1.12 一目ぼれ
monogatary.com 2026年1月12日のお題『アンフェアな恋』について投稿したものです。
sideミサキ
「あ、返信来た!」
LINEのメッセを送ること十六回目でやっとタクヤからの返信が届いた。
『来週は残業続きになるから、今日明日はゆっくり休みたい。ごめん』
「なんでやねん! ウチと一緒にまったり休んだらええやんか!」
思わずスマホに向かって突っ込む。
せっかくの連休、昨日の続きを期待して誘ってるのに、なんとも、にべもない。
でも、ウチには時間がないんや。三十歳のうちに結婚相手を見つけんと、和歌山の実家に連れ戻されて、親が決めた遠縁の男と話を進められてまう。
あと五か月でウチの人生はタイムリミットを迎えるねん。
タクヤとは一昨日のスリースリー飲み会で初めて会うた。
男側は三人。
幹事していた男はチャラすぎて論外。
もう一人は背がめっちゃ高くて、なんかヌボーっとしてた。
二人ともウチの好みやあれへん。
ま、一緒にいてたアキとユイナがそれぞれを気に入ったみたいやったから、そこは結果オーライ。
ウチの本命は、最初からタクヤやった。
身長差もウチとばっちりやし、何よりあの垂れ目の優しい顔がどストライク!
誠実そうやし、聞き上手やし、しかもよお気が付く。
大阪の荒波にもまれてきたウチからすれば、彼はまさに絶滅危惧種の優良物件や。
このチャンス、絶対に逃したらあきまへん!
初日のサシ飲みでは、いい雰囲気まで持ち込んだんに、土壇場で肩透かし。
まぁ、初日からホテルに行くような軽い女には見られとうなかったし、その場は引き下がったけど。
せやから昨日のデートは、気合を入れなおして挑んだんや。
会社帰りの清楚さを裏切る、華やかなワンピにノリの良さ。
ギャップ萌えで一気に落とす気満々やったのに。
映画の感想も、沈黙が怖くて一生懸命盛り上げた。
ウチの『素』を知って欲しくて、全力で笑って、全力でしゃべった。
それなのに、タクヤは駅の改札まで送ってくれたけど、逃げるように帰っていった。
もしかして、ウチ、押しすぎたんかな……?
『押してもアカンかったら、引いてみなはれ』って言葉もあるし、今日までは無視されても「おやすみ」まで全力でLINE送り続けたる。
ほんで明日からは知らん顔したる。
なんとかして、タクヤのお嫁さんになりたいなぁ。




