載っていないから、わざわざ好きな原作だったり直接二次創作と文字を打たなきゃいけないくらいですしおすし。
まあ、本格的に二次が読みたきゃ他のサイトに行けって事なんでしょうけど、にじファンを利用していた者としては、一抹の寂しさを覚えたり。冒頭でも述べましたがこれも時代の流れってやつでしょうし、紆余曲折あって今の仕様になったわけですから、仕方のない事なんでしょうけど。
しかしながら、もしもまだにじファンが存在していたら一体どんな作品が流行っていたのでしょうね。個人的には当時まだアニメが放映されていなかった進撃の巨人や、Fate関連だったらグランドオーダー、今期アニメだったらゴブリンスレイヤーなんかがきっと賑わっていたのだろなあと想像してみたり。そして自分自身も、飽きもせず二次創作を読みまくって書きまくっている事でしょう。
さて、それではそろそろ締めの言葉を。
にじファンを利用していたそこの貴方。貴方にも未だに忘れられない二次作品はありますか?
にじファンを利用した事がないそこの貴方。もしもにじファンがあったらどんな二次作品を読んでみたいですか?
もしも何かしらの奇跡が起きて、にじファンが復活したとしたら。
その時はぜひ、にじファン内で熱く語り合いましょう!