1-5 影を踏む夕暮れ(※分岐実行パート)
夕陽が校庭の端で沈みかけ、
白鷺女学院全体がかすかな薄朱に染まっていた。
風が止まり、木々のざわめきが静まる。
その静けさが背筋にひやりとした線を引いた。
(……どっちだ)
旧校舎は、この時間になると息を潜めたように暗く沈む。
学院神社へ続く坂道は、夕陽を受けて赤く燃え、
鳥居の影が地面に長く伸びていた。
その中間地点。
校庭の真ん中で、わたしの影が揺れた。
ふわり、と。
まるで、わたし自身とは別の“誰か”が風に揺らされたように。
【異常検知:影落ち揺らぎ “強”】
【影落ち:19% → 23%】
《注意:次の行動が影落ちに強く影響します》
(そんなに焦らせないでよ……)
胸の内で苦笑するが、声は震えていた。
ポケットの中のカセットが、微かに震えるような音を立てる。
『……ここ……こ……』
聞き間違いではない。
最初の日と違い、呼び声は確かに“誘い”になっている。
(紗灯。誘ってるの? それとも——)
夕陽の色がだんだん深赤へと変わる。
影が濃くなり、足もとからほのかに“黒い揺れ”が広がった。
歩き出さなければいけない。
でも、どこへ?
【ルート分岐:選択肢】
風が止まり、
校庭にあるベンチの側で影が二つに裂けた。
ひとつは旧校舎の方へ。
もうひとつは学院神社の方へ。
明らかに“導く”ように。
わたしは息を呑んだ。
【選択肢】
1)旧校舎へ向かう(Aルート)
2)学院神社へ向かう(Bルート)
そして——
わたしは、歩き出す。




