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第07話 激闘!?救世主VS武学の主席 前編

更新だいぶ遅れてしまいました。

すいません・・・

眩しい・・・。


今まで暗闇の控え室にいたため、目が外の明るさに慣れていない。

ロイも同じなのか目を細めながら観客席を見回している。俺もつられて何気なく見回していると、よく知った人物が俺の視界に入った。


そう、エレンだ。


そして、その隣には先ほどぶつかってきた少女も一緒に座っていた。

彼女たちは知り合いのようだ。


「センヤ・・・来たぞ。」


ロイが視線は向かい側の控え室に向けたまま冷たい声を俺に向ける。

その方向に視線を移す。

そこには人影が2つあった。


1人は身長が190cm以上はある体格のいい大男だ。

彼は棒術使いのようで武器は黒い鉄で作られた長棒に見える。髪は黒でやや長めだ。見た目はアジア系の姿をしている。

ここの人間が全員西洋風だと思い込んでた俺には新鮮味がある人だ。しかし、顔は東洋風なのだが彼が体中にまとっている鎧は、よく漫画などで見る西洋の騎士のものだ。

ところどころ変形してしまっているので相当使い込まれていることが伺える。


もう1人の男の身長は相方よりは低い180前後だろう。それでも俺よりも高い。

見てくれはただの戦士にしか見えない。

右手に刃が漆黒に輝いている片手剣(刀系の物ではない)が握られていて、左肩には黒い鉄でできている長さ2mほどのチェーンのような物が巻きつけられていた。

雰囲気からして防具ではなく武器だろう。

この男もロイ同様黄土色の髪で、肌白の美形外人だ。

大男とは違い防具は何も左腕に固定された縦長の盾だけで、鎧は装備していない。


「こいつらか?今日の俺たちのあいてってのは。」


「そのようですね。」


大男のがさつな言葉に対して美形外人は丁寧な喋り方だ。


「アンドロイと・・・誰だ、あいつは?」


「新入りでしょう。今日の模擬戦の目的は彼の力量を測るためだと言っていたでしょう。」


「わりぃわりぃ、聞いてなかったぜ。」


「いつものことですが、このままその調子でいますといつか死にますよ。」


「かもな。ガハハハハ!」


何か俺たちが戦う相手のイメージが壊れたな。

ロイの話を聞いているかぎりじゃ、もっと狂戦士的な連中かと思っていたのだが目の前のコントのようなものを見ているとそんなに強いやつらではないきがしてきた。


が、そんな考えはすぐに間違いであることに気づく。


『両選手前へ!』


審判らしき教官の声とともに俺とアンドロイ、向こうの2人組も闘技場の中心にやってくる。


『これより、新入生の模擬戦を行う。』


・・・


『勝敗はどちらかのペアが降参するか戦闘不能になるかで決める。』


デスマッチか。


『時間は無制限。各自好きなように暴れてくれてかまわない。ただし!殺しはするなよ。』


・・・


『この模擬戦の相手は、“ムド・ロトーペン”と“フグ・スタカム”だ。』


どこかで聞いたことのある名前だな・・・。


『それでは・・・試合開始!!』


ワアァー!


教官の開始のかけ声とともに観客席の方から色々な罵声が飛び交っている。

俺たちは武器を構えながら相手に向き合う。

だが奴らは身構えもせずに何か話している。


「どうするよ?俺はどっちでもいいけどよ、フグはアンドロイと殺り合いてぇーんだろ?」


「ムド、貴方が譲ってもらえるのなら私は是非そうしたいです。」


「決まりだな。俺は新入りと戯れてるから、アンドロイは任せたぜ!」


「わかりました。」


と、どっちが誰を倒すか決めている。

やつらの中では俺たちが勝つことはないらしい。


むかつくな。


身構えてる俺たちに最初に動いたのは美形外人、フグだ。

やつは、ハイスピードでロイとの間合いを縮めると手に持っていた剣で切りかかった。


「くっ!」


キィン!


気持ちのいい金属音が鳴り響く。

いきなりの奇襲に驚いたものの、フグの攻撃を手に持っていた剣で弾いた。

ただの人間なら即死だろうその攻撃を、無駄な動きなく弾いたロイは結構な強者だろう。

弾かれたフグは少し下がり5mほどの間合いをあけてロイと対峙している。


「アンドロイ。貴方の相手は私がします。」


「なめんなよ!そう何度も同じ武器に負けるとおもうなよぉぉぉおぉ!」


フグの発言が癪に障ったのか剣を下に構えて突進していく。


キィン!ガン!シャキ!ガツ!キィーン!


二人は何度も剣を剣で弾きあいながら、奥の方に移動していく。

これではせっかくのペアの戦いという名目が意味がない。

残された俺はとりあえず目の前の大男、ムドと対峙する。


「お前が何なのかはしらねえが、速攻でぶっ飛ばしてやるぜ!」


「・・・」


俺は無言で剣を構える。


「と言いたいところだがな、俺たちはお前の実力を測らなきゃいけないんだよな。」


「なんだよ、手加減するってことか?」


なんだかかなり過小評価されているようだ。


「まあな。が、それでもお前のような“ヘッポコ”の“雑魚”には負けるはずねぇけどな!」


この俺がヘッポコで雑魚だと?


