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『お題のmonogatary』―どこに向かうか誰もわからないー ストーリーは『今後のお題』しだい  作者: もとき未明


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1.10 別人28号

monogatary.com 2026年1月10日のお題『第二印象』について投稿したものです。



 タクヤ33歳。大阪住みが10年を超えるのにいまだに大阪弁をしゃべれない。ひとり暮らしだが、独身主義者というわけではない。


 今日は三連休の初日。

 朝から身だしなみを整え、鏡の前で入念にチェックする。

 なぜなら昨日知り合ったミサキと初デートだからだ。

 正確には昨日の三次会でサシ飲みになったからビミョーだけど、「二人で映画」という約束を交わした以上、今日が記念すべき初デートに違いない! うん。

 もちろん掃除も万全で部屋に来ることになっても大丈夫!



 待ち合わせの難波に行くとほどなくしてミサキがやってきた。

 昨日の会社帰りのスーツ姿も良かったが、今日の彼女は華やかなワンピースにモコモコのコートを羽織っている。

 化粧も髪型も昨日よりはるかに色っぽい。うん、どっちも可愛い。


「映画、何観る?」

「タクヤのおすすめ、あんの?」

「うーん、観たいのは『幕末伝』か『栄光のバックホーム』かな」

「ほな『幕末伝』観よ。ムロツヨシめっちゃ好きやねん」

「阪神は嫌い?」

「阪神もめっちゃ好きやで。でも絶対泣くやろ。化粧直しすんの嫌やわ」

「わかった。チケット買ってくるわ」


 中段の通路側という、なかなかの良席を確保できた。

 上映まで時間があるので、まずは腹ごしらえだ。


「ミサキちゃん、昼飲みもOK?」

「もち。あとミサキって呼んでえな。ウチもタクヤって呼ぶし」

「……わかった。ミサキ。お寿司でいいかな」


 ネタが二枚重ねになっている、なじみの店に入った。


「ナマとおまかせ、二つ!」

「はいよっ!」

 威勢のいい声が帰ってくる。


 生ビールで乾杯し、刺身のように一枚目のネタをつまむ。

 うん、やっぱり旨い。

 ミサキも、「美味しい!」を連発して満足そうだ。


 たわいもないおしゃべりで、酒もどんどん進む。

 ミサキってめっちゃしゃべるやん。超高速の大阪弁マシンガントークだ。



 映画本編は、まあ楽しめた。

 ただ、ミサキの笑いの沸点が予想以上に低かった。

 冒頭の何気ないシーンでも吹きだして大笑い。

 隣で肩を揺らされるたびに、俺の集中力は少しずつ削られていく。


 映画のあとは、再び居酒屋で感想会だ。

「ムロツヨシとジローさん、サイコーやったね!」

 はしゃぎすぎといっていいほど盛り上がっている。

 何度もシーンを思い出してはまた大笑い。しかも順番があっちこっち飛ぶ。

 俺としては、渡部篤郎と山田孝之の飄々とした笑いの深さについて語り合いたかったのだが……その隙は一秒たりともなかった。


 店を出てもまだ日は高い。

 ミサキは明らかに次を期待する潤んだ瞳を向けてきたが、俺は気付かないふりをした。


「……じゃあ、今日はこの辺で。また連絡するね」

 ほとんど強制終了のような形で彼女を改札へと送り出し、視界から消えたところで深く肩を落とす。


 ……疲れた。



 昨日、お持ち帰りしなかった自分を全力で褒めよう。




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