雨の駅、剥がれ落ちる嘘
あの日以来、私たちは教室で一度も目を合わせていない。
結衣は相変わらず中心にいて、私は相変わらず背景の一部だった。けれど、意識の糸は常にピンと張り詰め、彼女が誰と笑い、いつ席を立つのか、肌が痛いほどに感じてしまう。
そんな緊張を解いたのは、皮肉にも降りしきる雨だった。
放課後の駅。
高架下の改札前には、急な雨に足止めを食らった生徒たちが溢れていた。その人混みの端で、結衣を見つけた。
彼女はいつもの友人グループに囲まれていたが、その顔はどこか心ここにあらずで、無理に作った笑顔が今にも剥がれ落ちそうだった。
「先に行ってて。私、親に迎えに来てもらうから」
そう言って友人を送り出した彼女は、一人になった瞬間、深い溜息をついて雨の幕を見つめた。迎えなんて来ないのだと、その寂しげな横顔が物語っていた。
彼女はそのまま、傘も差さずに雨の中へ踏み出そうとした。まるで、自分を痛めつけるように。
「……無理しなくていいのに」
気づけば、私は彼女の隣に立っていた。
自分の傘を彼女の方へ傾ける。狭い傘の下、あの日の指先の熱が、湿った空気とともに蘇る。
結衣は驚いたように目を見開き、私を見た。濡れたアスファルトの匂いと、雨音に遮られた二人だけの空間。
「凛……」
「風邪引くよ。……よその町の駅までなら、一緒に帰れるから」
彼女は否定しなかった。ただ、震える手で私の傘の柄にそっと手を添えた。重なり合った手は冷えていたけれど、心臓の鼓動だけが、雨音よりも激しく響いていた。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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