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変質していく宝石 ーー夜の海、剥き出しの独白

 

 改札の向こうから現れた結衣は、一瞬、見知らぬ誰かのように見えた。

 ゆるやかに巻かれた髪、鎖骨のラインを強調する都会的なカットソー。かつての真っ直ぐな黒髪と、糊のきいた制服の面影はどこにもない。

 駆け寄ってきた彼女から漂ったのは、あの日々の石鹸の匂いではなく、どこか冷ややかで、自立した女を感じさせるスパイシーな香水の香りだった。


「……凛、久しぶり」


 そう言って私の首に腕を回した彼女の仕草さえ、どこか洗練されていて、私の胸を鋭くえぐる。抱きしめ返したその肌は、夏の熱気を帯びていたけれど、心臓の音だけがひどく遠く感じられた。



 数日後、私たちはあの「永遠を信じた海」に再び立っていた。

 寄せては返す波の音。街灯のない暗がりに、結衣の吸っているメンソールの煙草の火が、小さく、紅く爆ぜる。その吸い殻さえも、私の知らない彼女の日常の一部なのだと思うと、視界が滲んだ。


「……その煙草、いつから?」

 私の問いに、結衣はふっと視線を逸らした。

「大学の友達に勧められて。……別に、深い意味はないよ」

「友達って、あの写真に写ってた人たち? 男の人もいたよね。結衣、あんな風に笑うんだね。私の知らない場所で、知らない顔をして」


 嫉妬というにはあまりに無様で、子供じみた言葉が口を突いて出る。

「……東京の話ばかり。知らない服。知らない匂い。結衣がどんどん、私だけの手の届かない場所に作り替えられていくみたい。……痛々しいよ、結衣」


「何が痛々しいのよ!」

 結衣が声を荒らげ、吸い殻を砂浜に叩きつけた。

「私だって必死なの! 東京という砂漠の中で、一人で立ってるのがどれだけ怖いか、凛にわかる? 周りに馴染んで、大人っぽく振る舞って、そうしてないと、凛に『置いていかれた子供』だと思われそうで……。私は、凛にずっと愛されていたいだけなのに!」


 結衣の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。都会のメイクが、その涙に濡れて無惨に崩れていく。その崩れた顔を見て、私はようやく、彼女が今もあの保健室で震えていた「私の結衣」であることを確信した。


この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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