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妄想設定作品集  作者: 蒼和考雪
doll fantasica
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11

サバイバルの対戦の過程で訓練を経て、サバイバル後は何かを掴んだかのように快勝し、その流れでBランクに上がった。

その後もしばらくある程度勝ち続けた。そんな流れの中のある日。


「よっ! ようやく来たな!」

「何がだ?」


放課後、祐司がいきなり話しかけてくる。


「お前公式の連絡とか見ないタイプかー? ドールだよ」

「……ああ、大会か?」

「そうだ!」


ドールの全国大会の開催が決まったということだ。といってもSランク以外は県の予選の大会を勝ち上がる必要がある。

参加するかどうかの通知が運営側から来て、それに参加するかどうかの旨を選択し送る。

参加する場合、参加者から四つのグループに分割され、それぞれがサバイバルでバトルロワイヤルで戦う。

その勝者四人でトーナメント戦を行い、その優勝者が全国大会の参加者になる。

全国大会では一度運営側からの一人と県大会の優勝者47人で一度戦い、24人になったあと、Sランクの8人を加えトーナメント戦だ。


「意気込みはいいがランクはどうした?」

「へっへー。もうBランクになったぜ。お前はどうよ」

「Bランクになってるから問題ない」

「おー。流石だな」


ふっ、と表情を変える。いつも見せる軽い雰囲気と違い、とても真剣な眼だ。


「お前とは前に一度戦ったよな」

「本気じゃないお遊びのやつだな」

「ああ。今度は本気でやろうぜ。決勝戦でな」

「まだ割り振り決まってないだろ」

「そうだな。まあ、県の大会で決着をつけるってことだよ」


刺すような、攻撃的な空気。形容するのは難しいが、戦う相手に向ける、だが敵対的なそれとも違うものだ。

いうなれば競う、競争者に向けるものだろうか。


「今度は本気で行くぜ? 俺と戦う前に負けるなよ」

「お前こそな」


こちらの言葉ににっ、と獰猛な笑みを向ける。すごく楽しみにしている、そんな顔だ。

そのまま、じゃあなと言って教室を出て行った。こちらも一度部室に行って帰宅しよう。








部室に行くと、いつもはこの時間には来ない先輩がいた。


「先輩こんにちは」

「………あ、智弘君。こんにちは」


どこか上の空というか、普段自分がしているような感じの返答をされた。考え事をしていたのだろうか。


「ねえ智弘君」

「はい、何ですか」

「智弘君は……弟とか妹みたいな年下の子と遊んだことはある?」

「……いえ、ないですけど?」

「うーん……まあ参考に聞いてみようかな」


いったい何なのだろう。いつもの感じとは違う。まあ、先輩にも悩みはあるのだろう。


「あのね、今度年下の子とゲームで遊ぶんだけど、私のほうがそのゲームをよくやってるからどうしてもこっちのほうが上手なの。だけど相手の子はあまりやってないからそこまで上手じゃないのね。それで、私はどうすればいいかなぁ、って」

「……どうすればと言われても」


普通に遊べばいいのではないだろうか。いや、子供相手だから負けてやればいいと考えることもあるかもしれない。


「手を抜いてもいいけど、やっぱり失礼というか、でも本気でやると大人げないというか…」

「普通にやってもいいと思いますよ?」

「でも私のほうが実力は上でしょ? こっちが強いのは当たり前だから普通にやるのもねえ」

「じゃあ、手加減してやればいいんじゃ」

「手抜きは失礼じゃない?」

「手抜きと手加減は違いますよ」

「え? ……何が違うの?」


これは持論になるが、手抜きと手加減は違う。将棋に例えれば、手抜きは適当に駒を打つことで、手加減は飛車角落ちだ。

ようは手抜きは本気にならないこと、手加減は相手と対等とまではいかなくても能力を落とした状態にすることだ。

そう先輩に違いを伝える。


「つまりこちらの強さを制限した上で実力で勝負しろってこと?」

「まあ、そういうことです」

「……うーん、それでいいのかなぁ?」

「最終的に決めるのは先輩ですから、存分に悩んで決めればいいと思いますよ」

「そうする」


そのままうんうんと悩んでいる。こちらからアドバイスできることはあまりなさそうだ。

迷惑にならないように帰宅しよう。一度部室に来たし。






その後参加するかどうかの通知が来て参加することにして運営側に送った。

予選のバトルロワイヤルはサバイバルでの戦闘を何度も経験していたので、高空で待機し、数が残り数人になるまで待ってから戦った。

こちらは魔力消費が大きかったものの、ノーダメージだったので有利に戦うことができた。

そしてバトルロワイヤルに勝利し、県大会のトーナメントに挑むことになった。

トーナメントの1回戦の相手は巨鳥のドールだった。鳥型のドールは当然空を飛ぶ。

空を飛ぶ相手は地上の敵に対し大きく有利だ。特に空を飛んだまま能力で攻撃すれば敵の攻撃を受けずに完封することも可能だろう。

ただ、相手は間違いを犯していた。それはドールを巨大化させていたことだ。巨大化するということは攻撃が当たりやすいということだ。

小さいドールであれば攻撃の命中率は下がる。また、小柄ゆえの俊敏さも持てるから回避率も上がるだろう。

つまりだ。大型の鳥型ドールはこちらにとっては狙いやすい空中を移動する的だ。魔力操作と魔力変換をうまく使った遠距離攻撃の。

相手はこちらが空中に対する攻撃手段を持っているようには見えなかったせいか、相当に油断していたと思われた。

こちらの対空攻撃があっさり命中し墜落、そこに追撃をしかけ勝利した。

そして二回戦……相手は祐司だ。奇しくも言っていた通り、決勝戦で決着をつけることになるようだ。

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