【かぐや姫2】
1度は故郷を離れ、月へ帰ると宣言したかぐや姫であったが、これまで自分が生まれ育った地球以外の環境に馴染めるはずもなく、地球に引き返して来たのは、もう5年も前の事であり、今日もおじいさんの遺影に両手を合わせる、かぐや姫とおばあさん。
「この人が、私を竹の中から取り出してくれたのよね…そして、育ててくれたのよね…」
「そうだよ、毎日感謝しなさい」
「…はい…」
かぐや姫は、自分が竹から産まれた事を元にして書いた自伝エッセイ【竹から産まれた私ですが、なにか文句はありますか?】や、その後の2年間の月での生活を元に書いた、近未来教材【地球と月での生活の違い】が全米で話題となり、世界的な売れっ子作家とし、その地位を揺るぎ無いものとしていた。
「そろそろ行くね。書かなくちゃいけないものがあるから、私行く!」
かぐや姫は笑顔で言った。
「気を付けてお行きなされよ」
おばあさんは笑みを返し、言葉を返した。
「すみませーん!次回作に付いて聞きたいのですがー!」「この間お出しになられた【竹と私とあなたと自分】に付いて、竹竹研究会の竹下タケエモンさんが批判をしている件についてお聞きしたいのですが…」「どーなんですか!噂になっているキムタコさんとの熱愛報道の件はどーなっているんでしょーか!!」
人気作家というのは大変である。
連日連夜、人の迷惑も考える事無く、自宅に押し寄せるマスコミからの大量の質問に、かぐや姫は頭を悩ませていた…。
[……私は……]
[……あなた達の……]
[…ピエロじゃない…]
かぐや姫は電柱の影からカメラマンや報道陣を見て、何かを決意した表情で、胸元から特殊携帯電話を取り出し、ムーンボタンを押し、耳に当て、これだけ言った。
「やっぱり、私、帰ります」
後日、月から迎えにやって来た数人の男達と、かぐや姫は月へと帰って行った…。
その姿を見ておばあさんは泣いた。
かぐや姫も泣いた。
かぐや姫は月で新たな執筆活動を再開し始めた。
そして1冊の本が完成した。
タイトルは……。
【おばあちゃんと私】だった…。
しかし、言葉や文字自体の意味合いが地球とは全く違っており、誰が読んでも意味が分からず、いちいち自分が読み聞かせなくてはならなく、その言葉でさえも微妙に伝わらなかったりし、半年後、かぐや姫はまたもや地球へと帰って来たが、おばあさんは勝手に引っ越していたので、家が分からなかった。
めでたし。めでたし。
(はい!おしまい)
いぇい☆




