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妄想設定作品集  作者: 蒼和考雪
god slayer
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2

 俺はハルト・マルジエート、転生者だ。俺はある日事故で死んだんだが、そのあと気が付いたら真っ白なよくわからない空間にいた。そこで変な男、自称神様にこの世界に行ってもらう、とか言われてぽいっと空間の穴らしきものに放り込まれた。そしてまた気が付くとこの世界の領地を持っている貴族の子に転生していた。

 なんというかどこぞのテンプレ的な異世界転生か、とも思ったが、完全に唐突でわけがわからなかった。だが現実に起きてしまったことは仕方がなかったのでこの世界で生きていくしかなかった。幸いにも領地持ちの貴族ということもあり、しっかりとこの世界における知識や技術、そしてファンタジーにありがちな魔術なんかも学ぶことができた。

 それは良かったのだが、我が貴族の家、マルジエートにはある家訓が存在する。それは一定の年齢になった、家を継ぐ長子は一度冒険者になり、一年以上は実地で経験と実績を積むことが必要とされていた。父もその家訓に従い、冒険者になった過去があり、俺も同じように冒険者になるように言われ、送り出された。

 これをやる必要はないとも思ったのだが、やらないと家を継ぐ権利はないということなのでやらざるを得ない状況だった。なので、冒険者ギルドまで出向き、冒険者の登録をしようとしたのだが。


「俺とチームを組んでくれ!!! 頼む!!」


 いきなり男に話しかけられ、チームを組んでくれと言われた。恐らくは冒険者のチームのことだろう。だが、まだ登録がすんでいない相手に声をかけてどうする。


「……なあ、どうすればいい? 受付さん」

「好きにすればいいと思います……」


 好きにしろと言われても困るのだが……だが、受付の人も何か疲れた様子だ。俺が男に返事をしないでいると、男のほうがさらに頼む、お願いだとしつこく言ってくる。この時点で嫌な予感がした。断るとさらに付きまとわれるという予感だ。

 この手のどこか方向性のずれた思考の持ち主はよく知っている。そしてそういう手合いは往々にしつこい。俺はその男とチームを組むしか選択肢はなかった。








「よし、チームを組んだから依頼を受けるぜ!!」


 男が依頼が書かれた羊皮紙の張ってある掲示板まで走っていく。あの手の掲示板タイプは創作でもよく見られるものだが、やはり一般的なスタイルなのだろうか。

 そう思って掲示板のほうを見ていると、男が戻ってくる。


「依頼を選んだのか?」

「……俺は文字が読めない!!」


 文字を読めない宣言をされた。なんというか、この男は頭が悪いのだろうか。読めないのになぜ掲示板に依頼を探しに行ったのか。


「……まず、お前は落ち着け。依頼を受ける前にそこに座ってお互いの自己紹介から始めよう」

「ああ!!」


 元気のいい返事が返ってくる。ばたばたと椅子まで行き、すぐに座る。行動の速さ、元気の良さはいいところなのかもしれないが、もう少し落ち着いた行動をしてほしい。

 椅子に座ってお互いの自己紹介を始めた。俺が貴族であることや、男が神儀一刀を学んでいたことなど。お互いの戦闘スタイルも確認し、俺が魔術系、男のほうが剣士系だ。前衛後衛がはっきりしているのでバランスが悪いということはないだろう。だが、ほかにメンバーを誘った方がいい。


「アルツ、俺たちだけだとチームとしては不安だ。他にも人を誘おう」

「ハルトがそうしたいならいいぜ!!」


 男はアルツという名前だ。名字、家名の類は貴族籍にある者か、称号などを持つ大きな実績のある者しか持たない。

 アルツがいいと言うので、他に仲間になってくれそうなメンバーを探すが、目を逸らされる。話を聞く限りでは、アルツが原因らしい。聞いた所、アルツが入ってきたときの諸々とか、行動とかがしっかり見られていて、扱いに苦労しそうだからということだ。


「残念ながらメンバーになってくれる相手は見つからなかった」

「そうか。なら依頼を探すぞ!」

「ちょっと待て」


 チームに不安があるからメンバーを探すという話だった。まだ不安が解消されていないのに依頼を受けるのか?


「いいか、アルツ。チームが二人だけだと戦闘や調査、諸々の安全性が」

「俺は早く依頼を受けて仕事をしたいんだ! ハルト! すぐにできる仕事を探してくれ!!」


 こいつ、人の話を聞かない。

 だが、仕方ない。聞かないなら聞かないで対処方法はある。依頼を受けて仕事がしたいだけならすぐに終わるような簡単な仕事を受けよう。アルツを伴って掲示板まで行く。色々と依頼があるが、初心者である白の冒険者の受けられる依頼は少ない。

 ある一つの依頼に目が留まる。よくゲームなんかでもある簡単な討伐クエスト、ゴブリンの討伐だ。期限無し、討伐証明となる顔に対して鼻を切り取り提出、二体から。依頼制限は白、つまりは誰でも受けられる依頼だ。と言っても報酬は安いが。


「アルツ、ゴブリン討伐の依頼を受ける。それでいいか」

「ああ! いいぞ!」


 やはり元気だけは良い返事だ。内容を把握しているのかは不明だが、仮にも神儀一刀を学んでいる人間がゴブリン程度に後れを取るわけもないだろう。

 俺はその依頼を受付に提出し、依頼の受理をギルドカードに記録した。このギルドカードはこの世界の技術水準ではありえないくらいに高性能だ。少し聞いてみると、神様が関与しているらしい。他にも通貨の管理など、世界を健全に維持するうえで重要な物事に神様が関与しているらしい。

 神様がしっかり仕事をしている世界であることは知識として知っていたが、実際にギルドカードの性能を見るとその能力に実感が湧く。


「ハルト! 早くいくぞー!」


 ギルド内、どこにいても聞こえるような大声でアルツがこちらに呼びかける。急いでアルツの下まで駆け寄る。


「アルツ、大声で呼ぶのは禁止だ。他の人の迷惑になるから」

「わかった!」


 大きな声で返事をされてわかったもくそもないだろう。これからアルツに大声を出さないように教え込むのに苦労しそうだな、本当に。

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