☆14A1-A 遮断と封じ――喉を塞ぐ手、名を守る歯(※分岐実行パート)
機材倉庫の空気は湿り気がなく、機械の冷たさが際立った。
埃が舞い、喉が乾く。
乾くのは恐怖のせいでもあるが――もっと嫌な理由がある。
ここでは“声”が乾く感覚がある。
声の水分が奪われる。
奪われた水分がどこへ行くのか、考えたくない。
床の点検口――朱い輪。
輪の中心の黒い濡れ。
それが呼吸するたび、照明がぱち、ぱち、と明滅する。
喉。
回路の喉。
そこに原初札が張り付いて、名を吸う。
背後の暗がりから囁きが落ちる。
……へんじ……
……とうこ……
返事を誘う声。
返事をした瞬間に喉が開き、回路が繋がり、名が抜かれる。
名の防壁を掌で握り潰すように力を込めた。
痛みを作る。
痛みは現実の鎖だ。
(汐見、灯子)
名を心の中で握り、口は閉じる。
視線だけをブレーカーへ。
古い配線盤。ラベルの剥がれたスイッチ。
(当たりはあれ)
ただし、遮断すれば反動が来る。
“喉”が閉じるとき、最後に大きく息を吐く。
その息が放送混入として吹き出る。
逆に、封じを先に当てれば混入は止まりやすいが、喉が暴れて名を剥がす。
どちらも地獄。
選ぶのは、どの地獄を先に踏むか。
a:先にブレーカー遮断 →14A1-A-a
b:先に封じ札貼付 →14A1-A-b




