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卒業式の放課後、最後の聖域
式が終わった後の教室は、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返っていた。床には誰かが落とした花びらが一枚、西日に照らされて転がっている。
クラスメイトたちが打ち上げへと繰り出す中、私たちはあの日決めた「暗黙のルール」を最後に一度だけ破った。
「……終わっちゃったね」
教壇の影、外からは見えない死角で、結衣が私のシャツの裾を掴んだ。卒業証書の筒を抱えたまま、彼女は震える声で笑おうとしている。
「明日からはもう、クラスメイトですらなくなっちゃうんだね」
私は何も言えず、彼女を強く抱きしめた。制服越しに伝わる、激しい鼓動。明日からは、三つ先の駅ではなく、新幹線で何時間もかかる距離に離れてしまう。
「……凛、お願い。今夜だけは、誰の娘でもない、誰の友達でもない、ただの私でいさせて」
私たちは、誰もいない旧校舎の隅で、あるいはどちらかの部屋で、互いの体温を刻みつけるように愛し合った。それは、明日から始まる「不在」を埋めるための、あまりに切ない儀式だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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