表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/485

13・E



かなりの年月が経ち、たびたび外から攻めてくる人種と戦争が起きる。

今では技術力が攻めてくる人種と同じくらいあり、森の民は魔術が使えるため、戦闘においては優勢だ。

そういうこともあり、最近では外から攻めてくる人種はいなくなっている。

精霊は相変わらずだが、俺の体に住んでいる精霊は相当な存在になってきているようで、実体化しなくても普通の人間も見えるくらいになっているようだ。

少し前に火の精霊のまとめ役も住み着いた。俺の体を燃やさないように最大限注意を払っているのが大変そうに見える。

この世界も俺がこちらに来てしまった時よりも大きく変わったな、と遠くを見て思う。

最近は俺も時々なぜか眠ってしまうようになった。樹になった当初からここ暫くまでずっと起きていた。

普通ならずっと置き続けていれば精神的におかしくなりそうな話だが、そんなことはなかった。

もしかしたらかなりの年月眠らなかったが、そろそろ疲れでもたまってきているのかもしれない。







ある日目を覚ますと精霊たちが騒がしい。集まって何かがやがやとやっている。

何かがあったのかといろいろ見回って確認してみるが、特に変化があるようには見えない。

精霊に限らず、森の民や土の民も少しわちゃくちゃしているようだ。

彼らの様子を見てみると、どうやら俺の体、頭のほうを見ている。

そういえば木の上側を見ることはできていない。もしかしたら何か大きな鳥でも住み着いたのだろうか。

確認ができないのでどうしようもない。







最近かなり眠っている気がする。というか眠い。

少し前に森にいる色々な存在が慌ただしかったが、それ関係なのだろうか。

しかし眠い。何かこういうことを考えていると、自分がどうにかなることなんて今まで考えたことはなかったな、と思う。

この今の俺の体、この樹の体はいったい何なのだろうと考えたことは何度もあった。

だが、この樹の体がいつまで持つのかはそもそも不明だ。

ずっと昔から、長い歳月存在していた。数々の変な特殊能力も持っていて、与えるものとして色々なことをしたと思う。

この体はそもそも水のなさそうな荒野にあった。どこから水を吸っているのかとも思った。

そもそも水を吸っているのかも疑問だ。そういう感覚は自分にはない。

もしかしたらそのうち自分は死ぬ、消えるのではないかと思うようになった。

だがそれも別にいいかと思う。ずっと長い間ここに存在しているだけは寂しい。

せめて森に住む人々と話でもできればもう少し楽しかったろうな、と思う。

もう眠い……眠気に逆らわずとっとと寝てしまおう。















目が覚めたらそこは花の中だった。なぜそうなったのかはよくわからない。

まず、最初に俺はいつも通りにしていて、眠ったらいつのまにか花の中にいた。

花は閉じているようで、最初は暗くて見えなかった。訳が分からないままつい体を動かしてしまった。

そこではじめて気づく。その時の俺は人の姿の体を持っていた。

こちらに来てずっと樹の体だったため、どうしても感覚的に分からなくなっていたが、人の体を持ったようだ。

その感覚を把握しているとふわり、と花が開いた。

目の前には風の精霊がいた。彼女はこちらを見るとびくっ、と驚いてすぐにいなくなった。

何やらわからないが、花の前にいたらしい。そのままでいても仕方ないので、移動することにした。

明るい中で自分の姿を見ると、人の姿をとっているが、正確には精霊と同じような感じらしい。

俺も空を飛べるのか、と思いいろいろと試してみる。簡単に飛べるようになったので、ふよふよと浮かびながら周りを探索する。

どうやらここは木の枝の上、樹上であるらしい。今までの精霊たちや、森の民、土の民の様子から恐らくここは俺の体であった樹の上なのだろう。

あの騒ぎはどうやら今俺が出てきていた花の蕾を見ての反応だったのだろう。

俺が時々眠るようになったのも恐らくあの蕾ができたことに起因しているのだと思う。

下に降りると何やら精霊たちがこちらに対し跪いている。いや、崇めているのだろうか。

なんというか、すごく怖い。こういう立場に立ちたい人は多いし、少しなってみたいとは思ったことはあるが、実際なってみると怖い。

訳が分からないから怖いのかもしれない。とりあえず降りて精霊たちのところに行ってみる。


精霊たちが話しかけてくる。何を話しているのかわかるのはありがたい。

どうやら彼女たちは樹の上に突如現れた花の蕾がいったい何なのかと騒いでいたらしい。

そしてどうすればいいかずっと悩んでいたが、あの樹の体には基本手出しできない、するべきではないという考えだったので何もできないでいた。

先日蕾が発光しはじめたので、風の精霊が何が起こるのかと様子を見に行ったらしい。

その時出てきたのが俺だということだ。あまりにいきなりだったので驚いて逃げてしまったようだ。

下に降りて、精霊たちに様子を説明し、風の精霊は落ち着いたようで、花の中から現れた俺がいったい何なのか、という思考に至ったらしい。

結論は樹の中からでてきたのだから樹の精霊である、というものだった。

今まで自分たちに手助けをしてくれ、この土地を富ませてくれた存在である樹の精霊であるということは自分たちよりも上位の存在であるということ。

なので俺が下りてきたときに跪いて自分たちは俺に従うものだという意を示したのであるらしい。

実際俺は樹だったので言っていることが間違っているわけではないのだが、これからどうしよう。

そういえば俺が樹の体から離れることになったのだが、それで樹はこれからどうなるのかという問題もある。本当にどうするべきか。


まず、俺が精霊であるならば何らかの特殊能力を持ってもおかしくないな、とある程度落ち着いて考えついた。

なのでいろいろと試してみたところ、樹の近くであるならば今まで通り樹で使ってきた力を使えるらしい。

それだけでなく、俺が扱える能力は水や風、土の能力も使用できる。残念ながら火は使えないようだ。

何故かそれらの能力が使えることが判明したのち、上位の存在であるからと精霊王とか呼ばれるようになった。

正直王と言われても困るのだが、別に精霊たちをまとめろとかそういうことではないらしい。

基本的には今まで通り精霊をまとめるのは風の精霊の役目となっている。

俺はどうやら象徴的な立場とか、崇める存在、ご神体みたいなものらしい。

まあそういうわけなので特に何をするでもなくのんびりと生活するようになった。

住む場所は風の精霊たちと同じ木の洞だ。

風の精霊がなぜか甲斐甲斐しく世話を焼いてくる。正直やりすぎなくらいだ。

まあそんな感じで精霊王として生きることになった。

結局俺がこちらの世界に来たのは何故だったのかはわからない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