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宝石の記憶
オレンジ色の西日が、教室の埃を宝石のようにキラキラと躍らせていた。
窓の外からは、野球部の快音やサッカー部を鼓舞するホイッスルの音が、どこか遠い国の出来事のように響いてくる。放課後の校庭にあるはずの熱狂は、窓ガラスを隔てたこちら側には届かない。掃除当番がサボって静まり返った教室は、まるで深い水の底に沈んでいるようだった。
「ねえ、起きてる?」
不意に頭上から降ってきた声に、机に伏せていた顔を上げる。
そこには、強烈な逆光を背負った結衣が立っていた。光の粒を纏った彼女の輪郭はぼやけていて、まるで幻影のようにも見える。
「これ、今日の分。凛、また寝てたでしょ」
いたずらっぽく笑って差し出された数枚のプリント。それを受け取ろうと手を伸ばした私の指先が、吸い寄せられるように彼女の柔らかな肌に触れた。
冷房の効きすぎた教室の空気の中で、そこだけが火傷しそうに熱い。
外から聞こえる運動部の掛け声が、一瞬だけ止まった気がした。耳の奥で、ドクンと心臓が跳ねる。彼女の完璧な笑顔が、ほんの少しだけ揺らいだのを私は見逃さなかった。
それが、私たちのすべてが狂い始める、最初の静かな音だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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