「んじゃ、行くぜ!せいぜい死なねぇように頑張れよ。ま、無理だろうけどな。」


「・・・そうかよ。」


俺は怒りのこもった眼差しで奴を睨む。

ヘッポコだの雑魚だのと言われたのは生まれて初めて受けた屈辱的な言葉だ。


許せない・・・


ムドは手に持っていた長棒を勢い良く地面に突き刺した。

そして、何も持たずに俺に突進してきた。


「まずは素手でいたぶってやるぜぇ!」


どうやら素手で俺を倒すらしい。

馬鹿なことを考えたものだな。この俺が丸腰の奴相手に負けるはずがないのに。


相手の実力を知らずに甘く見たことを後悔させてやる!


俺は構えをとき、ただ突っ立っている体制になった。


「ふははは!怖気づいて体がうごかねぇのか!坊や?」


「・・・」


ブゥン!


ムドのパンチが空を切る。

当たれば常人なら即死であろうその攻撃をかわす。


「なん・・・だと?俺の拳がかわされたのか!?」


「どこ狙ってんだよ?俺はここだぜ、ムドさんよ〜?」


「この、クソガキャァ!なめやがって〜!」


ブン!ヒュッ!サッ!シュッ!


俺に挑発されて怒ったムドは、その巨体からは想像も出来ないほどのスピードで俺にパンチのラッシュを放つ。

それを俺は何事もないかのように突っ立ったままよける。

奴にとってこれ以上の屈辱はないだろう。武学の主席と謳われた人がただ立っている人間に攻撃が当たらないのだからな。


「ホラホラ。そんな攻撃当たらないよ?」


「うをおおおぉぉぉおぉ!」


ストレート系のパンチからフックやアッパーなども使い始めた。

だが、所詮はそこまでだ。その攻撃が俺に当たることはなかった。


「くそっ!どうして当たらないんだ!」


「弱いからじゃん?」


俺のその一言をきっかけに、ムドの動きが止まった。

そして俯きながら何かぼそぼそと呟いている。


「ぉ・・・ぃ・・」


「なんだ?」


「この俺が弱いだと!ふざけるなあぁぁぁ〜!」


どうやらキレてしまったようだ。

こんな挑発に乗るなんてなんとも精神が弱い奴だな。


「うをぉぉぉ!」


先ほど地面に刺した長棒を手に取り気合を入れているのか、雄叫びを上げている。

すると、今まで真っ黒い色をしていた長棒の先のほうが一部赤く変色し始めた。

なんとそこから煙まで出ている。


「やっと本気か?」


「このガキ!俺の本当の恐ろしさを思い知らせてやる!」


流石に相手が武器を持ったため、一応剣を構える。


ヒュッ!・・・・ジュゥ〜・・・


「おいおい、マジかよ。」


ムドは俺に勢い良く近づき、長棒を軽々と回転させて俺にめがけて殴りつけてきた。

それを手に持っていたカッターソードで防ぐ・・・はずだったのだが、赤く変色した部分に刃が触れたとたん、熔けてしまったのだ。

そのまま奴の長棒を俺の右脇にギリギリ触れない程度に回避した。

そして空ぶった奴の棒の先端が闘技場の地面の土に当たった。


ジュワァ〜!


すさまじい音と煙を出しながら、長棒が当たったところの土に含まれていた鉄が一気に融解してしまった。

あの先端は相当な高温だろう。生身の人間に触れたら一発で蒸発してしまうだろう。


「ビビッタか?これが俺様の力だ。」


武器の性能を自分の力だと主張する。


「この武器はな、魔宝石で出来てんだよ。魔宝石ってのはな〜魔鉱石よりも優れている属性魔法が出せるんだよ、好きな時にな。これは炎属性を与えてるから、かなりの鉄なんて簡単に熔かすほどの威力があんだよ!」


武器の性能を教えるなんて馬鹿な奴だ。

しかしいくら武器の性能が分かったとしても、こんなものに触れたりしたらいっかんの終わりだ。気をつけて回避に専念しなければならなくなってしまった。

これでは攻撃できない。


「まだまだいくぜ!お前は死なない程度に殺してやるよ!なんせ初めて俺に恥をかかせた奴だからなぁ!!!」


そう言うと、今度は突き攻撃をしてくる。

槍ではなく先に刃はついていないが、それ以上の威力を持っていることは分かりる。

奴の突きは正確に俺の急所を狙ってくる。

俺はその攻撃をギリギリの感覚でかわす。先ほどのパンチ攻撃よりも倍以上の攻撃スピードのため、スムーズに避けることが出来ない。


「オラ、オラ、オラオラオラァ――!!!」


「くっ!」


避ければ避けるだけ奴の攻撃スピードは増していく。


この間合いは危険だ。


そう判断した俺は、奴が長棒を引く瞬間におもいっきり後ろにジャンプする。

これで安全なはず・・・


「甘いぜ!」


だったのだが、ムドは長棒を引くと見せかけてそのままの体勢で俺に体ごと突っ込んでくる。


しまった!


