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妄想設定作品集  作者: 蒼和考雪
skill maker r
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 ブレイブは土塔の攻略を行い、ボスである竜の撃破後、クルゼヘリムまで戻る。その道中で野生動物を狩り、それをクルゼヘリムで売り払う。この世界で明確にお金を稼ぐ手段というのは街中の定職以外では、突発的な日雇いであったり、狩猟による肉の確保、または野山で薬草や山菜など採取し売り払うなど、流れ者には結構厳しい情勢だ。一応宿などもあるため、観光のような形での滞在は余裕だが、どこかに家を借りたり、街中の職を得たりなどはかなり厳しい所がある。

 そんな中、ブレイブが一番簡単に行える路銀の確保方法は狩猟である。スキルメーカーのステータスをそのまま引き継いでいるブレイブは、その魔法スキルが強力で分かりやすい強さだったりするが、実のところ、様々なスキルの作成と育成により、通常ステータスも十分高い。上昇速度は他のプレイヤーよりはるかに落ちていても、強力なモンスター相手に稼いだ経験値と最後に戦った天使の経験値の大きさもあり、そのレベルも一般プレイヤーよりもはるかに高く、レベル上昇分のステータス上昇も考えればこの世界の狩人でも仮の対象として選択しにくい動物を狩ることも容易である。

 一応物理攻撃手段として金属杖をもっているのだから、それを用いた打撃で相手を殺すことは容易である。杖術スキルもあり、その恩恵で首に絡めるように杖をひっかけ首を折り、外傷がほとんどない状態で狩猟し、持ち込んだ。

 動物の利用価値は単純に肉だけではなく、骨や皮、肉とは違い臓腑の類も利用価値がある場合もある。できるだけ傷つけずに持ち込んだ方が価値は高い。問題は運搬だが、ブレイブには特別な収納アイテムが存在し、その余裕の部分に入れて持ち運べるため、二頭ほどの大きく利用価値がありそうな獲物を狩り持ち込み、路銀を得た。

 翌日、ブレイブはエムラント山林……この世界ではルーベリックと呼ばれる山の山道を進む。スキルメーカーのゲームにおいては、エムラント山林は周囲が守と言っていい状態の山道で、分かれ道も多く存在し、途中でほぼ確実にモンスターと出会うような配置にされていたりするが、当然この世界では大きく違っている。この山道はクルゼヘリムとブルマーグを繋ぐ道である以上、その道中に存在する魔物や動物は可能な限り狩られており、樹々が大きく切りひかれ道がしっかりと作られている。馬車などが通ることも多いため、当然分かれ道の類もほとんどなく一本道だ。スキルメーカーと大きく違う理由は、やはりスキルメーカーがゲームであるということが大きい。エムラント山林は一種のダンジョンのような扱いだったのだろう。

 特にこれと言って大きな事件もなく、移動しやすいルーベリック山道を通り、途中にある山道を通る旅行者向けの山小屋でお金を支払い宿泊、そのままブルマーグ側へと抜けた。

 途中でブレイブはブルマーグに立ち寄るが、特にブルマーグでは何もなかった。この時点ではまたフィルマ達はアルディス西の森に存在する中継地点の奪取中か、それが終わって少ししたくらいだろう。仮にフィルマが望んでいる通り、ブルマーグでいったん合流するにしても、その前にブレイブは沖の島の迷宮の攻略をしてからとなるだろう。アルディスから複数人でブルマーグに移動するにはどうしても時間がかかる。フィルマだけならばまだブレイブと同じくらいの時間で到着できるかもしれないが、どのみちブレイブは先にフマーレストに向かっているだろう。

 ブレイブは特に滞在することのないブルマーグを出て海をショートカットしてフマーレストへと向かう。街道沿いに進むと微妙に距離が延びるためだが、完全に海の上を通っていこうとするとパティに怒られる。消費するMPの関係と、何か起きた場合の海への落下を危険視しての発言である。そのため、真っ直ぐフマーレストに向かわず、フマーレストへ向かう南側の道の途中まで海をショートカットしていくことで妥協している。

