表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/74

 6-8A 救出か、追跡か――“名の器”が鳴る部屋(※分岐実行パート)

 扉の外へ身を滑り込ませた瞬間、空気がひやりと刺した。

 さっきまでの部屋の生温さが、背中に貼りついたまま残っている。


 通路は狭く、土と板の壁が湿っている。

 わたしの耳には自分の呼吸の音が大きすぎるほど響いた。


 透子の姿は――見えない。


 だが、“影”だけが残っている。

 床に落ちる影の濃さが、ところどころ不自然に深い。

 足跡ではない。影の跡だ。


(こっちへ滑った……)


 一歩踏み出そうとした、その瞬間。


 背後――あの部屋の方向から、かすかな音がした。


 コツ……コツ……


 靴音じゃない。

 もっと弱い。

 爪で木を叩くみたいな音。


 そして、喉の奥を直接撫でられる声が、ひそやかに響いた。


 ……とう……こ……


 “他人の口”で呼ばれた声。

 奪われかけた影が、わたしの名を発している。


 首元の刻印が冷たく疼いた。

 痛みというより、引っ張られる感覚。


(やばい……名が響く……)


『……おねえちゃん……

 もどって……!

 あのこ……

 もうすこしで……』


 紗灯の影はわたしの影に必死に重なっている。

 縫い止めている。

 しかし縫い目が薄くなってきているのが分かる。


 遠く、通路の曲がり角の向こうで、紙が擦れる音がした。

 透子だ。媒介札の音――。

 導線は確実にそこにある。


 わたしの胸の中で、二つの感情が噛み合わないまま暴れる。


(追えば、透子を掴める。黒幕へ近づける)

(戻れば、あの子を救える。欠落を止められる)


 そしてそのどちらも、“紗灯”に繋がっている。


 紗灯を救うためには黒幕へ近づかなければいけない。

 でも、紗灯を救うためには――これ以上、他の子を犠牲にできない。


 廊下の闇が、ゆっくり笑っている気がした。


 わたしの視界に選択肢が浮かぶ。


【選択肢】(※分岐)


A1:救出を優先(部屋へ戻る)→6-8A1へ

A2:追跡を優先(透子を追う)→6-8A2へ



※※※※※※※※※※※※

さらに分岐します

※※※※※※※※※※※※


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