俺は今ジャンプで後ろに飛んでいる瞬間だ。もちろん足は地面についていない。

そして奴の長棒の先端は、身動き取れない俺の胸部に狙いを定めて今にも突こうとしている。

その瞬間を俺はスローモーションで見ていた。


このままでは刺されてしまう!


予想接触時間およそ0.6秒。


こうなれば一か八かだ!


浮いている状態で体を後ろにのけぞらす。

もともと奴の狙いどころが高い位置だった為何とか俺はその攻撃をかわすことに成功した。


ズシャァー!


だが、おもいっきり後頭部から地面にスライディングしてしまった。

多少痛いが、命が助かったのでよしとしよう。


「ちっ!はずしたか!」


ムドはかなり悔しそうだ。

こちらの試合を見ていたものもほぼ100%当たると思っていただろう。

それだけ俺はやばかったのだ。


「あっぶねぇ。」


すくッと立ち上がり服に付いた砂埃を掃う。

ムドとの間合いはおよそ6mくらいだ。


「次ははずさねぇからな!」


言うが早いまた突きの連続攻撃が始まった。

が、今回は突きだけではなく左右からの殴りや上から振り下ろすなどの攻撃も追加されていた。

流石の俺もそんな攻撃を完全に回避することが出来ない。


このままでは殺られる!


そして、ついにその時がきた。

追い詰められた俺に大きく間合いを縮め一気に顔面を突く。

それを回避する為に後ろにのけぞった時だった。


「おらよ!」


奴は俺に足払いを食らわした。

予期していなかった攻撃を食らっ俺はなすすべもなく地面に倒された。


「これでトドメだ!」


ムドは俺にトドメを刺そうと渾身の力で倒れている俺に向かって、長棒の高温部分を殴りつけてくる。


「く、そっおぉぉおぉ!」


普通の奴ならそこで諦めていただろう。だが残念ながら俺は異常な人間だ。

振り下ろしてくる奴の長棒が顔面に当たる直前に、俺は素手でそいつを受け止めた。


腕がなくなる覚悟は出来ている。命がなくなるよりましだ!


だが、長棒を受け止めた俺の手は蒸発どころか火傷すらおこしていない。

その状況に俺どころかムド、そして観客である訓練生たちも一斉に静かになってしまった。


「うそだろ・・・。俺のこいつを素手で止めるなんて・・・」


何がなんだか分からない。どうして俺の手は無事なのだろうか?

頭の中に疑問符が浮かぶ。

だが、すぐにその原因が分かった。


「そうか。俺は炎属性の攻撃はきかないんだ。」


「なん――だと?」


そう。答えは簡単だ。

昨晩エレンに食わされた魔鉱石のおかげで俺は炎属性に耐久性がついたんだ。

そして奴の武器が魔宝石とやらが発している炎属性魔法。俺に効くはずがない。


この勝負・・・もらった!!


「お返しだ!たっぷり受け取りやがれぇ!!!」


俺は奴の起き上がると、奴の持っていた長棒を奪い取る。

そして、発熱している方をムドに向け、


「そろそろ決着つけようぜ?」


「くうっ・・・」


すっかり俺に怯えてしまい覇気がなくなったムドは後ずさりしている。

だが、逃がさない。

俺は奴が体につけていた鎧の留め金を器用に熔かし、鎧を剥ぎ取る。

剥ぎ取られたところは、ムドの肉体がさらけ出されている。


「ま、待ってくれ・・・」


「いや、待たない。―――こいつで終わりだ!」


相手の懐に入り込み、身をかがめて力をため、


裂衝脚(れっしょうきゃく)!」


格好よく技名なんて言いながら、おもいっきり蹴りを放った。


ドズーン!


俺の渾身の一撃がムドの体に当たる。

鎧を着ていたところで、それを粉砕してしまうほどの威力があった。

その一撃が生身の肉体に当たったのだから、肋骨の粉砕骨折は間逃れないだろう。

ムドはそのまま地面に叩きつけられ、その場に倒れたまま動かなくなった。


まさか殺してないよな・・・


不安になり、静かに近づき脈と呼吸を確かめる。

どうやらまだ生きているみたいだ。

ひとまず安心する。


「さて残るは・・・」


俺はもう1人の相手に目を向ける。

そこでは、ロイとフグが戦っている。遠目で見ても分かるくらいにロイはかなり体力を消耗してしまっているが、一方のフグはと言うと全く疲れの色を見せていない。

どう見てもロイのほうが押されている。


「まずいな、」


俺は急いでロイのもとに駆け寄って行った。





これからこの模擬戦の第二幕が始まるのだ。

果たして俺たちは無事に勝つことが出来るのだろうか?






大変読みにくくなっていたと思います。

もっと読みやすくなるように努力します。

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