小柳先輩は知っている
小柳先輩のお話。
主人公は「後輩ちゃん」と呼んでいます。
環境整備委員の会議にて。
委員長決め、なかなか決まらないね。
あまり大したことやるわけでもないのに、どうしてこうゆうことみんな目を逸らして、逃げようとするのかな。
環境整備委員、委員長やるか。
まあ、私のキャパシティ的に引き受けても問題ないし、このまま会議が進まないよりはマシかな。
おや、今、手を上げようとしていた子がいたかな?
まあ、副委員長決めの時に若干似た状況になるから、彼が誰かはその時にわかるかな。
「じゃあ、先生。あとは私が進行しますね」
「おう、小柳。助かるぞ」
◇◇◇◇
さて、今年は部員が三人入ってくれたみたいだし、ちゃんと漫画研究部も続けていけそうだね。
備品がたくさんあるから廃部になったら勿体無いからね。
まあ、もし廃部になろうことがあったら、私が全力を出して委員会化させちゃえばいいかな?
奏もいるし…。
まあ、やらないに越したことはないから無事三人入ったことを喜ぼう。
ガチャ。
おや、どうやら部室に誰か来たようだ。この時間は一年生たちはまだ授業中だから…。
「久しぶり、早苗ちゃん」
「おや、美咲じゃないか。どうしたのかな?君が漫研に来るなんて滅多にないじゃないか」
「いや、一年生がどれくらい入部したのか気になったからなの」
「あ〜、廃部になるか心配していたんでしょ?それは問題ないよ、無事三人入ったから」
「それはよかったの。そういえば、噂になっているの。昨日の食堂でのお話し合い」
「あ〜、あれだね。私も少しやりすぎたような気がしていたんだよね。その噂ってどんな感じで広まっているか教えてくれる?」
ある程度は把握しておいて、必要であれば対策を取るか。
◇◇◇◇
うーん。企画の進行はなかなか決まらないね。
佐藤くんが提案してくれた案自体はいいんだけどね…。
日程とか時間とか…。掃除に使う備品もどこから捻り出そうかな…。
まあ、大体の日程候補は先生の部活の日に合わせればいいって言ってくれていたし…。
よし、奏に頼み込んで生徒会で持っている似たような企画のの進行表とか企画書を見してもらうか。
あ、でも部活に後輩ちゃんが来るのか。
そしたら、あの子はライトノベルはよく読むけど、洋書はあまり読まないみたいだし、薦めてみるか。
じゃあ、ある程度、私が読んでおいてっと。
ガチャ。
ちょうどのタイミングだったようだね。
「先輩、こんにちは」
ここは、わざとらしくないように。少し目線をちらっとあげて。
「こんにちは」
ちょっと食いついてきたかな。
「今日はなんかしたりしないんですね」
「そうだね」
おっ、私の読んでいるものが何か気になっているようだね。
よし、今かな。
「これから、ちょっと小一時間ぐらい生徒会室と職員室に行ったりしているから、なんかあったら連絡して。あと、私の本、勝手に読んでいいからね。その本大体一時間ぐらいで読み終わるから。おすすめだよ」
それじゃあ、生徒会室に行くか。
◇◇◇◇
よし、こんなもんかな。そしたら企画案を明日の朝に副委員長たちに送れるように予約投稿をしといてっと。
私が時計を見ると朝の三時を回っていた。
……。
やばいな。集中しすぎるといつもこうだからね。
奏にも、「集中すると時間忘れちゃう癖、気をつけなさいよ」って言われているんだけどね。
まあ、もう一度確認をしてから寝るか。
◇◇◇◇
ふむふむ。シンデレラくんはサッカー部の練習があるから放課後動くのは厳しいと。そしてもう一人の副委員長は陸上の練習があって厳しいと。
まあ、そうだろうね。
じゃあ、私の方で進めておくか。
◇◇◇◇
よし、明日企画の日か。
改めて、漏れがないか確認して…。
よし、終わりっ。
時計を見ると今日は一時だった。
昨日よりはマシだね。
じゃあ、寝るか。
◇◇◇◇
今日は先生に開始報告しに行きたいってもう一人の副委員長に言われたから、私について行ってもらうか。
あーやばい。すごく眠いかな。
少しだけ、少しだけ横になって……。
ーーーー
「先輩!危ないですよ!起きてください」
え?あれ?あっ。後輩ちゃんか。
「へっ!わっ、え?おはよう?」
私は苦笑いを浮かべる。
「それで、今回の件はどう申し開きがあるのでしょうか(笑顔の圧)」
うーん。少し眠りすぎちゃったね。誤魔化すかな。
「いや、最初は出来心で、椅子に寝転んで仮眠をとるシーンがあったのを思い出して……。それでちょっと横になるだけだからと思ってね、少し横になっただよ、うん。それで昨日の寝る時間が遅かったから熟睡しちゃったって訳なんだよ。……ねぇ、ちょっと笑顔が怖いから、そろそろ許してくれないかなぁって」
「先に約束することがあるんじゃないですか。小柳先輩?(圧上昇)」
手厳しいかな…。
「うん。そ、そうだね。部室で椅子に寝転んで仮眠をとることはもうしないよ。だからその笑顔の圧を解いて欲しいなぁ」
「他には、ないんですか?」
あれなんかあったけ?
