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六回目、七回目、八回目は迷宮の捜索、内部調査、良質な金属の鉱脈の探索に費やした。

クルドさんのチームに入り、うまく誘導して迷宮探索を主にするようにした。

しかし、多くの迷宮はすでに発見され探索されており、その内部の金属の権利も国が持っている。

そのため金属の鉱脈を持つ迷宮を見つけることはできなかった。

しかたないのでお金を貯めていい剣を購入することにした。

相手の大鎌の威力はわかっているので、あの時斬られた武器を用意し、それを切断できる武器を探した。

ただ、結局は見つかっていない。今回で見つかるといいが。


迷宮はすでに見つかったものしかなく、鉱脈も発見できなかった。

だが、空いている時間に鍛冶屋を探してようやく、あの時の剣を切断できるような武器がある鍛冶屋を見つけることができた。

この剣を切断できるような武器、金に糸目をつけない、ということで出された武器だ。

実際に試して切断でき、それを購入し使うことに決めた。

そしてやはりいつも通り戦争の日が来る。何度かクルドさんたちに退くようにいったが、ほかのメンバーはともかくクルドさんだけは退かすことはできなかった。

彼だけはどうすることもできないとあきらめ、今回も挑む。

大鎌が迫る。ものすごい金属がぶつかり合う音がして、大鎌の動きが止まった。

たった一度、たった一度だが大きな一度だった。少なくとも、今まで対抗できなかった相手に対抗できる。

あれだけ吹き荒れてた大鎌の軌跡が消え、きょとん、とした顔の少女が見える。

ただ、その瞬間は一瞬だった。すぐにかかっていた大鎌の力が外され、剣を向けた方向とは逆の方向から大鎌が振るわれた。







武器は今のところ問題はない。正直何度もあの大鎌と打ち合えるかはわからないが、ダメならその時考えればいい。

問題はこちらの強さが相手に追いついていないことだ。今の身体能力と魔術の強化ではあの強さに足りていない。

何度か相対していたせいか、相手の動きがある程度見えてくるようになったが、それでもまだあの速さに即応できるわけではない。

つまり強さが必要だ。それは身体能力と武器を扱う技術。つまりひたすら鍛えるしかない。


クルドさんに冒険者仲間で実力があり稽古をつけてくれるような人がいないかを尋ねた。

何人かの心当たりをあたってもらい、有料になるが修行をつけてくれる人を見つけてもらった。

ただ、一人二人ではなく何人もだ。修行と修行にかかる代金を稼ぐためにひたすら冒険者の仕事をして、戦争の日を迎えた。

修行はしたが、大した違いはなかった。今度は二度目まで防げたが、それ以上はできなかった。


修行は確かに功を奏したが、できる修行には限度がある。体を鍛える時間には限度がある。

戦争の日はループの最初から1年と少しだ。それに15歳というまだ完全に体ができていない状態だ。

もちろん、体ができていないからこそ鍛えて強くなれるという部分もあるが、結局底上げできる限界がある。

ループで過去に戻る際、肉体が戻ることはない。精神は問題ないから技術は持っていける。ループ、繰り返しができるうえでの最大の利点はそこだ。

つまり、体を鍛える方向ではなく技術を鍛える方向で行くべきだ。

といっても、クルドさんを通しての冒険者の知り合いでは難しい。クルドさんの知り合いはせいぜい中位の冒険者が限界だ。

もっと別の当てを探してみるしかない。








今回は五回目と同じように魔術の講習に行ってみることにする。

以前はただ教えてもらっただけだが、より深く教えてもらうことにする。特に魔術による身体強化は重要だ。

あの死神と戦う上で身体強化が何よりも必要なものだ。簡単な魔術攻撃なんかはあの死神には一度も使ったことがない。

あの程度の攻撃ではあっても意味がない。

受付で魔力診断の玉を受け取り、両手で包み込む。しかし、ここで以前とは違うことになった。

今回は玉の色が銀色になった。


「銀……しばらくお待ちください」

「……銀?」


以前は銅だった。この分類は魔力量を表している。つまり、魔力量が五回目より多い、ということだ。

ループは自分の精神以外の変化はない。つまり、魔力量は精神に由来するものである可能性がある。

いや、そういった魔力について、みたいなことは正直どうでもいいことだろう。重要なのはループすれば魔力量が増える、ということだ。

魔力量が増えるのであれば使用できる魔術が増えるということだ。何度ループすればいいかわからないが、魔術次第では有効な攻撃手段になるかもしれない。







「ふむ……銀か」


目の前には魔術講習の時の老齢の魔術師がいる。


「お前さんは儂の弟子となってもらう。今は儂のところに残っておる弟子もおらぬしちょうど良いじゃろう」

「はい」

「悪いが、冒険者登録は外させてもらうぞ」

「はい」


いきなり師弟関係を築くことになった。話を聞くに、以前は数人弟子がいたらしいが、学ぶことがなくなった、ということで弟子をやめたらしい。

そのやめた弟子は現在は同じように弟子をもって師匠役をしているらしい。


「銀では少々できることが少ないが、まあよかろう」


魔力量でいえば銀は銅よりも多いが、その上には金、白鋼がある。この白鋼という金属はみたことないが、鉄ではないらしい。

実はその上に魔銀、神鉄の分類があるらしいが、その辺は昔話レベルだ。ちなみにこの魔銀、神鉄は多分ミスリルとかアダマンタイトとかオリハルコンとかその辺の金属だろう。

師匠の色々な仕事の手伝いをしつつ、魔術の技術を学ぶ。各属性の攻撃魔術で新しいものを学んだが、もっと重要なことで魔術によるより強い身体強化を学べた。

今までは魔力量が増えたことで身体強化の上昇量がわずかながら上昇していたらしい。

だが、今回より魔力を使用する形での身体強化でさらに効率的な身体強化ができるようになった。

前回よりも体を鍛えることはできていないが、魔術による強化があれば同じくらい戦えるだろう。


武器は前回と同じものを入手することができた。

師匠の下について修行する形だったが、一応給料は出ていたので買うことができた。


そうして力をつけているうちに、戦争の日が来た。

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