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5話 小さな幸せ

『ただいま戻りました。』

職場に戻ると、しばしの休憩タイムからお仕事モードへと切り替えスイッチが入った様子だった。


『編集長、買ってきましたよ!』

『ありがとう。』

『いいえ。』

編集長に焼きドーナツを渡し、自分のデスクに戻る。


書類を整理していると、隣のデスクに座る先輩の梅本さゆりさんが休憩から帰ってきた。


『おかえりなさい。今日は、何ランチしてきたんですか?』


梅本先輩は、食べ歩きが趣味というくらいのグルメなのだ。

友人との食事で何処に行くか迷った時は、頼れるアドバイザーなのだ。


『今日は新しくできたお店のインドカレーを食べてきたわよ。なかなか美味しかったわよ。

今度一緒に行きましょう!』

『ぜひ!』

『円香ちゃんは今日は何ランチしたの?』

『編集長にフクロウ屋に用事頼まれたので、今日はフクロウ屋ランチしました。』

『あー、先生との打ち合わせがあるからね。さて、お仕事頑張りましょう!』

『はい。』


仕事が終わり、自宅へと帰宅する。

途中夕飯の食材の買い出しをスーパーでして。

今日のメニューはカレーだ。

梅本先輩のインドカレーの話を聞いたら、カレーが食べたくなったのだ。

さすがに本格的なインドカレーというのは、自分の力では厳しいから庶民派カレーになってしまうけど。


『いただきます。』

なかなかの出来で美味しくいただきました。


窓辺の小さな白いテーブルの上には、モカの写真が飾られている。

1日の終わりにモカに語りかけるのが円香の日課だったりする。


『モカ、今日モカのそっくりさんに会ったんだよ!

人間なんだけどね。雰囲気があなたに似てたのよ。

また、会える保証なんてないけど…。

また、会えそうな気がするんだよね。』

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