「さて、何のことでしょうか」
「胸に手を当てて考えて見てください」
えっ?どういう論理?何で君の胸に手を当てるの?
まあ、言われた通りにやるか。じゃあ、失礼して……。
「それじゃあ、失礼するよ」
「ちょっと先輩、誤解していますよ誤解。慣用的なhy」
扉が開く。
「こんにちはなのです。ここって、漫画けん、きゅ、…!?失礼しましたぁ」
「ちょっと待って!誤解、誤解だからぁ」
そう言って後輩ちゃんが飛び出して行ってしまった。
ーーーー
二人が戻ってきた。
そして後輩ちゃんでない方が言った。
「小柳先輩のクラスを伺ったのですが、先輩は漫画研究部にいらっしゃると聞いて、この部室を尋ねたのです」
「えーっと、どこの子かな?」
「失礼したのです。環境整備委員に所属している1年の戸澤です。小柳先輩は委員長であっているのですよね」
「あっ、環境整備委員の子か!そっか、じゃあもしかしてだけど例の件の開始の報告を先生にするところかな?」
「あっ、そうです。流石に彼一人に全て押し付けるわけにもいかないですからね」
「まあ、うちの委員会少し外れくじみたいに見られているところがあるから誰も余計なこと引き受けてくれないからね。それじゃあ、私も一緒に行くよ。それじゃあ、私は少し一時間ぐらい外すから、好きに活動してていいよ」
そう言って、私は企画書通りにベンチの清掃を行うべく、戸澤ちゃんと一緒に職員室に向かった。
◇◇◇◇
よし、今日はうまく行ったかな。
「じゃあ、とりあえず今回はここぐらいで終わりにしようかな。みんなを拘束し続けるのも良くないからね」
そう私がいうと皆はすぐに片付けを始めて出した。
そこで私を呼ぶ声があった。
「先輩、サッカー部の練習が終わったあと、ちょっと続きをやりたいんですけど…」
そう、シンデレラくんが言い出した。
まあ、備品の借りているところは私たちでも鍵を使えば簡単に開け閉めできるし、許可しても問題ないかな。
「じゃあ、倉庫の鍵を貸すから、終わったら閉めて職員室に返しといてくれる?あと、最終下校時刻ギリギリにならないようにね」
「ありがとうございます先輩」
そう彼は頭を下げ、ある程度用具をまとめて、練習に行ってしまった。
そしたら私の方は、彼が熱心に活動するから部活動終了後に清掃活動を行うことを先生に伝えておくか。
◇◇◇◇
よし。例の件も終わったし、しばらくは大丈夫かな。
「…生徒会選挙があるから、立候補したい人は期間内に忘れずにね」
担任の先生が言っているのを聞き流しながら、もう生徒会選挙の季節か、と思った。
去年の今頃、私が副会長に立候補したのを思い出し、しみじみとしていると。
「ねえ、早苗。今回、生徒会に立候補しようと思わないの?」
「うん。もう、やらなくていいかなって思っているからね」
そう、あの活動は結構楽しいが、私には他にやりたいこともたくさんある。
青春は有限なのだ。
◇◇◇◇
立候補が締め切られ、廊下では立候補者が発表された話で持ちきりだった。
「生徒会長戦は斉藤さんと福井くん、あと一年生のシンデレラの子が出ているんだって」
ほうほう、奏は会長戦に出馬したみたいだ。
まあ、彼女ならきっと上手にやっていくだろうと思いながら、彼女と学食を食べに向かった。
◇◇◇◇
後輩ちゃんがシンデレラくんを心配していた。
確かに、今回は彼はかなり分が悪いだろう。
奏は生徒会経験者だし、選挙のやり方はよくわかっている。
うーん。彼がこのまま生徒会に入らないままでいるのはもったいないからなぁ。
よし、奏が勝利したら彼を庶務として迎えるのを持ちかけてみるか。