 ブルマーグを西に行くと北と南と東への分かれ道が存在し、西には何もない岬が存在する。この世界では異空界への回廊は落ちてきていない。穴も存在せず、あれはスキルメーカーでイベントが起きる場所として用意されている仕様である。北にはペディア、道を進んで横に存在する道の先には隠しみちの存在する絶壁方面への道、東はたった今来たブルマーグ、南がフマーレストだ。南と言っても本当に真南ではなく、少し南西よりである。そのため、直角に進むよりは海上を通るほうが速い。

 そうしてブレイブたちは道を進み、スキルメーカーにおいてフマーレスト手前に存在して橋に到着した。


「おー……でかい」

「でかいねー」


 フマーレストでも、水の中から登ってくるモンスター類が収まる程度には大きかったが、それ以上に大きい。そもそも川幅がとても大きく、ブレイブたち異世界召喚者がもともと住んでいた国で見られるような川よりもはるかに大きい。そして、川幅が大きい分もあるのか、岸を繋ぐ橋もとても大きい。


「……ここ、なんか出てくる可能性ある?」

「残念ならがないね。というか、出てきてもって感じだし。広すぎ」


 橋の幅も大きく、全長も大きく、仮に川の横側から魔物類が出てきたところで、中央を通っている場合は近づくのにかかる時間が結構なものとなるだろう。また、橋の素材は石材を用いているため単純に破壊するのは難しいため橋のそこからいきなりということもない。そもそも頭上を人間が通って気づけるかという問題も出てくる可能性もあり、気づいてもやはり端に上るまでにかかる時間を考えるならば襲いに行く意味がない。

 つまり、この橋の上は安全なのである。もし魔物が襲ってくるのであれば、先に準備しての待ち伏せだろう。最も、この場所まで魔王の影響があるということもなく、魔物が襲ってくることはあり得ない。 一応鳥系統の魔物はいるかもしれないため、それの注意をするくらいか。


「……なんか順調に進み過ぎじゃない? 魔物とかにろくに会わないし」

「そりゃ、普通の人が通る道だよ。魔物とかいたなら、倒せる人は倒してるし、騎士とかそういう人たちが街道を通って討伐に回ったりして、確実に数は減るよ。そもそもこの世界の魔物の総数ってそこまで多くないし、獲物が通るからって危険もある街道を通る人を襲うよりは、その辺の動物を狩った方が楽だし……」


 スキルメーカーではそこそこ頻繁に魔物に会い、襲われるが、現実ではそんなことはない。魔物だってそこまで無能ではなく、危険があるならば近づかないし、人間も狩るのが容易でないと判断できるようになったのならばそうそう襲ったりはしいない。女子供、弱っていたり群れからはぐれていたりと、襲うならば相応の者を襲うだろう。


「……世知辛い」

「いや、全然違うから。そもそもブレイブなら一瞬でも普通の人は魔物相手つらいんだからね、一体でも」


 この世界においてまともな旅人が魔物と出会ったのならば、全力で逃げる。逃げきれそうにないのならば、目くらましの類を使い意識や感覚を奪い逃げる。まともに戦うのはある種の狂人か、それとも魔物を倒せるくらいに鍛えた超人か、魔法使いの類だけだ。なお、魔物は街で売り払うのは難しい。その性質上、騎士や魔法使いの類でなければ倒しにくく、倒せば彼らが回収していくからである。挑みかかるような超人は彼らの死体を欲しがるというよりは戦いの勝利が目的であり、死体は放置するか、もしかしたら持って帰るかも、といった具合である。つまり魔物は売った場合いくらになるかの目算がないため売れないのである。


「さ、フマーレストに向かおう!」

「……そうだな」


 橋は結構長さがある。正直飛んでいきたいと思っているが、パティの気配探知で旅人の類が感知できているため、空を飛んでいることを見られると厄介なことになるかもしれないので飛ばずに行くしかない。一応人に魔法使いであることがばれないように注意している。下手に国に野生の魔法使いを見つけたと報告されると面倒なことになる可能性もあるため、なるべく秘密にしている。必要ならばぶっちゃけることはあるが。

 面倒な橋を渡り、街道をすすみ、ブレイブはようやくフマーレスト……この世界ではルブジェナと呼ばれる海洋国家に到着した。


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