◇◇◇◇
生徒会選挙の演説の前日。
奏が「負けちゃうかも」と急に泣きついてきたので、一緒にスピーチの練習をしたりと励ましてあげることにした。
私が部活に行けないと送ると、後輩ちゃんも今日は部活に行かないと送ってくれた。
後輩ちゃんにはちょっと悪いことしちゃったかな。
まあ、その埋め合わせはおいおいしていくとして……。
奏の不安を聞き取っていく。
ふむふむ。
毎日朝の挨拶の様子を聞いていると負けそうな気がしてしまったのだそうだ。
それには、自信を持たせてあげれば、解決するかな。
そう思い、それとなく、明日のスピーチ練習へと会話を誘導していく。
奏はよく発表できるようになっているね。
昨年よりもずっと上手になっている。
「うん、声の張り方も上手だし、抑揚や強調する箇所も上手にできていたから、基本的なことは十分できているんじゃないかな」
最後はしっかりと目を合わせて伝える。
「だから、最後は気持ちだね。別に少し噛んだことを理由に君が生徒会に相応しくないっていうことはないから。自信満々に振る舞っておけば、半分の人はそれで票を入れてくれるだろうし、残りの半分は内容が十分だから君を選んでくれる。明日は頑張って!」
そう言うと奏は私に無言で抱きついて、しばらく離してくれなかった。
◇◇◇◇
翌日、当選結果が発表された。
私にとって喜ぶべきことに、奏は無事生徒会長に当選したようだ。
シンデレラくんは、やはり最後の演説は目を見張るものがあった。
少し前の食堂の時は何となく話し方に若干の隙があったように見えたが、あの時は一分の隙もなく、完璧だった。
それでも、最後は奏が場の空気を支配できていたと思う。
だけど、もし私が去年彼と副会長で戦っていたら……。
そんなことを考えても仕方がない。
早速、奏の当選祝いと私からの僅かなシンデレラくんと後輩ちゃんへの力添えをするべく、奏をパフェに誘った。
◇◇◇◇
「とりあえず、まず当選おめでとう!」
「ありがとね、早苗。あなたの協力があってこそだわ」
「そうか、どういたしまして。パフェに誘ったのは、少し長い話をしたかったからでね。そう最近、気になっている子たちがいて。パフェでもつつきながら四月の初めから話していこうかな」
そう言って、少し変わっている見所のある少年と、その子にほの字な少女の話を語り始めた。
ーーーー
「え〜、早苗。まだ入学してから一ヶ月とちょっとしか経ってないけど、流石に好きになるには早すぎるんじゃない?邪推がすぎるんじゃない?」
「え〜、そうかな。私はかなり当たっていると思うんだけど。ほら、彼女を目の前で見てきたからね」
「いや、絶対そんなことないから。あったとしても応援しようぐらいの気持ちでしょ。いいよ、次のパフェを食べる時に奢ることを賭けても」
「へぇ、そっちがその気なら、私も構わないよ。絶対私が正しいからね」
「じゃあ、明日朝イチで例の一年生のところに行って、庶務に勧誘するついでに軽く探ってみるよ、『最近惚れられていると感じることがない』って」
「彼本人に訊くのかい?それはちょっと初対面で不躾じゃないかな」
「まあ、そこはうまくやればいいでしょ。訊かなくても周りを見れば大体わかるし」
「少し不安だね…。私もついていくよ」
そうして、私は奏と一緒にたくさん語り合った。
『第二十二話 そして私は知っている』に続く。
もう一度読み返していただくと、この作品が味わえると思います(大体の回収できる伏線は回収し切ったはず)。
時間があればぜひ。
この続きが気になる方はぜひブックマークをお願いします!




